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【サラリーマンエンジェル投資家に聞く】同じ船に乗る仲間を応援したい。最初の一歩を後押しできるのがエンジェル投資

創業間もない非上場のスタートアップへ個人で投資する「エンジェル投資」。個人による非上場企業への投資はリターンを期待するだけでなく、まだ見ぬ製品やサービスへの応援を通じた社会貢献にもつながるとして注目を集めています。

そうしたエンジェル投資を過去80社以上に行ってきたのが兼業投資家の坂本達夫氏です。友人の応援から始まったというエンジェル投資に、坂本氏はどのような価値を見出してきたのでしょうか。

株式投資型クラウドファンディングを手掛けるイークラウド代表・波多江直彦が、坂本氏が語るエンジェル投資の魅力に迫ります。

※本記事は2023年11月9日に開催した個人投資家向けイベント「イークラウド大感謝祭」内のパネルトークを再構成したものです

波多江がこんな内容を聞いていきます

エンジェル投資の始まりは友人の応援から

───80社以上へエンジェル投資をしてきた坂本さんは、なぜエンジェル投資を始めようと思ったのでしょうか。なにかきっかけがあったのですか?

2010年か11年くらいだったと思うんですが、これから起業するという同僚が「坂本君、お金を貸してほしい」と言ってきたんです。若かったので貯金もあまりなく、登記に必要な23万円が捻出できないと。

資金の提供を断るつもりはなかったのですが、お金を貸し借りすると、もし会社がダメになってしまっても個人間の借金は残っちゃうじゃないですか。それで友人関係にヒビが入るのが嫌だったので、出資という形でお金を出したのが最初ですね。出資額は30万から50万円くらいだったと思います。

───友人への投資が最初のきっかけだったと。今はエンジェル投資家として広く認知されていると思いますが、友人への資金提供からはじまり、どういった経緯で広く名前が知られるようになったのでしょうか。

たまたま最初に投資した友人の会社の事業が上手くいって、VCからの調達を検討するフェーズに入り、ピッチのための資料をいろいろ提出したそうです。その中に株主として私の名前が書いてあったのをVCにいる別の友人や知人が見つけまして。そこから「エンジェル投資家を集めているけれど、坂本さん、どう?」といった声がかかるようになった、という経緯ですね。

呼びかけに200人が集合!肌で感じるエンジェル投資のニーズ

───それから約10年。坂本さんはエンジェル投資家としてさまざまな起業家へ投資をされていますが、エンジェル投資にニーズがあると感じられたタイミングはあったのでしょうか。

私が何度かエンジェル投資を繰り返しているうちに、だんだん友人の経営者やお金持ちの方から「次に投資するときには自分にも声を掛けてよ」と言われる機会が増えてきました

試しにFacebookで「エンジェル投資の声を掛けてほしい人がいたらコメントを下さい」と投稿したところ、なんと200件もコメントがついたんです。私の友達だけで200人でしたので、こんなにエンジェル投資をしたい側のニーズがあるんだ、と驚きました。

───それはポテンシャルを感じますね。

当時はまだイークラウドさんを始めとしたプラットフォームもなかったので、私も株式投資型クラウドファンディングっぽいことができるんじゃないかと考えたんです。しかし金融業者ではない人が50人以上を募る募集行為をすると金商法(金融商品取引法)違反になってしまうと指摘を受けたので、泣く泣く諦めました(笑)

ただ、エンジェル投資にニーズがあることはわかりましたので、起業家に向いていそうな投資家を個々に紹介していました。そうして紹介をしていることが起業家側に広がっていくと、アグレッシブな起業家の中には、私のFacebookの友達一覧を見て「この人を紹介して下さい」と名指ししてくる方もいましたよ。

───個人で、いわばマッチングのようなことをするようになったんですね。友人相手の投資というところからスタートされていますが、やはり投資となると一定のリターンも期待されているかと思います。坂本さんのエンジェル投資の実績はいかがでしょうか?

投資を始めて10年くらいが経過していますが、今の時点ではIPOした会社はなく、2〜3年後にしそうという会社がちらほら出始めました。M&Aでイグジットしたという会社は片手で数えるくらいは出てきましたが、大きな価格で売れたというケースは少なく、中には実質的な救済に近いM&Aもあります。今のところは大きなリターンは出ておらず、投資した金額の方が大きいですね。

───なるほど、少し意外な結果です。そうした結果に対して、坂本さんご自身はどのように感じていらっしゃるのでしょうか?

実はネガティブな感情は持っていません。元々シード・アーリー期のスタートアップへの投資は結果が出るまで10年くらいかかるものだと思っていますし、私も最初の数年は年に1、2件しか投資していませんでしたので、アクティブに投資しているのは実質ここ4〜5年くらい。なので本格的に花開くまでは少なくともさらに4〜5年後ぐらいはかかるはずだよね、と気楽に見ています

また、現時点ですでに金銭面以外のリターンをたくさんいただいていますね。エンジェル投資をすると、自分が一切関わることがないはずの業界にすごく詳しくなるんですよ。特にスタートアップは上場企業がやっていない領域にチャレンジしていることも多いので、珍しい領域にすごく深く触れられるのが楽しいですね。

───確かに、一般的な企業だと拾わないような領域にチャレンジするスタートアップが増えているのも魅力的だと思います。

あとは、自分でビジネスをやっていたら直面しないであろうハードシングスってあるじゃないですか。本当にお金がなくなったり、人間関係のトラブルだったり。自分で体験するのはつらいですが、話を聞かせてもらうことで擬似的に体験できるのは経験値になっているのかなとは思います。

