『堕武者狩りのセン』 第1部第2話 【ハナビ・コンペティション】

芥子陽市河原町区

200X年8月31日午後8時35分

「早くミクちゃんに告って来いよ!」「えっまだ心のじゅウワー!」仲間に背を突き飛ばされたイガグリ頭の少年が、少女の持つポン菓子袋に突っ込んでたちまちポン菓子まみれになった。

物陰で頭を抱える仲間たちの背後、「アーン!アーン!」5歳くらいの男の子が、破れた金魚掬い網を投げ出してべそをかく。涙目の男の子は暫し母親に何かを訴えていたが、5分もすれば他の屋台に目を輝かせることだろう。例えば水風船掬いなど。

その水風船掬い屋台から800m先、川を挟んだ対岸の暗がりで、名刺交換が行われていた。

『堕武者狩りのセン 電話番号090-××××-▲▲▲▲』

『堕武者 鬼部 焼人課 第八係 爆雷屋砕助 電話番号444-辷??エ縺吶k-謦偵″謨」繧峨○』

ミトンめいた厚手の籠手をつけ、全身に髑髏型の手榴弾を無数に吊り下げた危険な堕武者は、忌々しげにセンを睨み上げた。

センが腰掛けるのは、暴発して黒煙を上げる大筒である。20秒前にセンが叩き壊したものだ。砲撃によって多くの血肉と魂を得ようとした砕助の目論見も花火めいて消え散ってしまった。

故に砕助に容赦無し!「蜷ケ縺埼」帙?縺」呪詛の叫びと共に、掌の中に握りこんでいたオレンジ色の、ビー玉大の玉を投げつけた。センは危機を感じ、バック転で玉から距離を取る!

センのバック転から0.5秒!ビー玉はたちまちバスケットボール大に膨れ上がり、そしてカブーム!河原の石を砕きつつ破裂!

ALAS!読者の皆さんはもうお分かりだろう。ビー玉の正体は、極限まで圧縮された手榴弾の爆風である!砕助は、狂気染みた握力と呪詛の力で爆風を圧縮させることができるのだ!投擲によって身体から離れた爆風はエネルギーを取り戻し、敵の間近で膨れ上がり呑み込む。砕助は「爆圧の呪法」に絶対の自信を持っていたのだ!

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