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【募集告知第2弾】Edible KAYABAENでは、只今ガーデナー募集中!

前回このブログで、Edible KAYABAENガーデナー募集告知を開始したところ、うれしいことに、早速10通弱の応募がありました。そして応募してくださったどの方もとても魅力的な経歴と情熱を持っていて、これは選考が相当難航しそうな予感です。。。笑

さて、今回のガーデンナー募集告知第二弾では、ガーデナーとして働いていただくEdible KAYABAENがどんなところか、ここで行われている子どもたちの活動のエピソードを交えてお伝えしたいと思います。

ここは、都市の子どもたちの生きる力を育む、学ぶルーフトップガーデン

KAYABAENでは、近隣の公立小学校の2年生がやって来て、ガーデンを教室に授業が行われています。その中から昨年行われた授業を紹介します。その授業とは、秋にタネをまいて育てた大根を調理して食べるというもの、ここにさまざまな学びの要素が込められています。

・・・みんな、食卓の準備を進めています。テーブルにはギンガムチェックのテーブルクロスが掛けられ、その真ん中には食べられる花やハーブ、サツマイモのツルでつくったリース、真っ赤なザクロの実、どれもこれもこのガーデンで収穫されました。それらを、子どもたちが次々に飾り付けていきます。

キッチンでは、湯気の上がる鍋に子どもたちがチョキチョキ刻んだ大根の葉っぱを入れています。完成したのは、大根と里芋のお味噌汁。どちらもガーデン育ち、お味噌はKAYABAENで仕込んだもの。子どもたちが、自分たちと先生と、ガーデンスタッフも数えて全員分のお椀に注いで、配膳します。

「このテーブルあと3つ!!」「あ、先生の分がない!」
声を掛け合いながら、手を動かし、足を動かし。
そうしてようやく、みんなで手を合わせ、命に感謝して「いただきます!」。

「おいしい!」「おかわりあと10回したい!」「味わって食べるんだ。大切に食べるんだ」「里芋食べたことなくて、(少し躊躇しながらひとかじり)うん。おいしい!」
子どもも大人も一緒に食卓を囲んで誰もがいい笑顔、その喜びがKAYABAENからあふれ出し、東京中に広がっていくかのようです。

photo by Shiho Nishi Morizawa

学びのための教材は、ガーデンで育つすべての植物と生き物たちです。

Edible KAYABAENは、「子どもたちの生きる力を育む」ことをビジョンの一つに掲げる、学びの場としての側面を持ちます。
近くの公立小学校の子どもたちだけでなく、地域の子どもたちや、近隣のインターナショナルスクールの子どもたちもやってきます。

「Edible KAYABAENの植栽を考えるときには、1つのレイズドベッドの中にどれだけゆたかな多様性を育てられるかを大事にしています。例えばトマトの苗を植えたら、そのまわりにはバジル、ナスタチウム、マリーゴールド、コスモスなどいくつものコンパニオンプランツを植えます。大根を教材に選んだら、7〜8種類の大根のタネを撒いて育て、それぞれの大根の違いを生育の過程から味に至るまで観察します。

こうした多様性に満ちたガーデンには、それだけたくさんの生き物が集まってくるんですよね。虫も、鳥も、微生物も。それだけでもう、学びと発見の宝庫です。子どもたちは、多様性なんて言わなくても、学んでいなくても、それが大切だということを感覚としてちゃんと分かっていて、子どもたちは大人が思う以上になんでも知っているんです!」

そう語るのは、KAYABAENを運営するESYJ(エディブル・スクールヤード・ジャパン)のガーデンティーチャー、りゅうりゅうこと山本竜太郎さん。

エディブル・スクールヤードは、アメリカ初のオーガニックレストラン“シェ・パニース”のオーナーシェフであり「食の革命家」としても著名なアリス・ウォータースによって、1995年に始まる教育プロジェクトです。

教育の基本と言われる読み・書き・計算の前に、何をどう食べるかを考え、感じ、身につけることが、子どもたちの成長に重要だとする考え方に基づき、食べることをとおして様々な教科と統合的しながら、生命の繋がりを学んでいく教育手法です。そこには、「食べることは生きること」の根源的なメッセージが込められています。

開園当初より、子どもたちの学習プログラムを担当しているりゅうりゅうに、学びの場という視点から見るガーデンについてお聞きしました。

ガーデンティーチャーりゅうりゅうこと、山本竜太郎さん
photo by @ari.co.design

Edible KAYABAENはどんな「学びの場」を目指しているのでしょうか?