お金にまつわるトラブルなんて、話を聞くだけでも怖いくらいです。多分、皆さんが投資されるタイミングはこれから頑張るというような時期だと思いますが、事業が逆回転を始めたときに関係者がどういう行動をとるのかは、その時になってみないと本当にわからないものだと学んでいます。

───本当に生々しい人間ドラマが繰り広げられますね。

そうですね。そういう状況になって、やむなく事業を畳んだり、M&Aで譲渡したりといった選択をするオーナーもいらっしゃいます。ただ、僕自身のスタンスはそうなったら仕方ないと考えていますね。投資した瞬間に『心の中の簿価』を0円にしているので、1円でも戻ってきたらプラスです。まあ、そんなこと言ってたら「期待してなさすぎだろう」と怒られちゃいますけど(笑)

坂本流!「成長するスタートアップ」の選び方

───いろいろなスタートアップへのエンジェル投資を通じて成功も失敗も見てこられたと思いますが、坂本さんの目から見た成長するスタートアップには何か特徴はありますでしょうか?

これはお恥ずかしい話でもあるんですが、僕が「この事業はすごくいい!」と思って投資したところで、その事業のまま成功している会社は本当に少ないです。いいところ半分くらいじゃないでしょうか。

例を挙げると、マットレスの「NELL」を展開している株式会社Morghtは、元々2ちゃんねるの代替になるようなコミュニティアプリ開発からスタートしていました。その次にYouTuberのファンが集まるアプリを作るも、それも鳴かず飛ばずで。なかなかうまくいかないと思っていたら、ある日「坂本さん、次はマットレスやります!」と言ってきたんです。

───すごい方向に転身していますね。

最初は驚きましたが「正直成功するかはわからないけど、君なら多分頑張るんでしょ」くらいのつもりで話を聞いていました。この1件から学んだのは「人さえよければ、いずれ上手くいくだろう」ということです。起業家がイケているなら、事業はなんでもいいじゃないかと。やはり最後は人が大切なんだと思います。

───ここはイークラウドでもギャップを感じるポイントなんです。エンジェル投資家の皆さんにアンケートをとると、新規性や独自性を重視する層がいる一方で、人間性を重視する声も間違いなく多いんですよ。この人なら生命力がありそうだとか、この事業がダメでも次でいけそうだから応援したいという意見を受け取っています。

───そういった人間的な魅力、起業家としての魅力を見極めるために投資家として気をつけていることはありますか?

エンジェル投資はVCのように何度も面談してデューデリして決めるわけではなく、せいぜい1回2回の面談で判断しますよね。私はその面談時にすごく細かいところまで質問しまくるようにしています。

※デューデリ:デューデリジェンス(Due Diligence)の略。投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること

本当に事業のことを考え抜いて、勝てる方法を常に試行錯誤していますという起業家は、何を聞いてもすぐにパッと答えを返してきます。その答えの中に、僕のような業界の門外漢では知り得ないような情報や深い考察を出してもらえると、「仮にピボットしても、次の事業も同じくらい考え抜いて勝ち筋を見出してくれるだろう」と信用しやすくなりますね。

そういう意味では、イークラウドさんに掲載される案件は非常に厳しく見られているので、ある程度人間的な部分もクリアしているんじゃないかと勝手に思っています。そこまでいったら、創業者がどれだけイケていても、当たるか当たらないかはもう運次第ですね。

起業家応援と自己肯定感アップを両立!?エンジェル投資の魅力とは

───エンジェル投資について色々と伺ってきましたが、最後に坂本さんが考えるエンジェル投資の魅力を教えてください。

私はエンジェル投資によってつながった人々の関係に、とても魅力を感じています。自分で会社を作るような起業家は会社経営には優れていますが、世の中には彼らが知らないジャンルの専門家がいます。法律なら弁護士、エンタープライズ営業ならエース営業マンといった具合ですね。起業家はそれぞれの専門家の力を必要としていますが、両者を結びつける場がないことにとてももったいなさを感じています

もし専門家がエンジェル投資で起業家とつながっているなら、同じ船に乗っている仲間として力を貸すということもできるじゃないですか。そうなると起業家側も助かりますし、専門家も自分が社会に貢献できているというポジティブな体験を得られますので、双方にとっていい結果になるのではと思っています。

なので、私はエンジェル投資、特にサラリーマンエンジェル投資がもっと世の中に広まるといいと思っています。ぜひイークラウドさんと一緒に、そうしたムーブメントを世に出していきたいですね。いずれエンジェル投資をした方々の口から「こんないいことがあったよ」という声が出てくるようになると、日本がさらにいい国になっていくと期待しています。

坂本さん、ありがとうございました!

株式投資型クラウドファンディングで約10万円からエンジェル投資に挑戦できる

社会課題に挑戦したり、新たなイノベーションに挑戦するスタートアップを投資で応援することで、社会貢献と経済的リターンを両面で追求できるのがエンジェル投資の最大の魅力。

しかしこれまでは金額の壁、投資機会(コミュニティ)の壁、情報の壁など、いくつかのハードルがあり、一般の投資家にとってはまだまだ遠い存在でした。

イークラウドはインターネットを通じて多くの投資家から少額ずつ出資金を募る「株式投資型クラウドファンディング」という仕組みを提供していいます。坂本さんにもご紹介いただいたように、イークラウドはこの仕組みを通じてエンジェル投資をもっと身近な存在に「民主化」していくことを目指します。

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▼坂本達夫さんのnote・YouTubeチャンネルはこちら

▼坂本さんと波多江がNewsPicksで「エンジェル投資」について対談させていただきました

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