【カラテリング・コン】#0

1.ニンジャ・カラテリングとは?

現代のプロ・レスリングが、平安時代にリアルニンジャ達によって行われた「ニンジャ・カラテリング」に起源を持つのは読者の皆様も既にご存知であろう。

では、ニンジャ・カラテリングの起源は?こちらはニンジャ研究家毎に諸説ある。緊張関係にあるニンジャクランや支配モータルに対するカラテ示威行動にあるという説、逆に同盟ニンジャクラン同士の交友関係にあるという説、或いは単なるカラテトレーニングメニューの発展と見る説もある。

しかし、その全てに共通しているのは、対戦相手を死亡若しくは肉体欠損に至らせるほどの攻撃は野蛮な行為とされ、違反者はムラハチやセプクが課されてきたことだ。

ニンジャが立ち枯れの時代を迎えるとともにニンジャ・カラテリングもまた衰退し、より過激なシャドー・コン等がとって代わった。

潮流が変わったのは月破砕から1年程が経った頃。古い文献でニンジャ・カラテリングを知った有志のニンジャ数名が再開したのだ。

これに目をつけた広告系メガコーポ「電影」がバックアップし、ネオサイタマのスイドバシ・ディスティンクトの旧東京ドームを買収してニンジャ・カラテリング専用スタジアムに改修。知名度は表裏問わずニンジャ社会全体に広がった。

こうして、スポンサーを求めるフリーランスニンジャや、ニンジャエージェントのリクルートを検討するメガコーポ関係者が続々とスイドウバシに集まるようになった。

2.カラテリング・コンへの発展

ニンジャ・カラテリング大会が第三回を迎えた頃、ニンジャでもメガコーポリクルーターでもない者達の姿が会場に見られるようになった。

独自の技術を有するも、メガコーポほどの資金力や知名度を持たぬベンチャーコーポは、自社で作成した試作品(兵器や戦闘サイバネに留まらず、装飾品やウェアラブルUNIX、戦闘補助ソフトウエア等も含まれる)を参加ニンジャに無償提供し、以って「自社製品は過酷なニンジャのカラテにも耐える品質を有する」ことのアッピールを目論んだのだ。これにより最新装備アドバンテージをに魅力を感じたニンジャや、技術提携先を求めるメガコーポ関係者によって会場は連日大賑わいとなった。抜け目無い大会運営は即座にVIP個室スペースを増設、有料業者の登録製品には、過酷なニンジャのイクサに耐えた証として「NINJA_SPEC」のロゴマーク使用を許可するようになった。

安からぬチケット代を払って、プライベートで観戦に来る格闘技マニアックのカネモチ客の存在も無視出来ない。意外に思われるかもしれないが、彼らの中にはキョートのシャドー・コンには全く興味を示さなかった者も多い。カラテ家の極限のワザマエを見たい欲求と、ゴアやサツバツへの嫌悪感は決して矛盾するものではないのだ。

スタジアムの半径約1㎞は露店即売スペースとなっており、出場者の装備品の同型もしくはダウングレード品の他、合法プリント基板やICチップ、軽食が売られている。近年では常連参加ニンジャのプロマイドやピンバッジ、ボブルヘッド人形、同人誌、プラモデルの割合も増えてきている。

3. カラテリング・コンの掟

ここまで読まれた方は、或いはこう思われたかもしれない。「カラテリング・コンとはなんたる欲と暴力に塗れた異常世界か!会場は恐らく、ネオサイタマ屈指の犯罪多発地域に違いない!」と。

確かに、「欲望」という面では弁解の余地は無い。UNIX入金音、囁き声、IRC端末にまくし立てるリクルーター、そういったものが絶えることは無い。しかし、「八百長」は一切発生しない。発生させるメリットが無い。カラテリング・コンは互いにワザマエやテックを披露し合い、win-winのままオジギして終了なのだ。余程力量差があるか、一方が著しく自制心に欠けていない限り、死者は愚か「勝敗」すら付かないのが通常だ。カラテリング・コンはトーナメントや殺し合いではなく、あくまで型、或いはデモンストレーションなのだ。

また、犯罪行為や審判の許可の無い戦闘行為も一切禁止だ。カラテリング・コン会場は「獄麗」と並ぶ中立地帯であり、違反者を通報、取り押さえた者には出場費用、広告宣伝費がキャッシュバックされる。ニンジャや企業戦士は率先して相互監視に協力するので、カラテリング・コン会場付近はネオサイタマ屈指の治安の良さを誇る。

4.関係者

ブリングアップ

カラテリング・コン再開発起ニンジャの一人であり、現運営委員会会長。植物を短期間で成長させるソダテ・ジツにより、会場を短期間で草原や森林に変えることができる。厳つい顔に似合わずお茶目で、自身の公式ピンバッジを販売したがあまり売れず、在庫がヤバい。SNSフォロワー数15042人。


アジテイター

元カラテリング・コン参加ニンジャ。カラテもジツもイマイチだったため生活が困窮していたが、美声とゼンモンドーのワザマエを買われて会長秘書兼リングアナウンサーに転職した。会長を敬愛しているが、グッズ販売には否定的。SNSフォロワー数39124人。


タカソ・ユウ(高相 祐)

非ニンジャ。プロジェクションマッピング高速作成技術と端麗な容姿を買われ、会長秘書兼広報担当に採用された。いつもIRC端末で関係無い動画とかを見ているのでアジテイターには好かれていない。SNSフォロワー数149853人(鍵付きでは49人)


エンド・カモン(遠藤 掃部)

非ニンジャ。元東京ドームグラウンド整備員だったが、そのまま持ち上がりで会場整備主任として雇われた。職人肌で無口だが、1ヶ月に一回呟くハイクは大体バズっている。本人はSNSアカウントを持っていないが、非公式発言集botのフォロワーは30983人


キャリアー

キョート出身の営業担当。ビッグ・ニンジャクランの憑依者。陽気な男だが、キョート時代の事ははぐらかして話そうとしない。SNSフォロワー数124人(顔見知りしかフォロー許可しない主義)





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