「Edible KAYABAENは「食べられる森」を目指している場所です。「食べられる森」という言葉には、単に野菜やハーブや果物がたくさん育つ場所という意味だけでなく、食べること全体の営みを通じて、豊かな場所を作っていこうという思いも込められています。

ここではコンポストで土を作るところから、大人も子どもも、いろんな人が関わるんです。その時その時で屋上に集うメンバーは違いますが、それぞれが持っている技術や経験や熱量をKAYABAENに注ぎます。種をまき、世話をして、収穫して、料理して、食卓を囲んでいただく。この一連の食べる営みが、この場所を豊かにする循環となっていくことを目指しているんです。

食べるプロセスに参画する子どもたちは、食べるものがどこから来るのか、あるいは、旬や野菜の種類や育て方といった生きた知識を得ます。でもそれ以上に、仲間と協力することや、創意工夫すること、自分の得意を発見すること、場所や仲間への貢献感を得ることなど、生きる力と呼ばれるような社会情動的スキルを自然と身につけていくことができるんです。大根のお味噌汁の授業で、子どもたちが進んで自分の役割を見つけて、生き生きと楽しそうに食卓を作っていく姿には、目を見張るものがありました。

KAYABAENで起こることすべてが、子どもたちの学びと成長の糧となっていくんだと、実感しています。」

大きく育った大根を観察する子どもたち
photo by Kuvonne

ガーデンは、その子が本来持つ自然のリズムでいられる場所

印象に残っている子どもたちのエピソード、何かありますか?

「ある日の授業で、担任の先生から1人落ち着きのない子がいて屋上で暴れはしないか心配なんだと言われたんです。ところが実際に授業が始まってみると、子どもたちはそれぞれガーデンで思い思いに穏やかに過ごしていて。一体どの子だったんだろうな~って思っていたら、オレガノに顔を覆いかぶせるようにして香りをかいでいた男の子のことだったんですね。その様子を見ていた先生はとてもびっくりされていました。普段落ち着きがないと言われてた子が、暴れることもなく、とっても静かにオレガノの香りに夢中になっていたんですから。授業の後、彼はガーデンのオレガノを持って帰り、その日以来ずっと筆箱の中に入れているそうです。

やっぱりガーデンは、子どもたちにとって安心して学ぶことができる場所なんだなって思います。元気な子は解き放たれたようにガーデンを満喫しているし、落ち着きのある子は落ちていたトウガラシの実を手の平の中でじっと見つめていたり、あるいは食いしん坊な子がクラブアップルとか、マイクロキュウリとか、ニンジンの葉っぱとか、ずっとなにかをつまみ食いしてたりします。

ガーデンって、その子が本来持つ自然のリズムでいられる場所なんだなって感じています。それって、学びの場として一番大事なことだと思いませんか?」

photo by @ari.co.design

現在ガーデナー募集中ですが、どんなコラボを期待しますか?

「一刻一刻変わっていく植物たちの姿を自分が一番楽しんで、そこから発見したことをもう表現せずにはいられない!みたいな方に来てもらえるといいな~って思っています。ガーデナーの方が日々野菜やハーブや果樹と向き合って、コンポストを動かして、発見することや気づくことの1つ1つが、子どもたちにとっての貴重な学びの種になりますから。

子どもたちにとってガーデンがどんな出会いの場になっていくのか、それを育て、導くのが僕たちの仕事です。でも、僕自身まだまだ野菜を育てることへの知識も経験も足りてないので、ガーデナーの方と一緒に学びながら、実験しながら楽しめるといいなって思います。」

エディブルのプログラムでは、時にはガーデナーがグループティーチャーとなって、子どもたちの気付きや発見に寄り添います。
photo by @ari.co.design

りゅうりゅうさん、ありがとうございました!

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現在Edible KAYABAENではガーデナーを募集しています🌱
詳細・エントリーはこちらの記事からご覧ください🌈

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Edible KAYABAENでの学びの土台にあるのは、エディブル・スクールヤード発祥の地、カリフォルニアで巻き起こった愛と平和のムーブメント。1960~70年代のカウンターカルチャーから脈々と流れる地球回帰への意識は、時代を経て映画『都市を耕すーエディブル・シティ』(2014年米制作)に描かれた食べられるコミュニティづくりへと発展していきました。
次回は、その『エディブル・シティ』の登場人物、食で世界を変えようと奮闘するアントニオ・アルカラさんのパートナー、ウィーバー・佳奈さんにお話をお聞きします。佳奈さんは植物学者で、薬草研究家であり、自身もガーデニングをこよなく愛しています。🌱
お楽しみに!


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