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HPVワクチン問題とゼロリスク信仰

アラサー・アラフォー時期を心身健やかに生き生きと過ごしていきたい、という欲張り3人組が始めたポッドキャスト番組第18話。三女まりが産休中のため(収録時)長女さおりと次女ともこの2人で語り合いました。

今回テーマは、「HPVワクチン」です。

収録をした2020年1月に出てきた以下の記事の存在や、前回のフェムテック業界のエピソードの時に話題になった「日本と他の国の間では薬の認可のタイムラグが大きく存在する」問題つながりで、取り上げることにしました。

(注:収録以降、日本ではHPVに関する新しい展開もあるのでそれについては記事の最後に参考記事を追記しました)

1. ヒトパピローマウイルス(HPV)について

まずはワクチンの話の前に・・・そもそもHPVって?というところから今回のエピソードは始まります。

子宮頸ガンの原因の95%以上はこのウイルスのせい、と言われているHPV。性的接触により子宮頸部に感染するもので、性交経験のある男女の8割程度が一生のうちに感染機会があるという、ありふれたもの。表面上に出てくる症状が無いため、感染してもそれを知らなかったり、ウイルスを持っているとわかった人でも、いつ感染したかはほとんどの場合わからず、という特徴があります。

そのHPVに感染しても90%の人は、免疫の力でウイルスを自然に排除すると言われていてて、残りの10%の人でも子宮頸ガンになるまでは、ウイルス感染▶︎長期間持続▶︎自然治癒されなかったウイルスが異形成(いけいせい)▶︎子宮頸がんになる、と数年以上がかかる、と言われています。

2. HPVワクチンと子宮頸ガン

で、そのウイルスに対するワクチンですが、これはある時期(小学校6年生から高校1年生までくらいの間)にワクチンを打っておけばHPV感染を防ぐ確率を高めることができるといわれているもの。

HPV感染が減れば、子宮頸ガンにかかる人も減る・・そういう期待があることもあり、世界ではこのワクチンを摂取することを推奨している国が多くあります。ちなみにHPVの感染はコンドームなどでは完全に防ぐことができないのでワクチンが予防法としてはもっとも確実らしいのです。

ちなみに毎年日本国内で1万1000人ぐらいの女性が発症、毎年3000人前後の女性が亡くなっているのが子宮頸ガン。特に:①2000年の少し前ぐらいから国内で発症数がV字型で増加、②20~30歳代の若い女性で発症するケースが増えてきている、というのが気になる点です。上記掲載の記事にもありますが、子育て世代が多くかかるため「マザーキラー」とも呼ばれることもあるとか。

3. 日本での流れ(2013年以降)

でも、最近特に日本でHPVワクチンが話題になっているのはなんででしょう。そういうことを話しました。日本では以下のような流れがあるのですね(とてもざっくり整理すると)。日本特有の流れです。

2013年4月に小学校6年生から高校1年生の女子を対象に公費で打てる定期接種となる▶︎接種直後に体調不良を訴える声が相次ぐ▶︎2013年6月に厚生労働省によって「積極的な勧奨」が中止される▶︎6年以上が経ち、接種率は1%未満(一番高いときは約70%だったことも)

詳しくはここにありますが ↓

日本は先進国で唯一、子宮頸がんが増え続けている国ともいわれている状況と、1%未満のワクチン摂取率という現状は無関係ではないような気がします。

4. 日本での流れ(2019年後半以降)

そして注目されるのは、2019年以降少しづつ出てきた社会での動きです。例えば2019年11月には日本産科婦人科学会がHPVワクチンの積極的勧奨再開に関する要望書を、内閣官房長官と厚生労働事務次官に提出したり、自民党の中でHPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟が発足されたり、と。

5. マジョリティとマイノリティのニーズ追求、そのバランス

そういう時に気をつけないといけないバランスがあるよね、という話にもなり・・・

「(副反応が)100%ゼロであるという必要はない。我々は世論形成をしながら、反対論者に耳を傾けながら、しかしそれでも進める。なぜなら公益の大きさが違うから。しかし十分な配慮はしましょう。十分な研究はしましょう」- HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟に関する記事より

副作用により体調を著しく損なったと主張する声を無視するわけではない形で、それでも多くの人を救うことが出来うるかもしれないという公益のためにどういう意思決定をしていくのがいいのだろう、・・・そんなことについて話しました。

エピソードでは過去に日本であった他のワクチン導入時の変遷などをみながら(経口生ポリオワクチンや日本脳炎ワクチンなど)今のHPVワクチンを巡る日本の国や社会(世論)のあり方を比較したり、長女さおり、次女ともこそれぞれの想いを語り合いました。

6. 他の国の状況をみて省みる日本の状況

他の国でもHPVワクチン普及の障壁が存在しないわけではない・・でもその中でも普及がどんどん進んでいるという状況。そんな日本の外からみてみると・・・・ということが語られている以下の記事の内容も興味深いね、という話にも。

子宮頸ガンのほかにもHPVで引き起こされるガンはあるということで(中咽頭がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がんなど)男子にも摂取させていく動きもでてきている、という話も(以下の記事はフランス。アメリカでもCDCのサイトにはvaccinating boys and girlsとあります)。

収録後の話ですが、日本でもこういう動きが出ています。

また、このnote執筆の段階では以下のような動きも。まだまだ日本国内で動きが起きてきそうなHPVワクチンというテーマです。

5. Thank you

と、今回はここまで。

ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございます。こんな感じの発信内容に興味を持ちそうなご友人がいれば、ぜひリンクやエピソードをシェアしていただけると嬉しいです。

また、聞いてますよー、であったり、このテーマで私はこういう経験があります・こういう意見があります、というご連絡をいただけるのも本当に嬉しいです。いつもありがとうございます。

それでは、また次回!

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Photo by Volodymyr Hryshchenko on Unsplash

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