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教育ITエキスポで感じた「プログラミング授業」はなぜ必要?<前半>

■英語とプログラミング必修化にむけて

 6月にお台場で開かれた教育ITソリューションEXPOと学校施設・サービスEXPOに足を運びました。ITというだけあって、とにかくデジデジ!

特に2020年から必修化されるプログラミング(情報処理)と英語の授業に活用できるIT教材やプログラムが大半を占め、たまに過疎地での遠隔教育用のデジタル教材やサービス、今話題のN校のような教室で行う授業をメインにしないような学校が導入している教科学習アプリやサービスもありました。

 GoogleやMicrosoftといったような大手IT企業から、教科書会社や新聞会社、ベンチャー企業まで、ITは比較的大小の企業が同じ土壌で勝負ができるエリアなんだと改めて痛感。もちろん大手はそれだけのノウハウや安心感はあるでしょうが、ベンチャーには新しいアイデアや切り口があったりと、それぞれの持ち味の違いがまた面白かったですね。

■プログラミング能力があればいい仕事につけるのか?

 2020年から必修化される情報処理ですが、なぜプログラミングを全員が学ぶ必要が出るのだろう?と改めて疑問に思う人もいるかも知れません。AIが人間に取って代わるとか、何でもITの社会になるから必要だと言う人もいますが、”AIは別に万能の神でもないし、人間を脅かす怖いものでもない”というのはシリコンバレーでAI起業をした石角友愛さんの著書『いまこそ知りたいAIビジネス』(←これAIができることについて分かりやすいのでお薦めです)にもある通り恐れるものではないのです。それに、今ある全ての職業にプログラミングやITが必要とは限らないですよね。

 今の子ども達がおとなになる頃には8割がいまは存在仕事になると言われていますが、それだってその新しい仕事すべてにITスキルが必要とは限らない。「英語みたいにITスキルがあれば、いい仕事につけて、高給取りになれるってこと?」と聞かれてハッとしました! そうか、まだ何故必要かということがすごく曖昧なまま導入されようとしているのだと。

■英語もITスキルも身に着けたら世界が広がる

 上記のような「なんとなく今後は必要な時代になるよね」というのはみんな思っているものの、「で、どうするの?」というところがちゃんと見えてこない。これは、多分本当にこれからの話しなので正解はまだ見えない部分ばかりなのでしょうが、個人的には「英語と同じで、できなくてもいいけど、できればそれだけアクセスできる情報や機会、可能性が広がるから」だと思っています。英語も、いまやできる人が溢れているし、それだけで給料があがるというスキルでもない(活用しなければという前提)。英語が話せる人でも、英語を日々仕事で使っている人は、本当に一部でしょう。

 しかし、英語ができれば、膨大にあふれる日本の外の情報にもアクセスできますし、そこから新しい視点や可能性が開けることも多い。話せることで出会える人もいるし、そこから学ぶこともこれまでの自分とは異なる価値観や経験をもっていたりする。私も英語を仕事に日常使うことはほぼないのですが、「英語ができてよかった」って思うことは多々あります。(それは夫が英語を話すということだけでなく)

 プログラミングなどのITスキルもスキルが身についていたら・・・IT系の仕事につかなくても、例えば音楽やアートだって表現方法が広がるし、一人でオーケストラ並みの作曲や演奏だってできてしまうわけです。会ったことのない海外の人とオンライン上でコラボしたり、作品交換をできるでしょう。例え家で過ごしていても、ITスキルで外とつながったり、外の情報を集めたり、発信したり、仕事もできる。

 一方で、日本はいま深刻な人口減問題を抱えている。皮肉なことにこれだけは世界最先端なんですよね。2030年には644万人の労働人口が足りなくなると言われています(パーソル総研調べ)。IT、そしてAIをうまく活用できるようにならないと、仕事が回せなくなるのです。「AIが人間の仕事を取る」のではなく、「AIやITをうまく活用して仕事をしないと、人手が足りない」のです。だからこそ、必要なスキルであり、ではどうやって活用するかというところこそ、柔軟で経験豊かな人間の頭が必要になるのです。でるからもちろんITスキルだけでも役に立たない。それを使う人間のイノベーティブな発送が必要になるのです。

 別にプログラミング自体を仕事にしなくてもいいのです。

「英語はツール」とよく言われますが、これからは「ITもツール」として子どもたちの未来の可能性を広げてくれることでしょう。

 さて、後半では、このエキスポで感じた違和感について語ってみたいと思います。



これからの教育や子育てはどんどん可能性がひろがっていく!ワクワクする新しい考え方を、フリーエディター&ライターのみどりが日々の取材などからつぶやきます。