【朗読】紫式部日記60 斎院と中宮⑴

【朗読】紫式部日記60 斎院と中宮⑴

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【斎院と中宮(その1)】に入りました。

斎院に、中将の君といふ人はべるなりと聞きはべる、たよりありて、人のもとに書き交はしたる文を、みそかに人の取りて見せはべりし。いとこそ艶に、われのみ世にはもののゆゑ知り、心深きたぐひはあらじ、すべて世の人は、心も肝もなきやうに思ひてはべるべかめる、見はべりしに、すずろに心やましう、おほやけ腹とか、よからぬ人のいふやうに、にくくこそ思うたまへられしか。文書きにもあれ、
「歌などのをかしからむは、わが院よりほかに、誰れか見知りたまふ人のあらむ。世にをかしき人の生ひ出でば、わが院のみこそ御覧じ知るべけれ。」
などぞはべる。

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