なろう系以上に、「希望というニーズ」に応えられなくなっているポピュラーミュージック

エンターテインメントとは、ターゲットにもよるけれど「希望」というニーズが詰まっているものだと思っています。だけれど、クリエーター側がニーズに応えづらくなっているような気がします。

先日も書いたのですが「ぼっち・ざ・ろっく」のヒットは、自閉症スペクトラムとしか思えない子が「ささやかに」コミュ障を乗り越えるという内容に、受け手がリアルを感じたからだと思っています。
社会を恐れて、働くことをあんなに嫌がっていた子が、最後に「バイト行かなきゃ」と呟く姿にみんな自分を重ねたのだと思います。(「バンド練習行かなきゃ」ではないところがポイントです)

たぶん、その「ささやかさ」が受け手にとってリアルだったのです。 たぶんバンド大成功メジャーデビューエンドでは、あんなヒットにはならなかったと思います。

逆に言えば、世の人々は、そんなささやかな成長にしかリアルを感じられなくなっている、とも言えます。
それはほとんど絶望でもあって、だから「来世でチートしたい」なんて思っているニーズに応えたコンテンツがいわゆる「なろう系」だと思います。

前から書いていることですが、ビートルズ以降のポピュラーミュージックの真の商材は、音楽そのものではなく「僕もポップスターになれるかも」という希望だったと思っています。
それが商材にならなくなったいま、ポピュラーミュージックは、アニソンにしか活路を見出せなくなってしまっているのだろうと考えています。

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