私は、日本経済の展望についてたびたび述べているが、何故日本経済の展望について考察することが重要かについて触れておきたい。数年前まで、日本経済は、デフレの中にあった。しかし、実際に日本経済はここまで回復してきたのである。日経平均株価が２万円を超えて安定することなど、数年前に誰が想像していたであろうか？経済政策というのは、一種の思想であり、経済をどう捉えるかという、一種の認識論であり、また、どう経済を安定させるかというための、一種のテクノロジーの結実なのである。もちろん、コンピューターを使って、シミュレーションすることは可能であると思うが、それは一種のデータ処理であり、その数値データを形成するのは、結局は思考の結果なのである。だから、日本経済がどういう状況になければならないか、どう発展していくのが好ましいか、等については、考察しておく必要があるのである。シミュレートとは少し違うが、理念と言ったら良いだろうか。好ましい見通しの元に政策を検討し、実行することが、経済回復・経済発展につながるのである。