【朗読】紫式部日記59 女房仲間への批評⑸

【朗読】紫式部日記59 女房仲間への批評⑸

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「五節の弁といふ人はべり。平中納言の、むすめにしてかしづくと聞きはべりし人。絵に描いたる顔して、額いたうはれたる人の、目尻いたうひきて、顔もここはやと見ゆるところなく、色白う、手つき腕つきいとをかしげに、髪は、見はじめはべりし春は、丈に一尺ばかり余りて、こちたく多かりげなりしが、あさましう分けたるやうに落ちて、裾もさすがに細らず、長さはすこし余りてはべるめり。
小馬といふ人、髪いと長くはべりし。むかしはよき若人、今は琴柱に膠さすやうにてこそ、里居してはべるなれ。
かういひいひて、心ばせぞかたうはべるかし。それもとりどりに、いと悪ろきもなし。また、すぐれてをかしう、心おもく、かどゆゑも、よしも、後ろやすさも、みな具することはかたし。さまざま、いづれをかとるべきとおぼゆるぞ、多くはべる。さもけしからずもはべることどもかな。」

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