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市松人形

夏と言えば怪談かなと思いまして。
私は全然霊感ないんですけど、これまで私の周りで起こった怖い話などを書いてみようと思います。

これは私が小学生の時の話。

愛知県小牧市の一軒家住んでいた頃、私は一時エレクトーンを習っていて、自宅の和室にもエレクトーンが置いてあった。

ちょうどそれを弾くと背中側に、ガラスケースに入った50cmほどの大きさの、着物を着て長い黒髪で真っ白い顔の市松人形が置いてあって、練習する時にどうも視線を感じて幼心に何か怖いと思っていて、よく母に「怖いから別の所に置いてほしい」と訴えていたのだけれど、別段気にすることもないと、そのまま放置されていた。

その頃何度も同じ夢を見るようになった。

私がエレクトーンを弾いていると背中に強い視線を感じて振り返る、
そこに市松人形がいる。
顔を戻してまた弾くがまた視線を感じて振り返る、
市松人形がいる。
また戻って弾くがやはり視線を感じて振り返ると、
市松人形がいない。
ハッ!と振り向くと
鍵盤の上に人形が立っている。

という夢。

何度も見るので怖くて、母に泣きついてやっぱりあの人形は怖い!と訴えると、母は「わかった、じゃあ神社に人形を預けてくるから」と言い、
その次の日から市松人形はその部屋からいなくなった。

それとほぼ時を同じくして、家族で名古屋へ引っ越すことになり、新しい家に移った。

ああこれで安心だ、と思ってしばらく忘れて普通に生活をしていたのだけど、
一ヶ月ほど経ったある日また、例の同じ夢を見た。その次の日も同じ、市松人形が鍵盤の上に立ってこちらを睨んでいる夢を見た。

怖くなって母にまだあの夢を見るんだけど、あの市松人形は本当に神社で預かってもらっているのかと聞くと、
母がバツの悪い顔をして、
実はまだ持って行っていなくて、今も箱の中に入れて押し入れにあると言うのだ。

もう!オカンのバカ!絶対そのせいだ!明日にでも神社に持って行こう!と、
とにかく人形を確認しようと思い、母と2人で箱を開けてみると、
ガラスケースの中で、前見た時の倍は髪の毛が伸びた市松人形がこちらを寂しそうに見ていた。

その後神社で供養してもらい、夢を見ることはなくなった。

人形に本当の人の髪の毛を使うこともあると聞くが、あんなに伸びるものなんだろうか。私と遊びたかっただけなのか、今は分からない。

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