（*2014年にSNSに書いた日記に少しだけ手を加えたものです。）

大船渡線にゴトゴト揺られながら、これを書いています。
ちょっと長い日記になります。

オットが出張で珍しく別行動の週末、ふらりとみちのく一人旅に出ました。
目的は、ある方にお会いすること。

震災から何ヶ月も経過し、新たな厳しい寒さに向かう頃
気仙沼の避難所で毛布が足りていないとの募集をTwitterで見かけ、簡素な毛布を1枚求めて送りました。
やがて、私の毛布と手紙を受け取って下さった方から
避難所からようやく復興住宅に移り、仕事も始めて頑張っています、ととても嬉しいお便りをいただき、細々と交流が始まりました。
季節のお菓子をお届けしたり、こちらがかまぼこをいただいてしまったり（汗）
電話では何度かお話もし、いつか会いましょうねと言いながら多忙のうちに時は流れ……

一昨年の秋、オットの仕事で遠野を訪れる機会があり、ふっと時間ができて急な思いつきで連絡してみたのですが
お仕事をされているというかまぼこ店の情報だけを手がかりに海の近くの住所を辿ると、何と曜日によって山の方にある別の会社で働き始めたばかりとのことですれ違い。
その時もお電話だけで、会うことは叶いませんでした。

土曜日がお休みと教えて下さったので、時間と旅費の節約のためにも、仕事の後、池袋発の深夜バスでGO=3
職場近くの飲み屋さん おいちゃんで軽く腹ごしらえして、ドキドキの出発です。

Kさんのお宅は気仙沼の手前のバスターミナルから近いそうで、到着が早朝ということもあり、是非うちでひと休みして！と強く言って下さって。
思い描いていたそのままの優しいお母さんのお気持ちに甘え、仮眠を取らせていただいたばかりか、朝ごはんまでごちそうになるという大変面目ない展開に！ (・ω・;)

でも、おかげでリラックスして、たくさんお話を伺うことができました。
こちらから話を引き出すことはしないと決めていましたが……
古い社宅を利用した、住所で言うと一ノ関市の仮住まいには、被災したおうちから救出したという趣味のよいいくつかの家具に、藍色の布や、ねこやふくろうの小物、棟方志功の版画などが飾られ、すてきに暮らしていらっしゃいました。
この地方の人たちが手仕事好きとは知っていましたが、骨董屋さんや布小物をお友だちと見て回るのが楽しみのようで、変わった色の繭糸で織った自然なグラデーションのストールなども目を引き。
そうそう。このガラス、何と津波に飲まれた自宅の倉庫から、奇跡的に無傷で回収されたものだそうです！

その後、震災の被害を伝えるリアス・アーク美術館の一角を案内していただきました。

一昨年にも、根こそぎ町が消えた陸前高田の惨状や、気仙沼の街なかで陸に乗り上げた船などを肉眼で目のあたりにし大きな衝撃を受けたのですが

めちゃめちゃに潰され、捻れた車や、鉄骨や電柱がまさに目の前に。
一つひとつが単なるがれき、物ではなく、人びとの暮らしを背負ったもので。小さなストーリーが土地の言葉で添えられていて。
台所の床のかけらや玄関のベルを見つけて愛おしくて泣いたとか、たまりませんでした。

その後、潮吹岩で有名な岩井崎にも連れて行って下さいました。
以前はここから眺める海が大好きでよく食事に来ていたけれど、震災後ゆっくり来るのは初めてとのこと。
波と戯れるかもめの様子や、元気に噴き上がる潮に嬉しそうな表情を見せ、地球は丸いねぇ……と、しばしベンチでぼんやり海を眺めて過ごします。

そのすぐ脇の小さな食堂（丸正食堂さん）でいただいた、生うに定食がこちらになります☆
うに、何個あるんだろう？？
贅沢にもスプーンで掬ってそのまま、少しはごはんにのせて丼に。
持ってるそばからウニウニと動いているのです！ ( ´Д｀)
Kさんも、割った殻から直に食べるの初めてだそうで（笑）うにの元気な動きに大いに盛り上がりました。
今しか食べられない旬のうに。お店のご夫婦は、今年からやっとこれが出せるようになったんですよー、と嬉しそうでした。再建にずっと頑張ってこられたのでしょうね (´･_･`)

市街地を中心に地盤を嵩上げするための工事が進んでいて、何ヶ所も現場を見せていただきましたが、土を運ぶトラックが道路を忙しく行き交っています。
いずれはKさんも、慣れ親しんだ気仙沼の街なかに新しく建つ住宅に移れる予定なのだそう。
お一人暮らしで被災し、偶々お買い物に出ていて被害のひどかった地区にいなかったため命拾いしたKさん。
一人暮らしのため避難所を出る際の優先度が低く、8ヶ月を体育館で送りました。
今ではご高齢ながら、仮設住宅を巡回して市への要望を汲み取る、大切なお仕事をされています。
この2年の間にも町は大きく変わっていて、まだまだ先は長いけれど、前に向かって頑張っている人たちを知りました。

貴重なお休み。早朝からすっかりお世話になってしまったので
午後は海見え日帰り温泉で降ろしていただき、お買い物をして帰ることに。
「温泉ゆっくり入り過ぎて、乗り遅れないでね♡」と、優しい笑顔に見送られ、今大船渡線です。

お土産に、ホヤぼーやのキーホルダーと、お揃いなのよ、とはぎれで縫った小洒落たポシェットもいただいてしまいました。「大漁」の文字が粋ですね (=´∀｀)

思い返すと、今日はたくさん笑っていたのかな……
思い切って来てよかったです。
長々と、ダラダラと……
お読みいただきありがとうございました！