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俳句 虎に翼 4月

笹舟や憲法可決の六月
どの口に差別されないふかし芋
逃げ水や戦禍そのまま道普請
空蝉や見合い相手の身上書
夏真昼はいかいいえの会話あり

秋麗五黄の寅の見合かな
秋宴婚約祝ひ父母揃ひ
秋の昼珍問答の橋の上
愛の羽根法の講義の夜学生
立ち話教授登場秋気澄む

秋の夜や弁当渡し秋めく夜
入学へ疑問の晴れの講義室
麦の秋三者面談終え汁粉
惚れた人バケツの水も虹となり
虎が雨したたかに説け生きる道

一目惚れ春の丸亀この娘いて
麻柄の手拭叩(はた)き九月かな
花衣男のはしゃぎ披露宴
春袷母の沈黙米の水
牧開き君の話を遮らず

春二番母の米砥ぎ厨の陽
はるはやち地獄の覚悟胸にうけ
目指せども母の障壁越せぬ雉
すたすたと母は古書店春動き
あたたかし六法全書胸に抱き

入学や浪人写し記念写真
春袷生石の校門徒待ち
キャンパスの学舎の奥の咲く桜
インタビュー入学抱負溢れ出て
がやがやと学舎案内春着かな
染まらない黒き法服待つ四月

法律の問ひに答へぬ清明節
のんどりと教授朗読眠り落ち
到着の路面電車や春埃
噴水に隠れる如き友の行き
法廷の動かぬ空気夏きざす

時鳥鳴くことならぬ裁判所
夏きざす傍聴ふたり官の待ち
読む訴状想ひ出遺る浴衣かな
夏浅し世の流れ添い変わる法
刑法の穴を探して夏の月

放課後の餡蜜三つ揃いたり
勝訴婦の茨の花の咲く道ぞ
大挙して遠足気分裁判所
握り立ち麦秋至る判決書
麦の秋傍聴席の主文待ち

法廷の竹の秋風吹くを見て
我春着揺らぐ心証取り戻し
後輩と教え子褒めて生ビール
邸宅の平らに飾り赤い薔薇
微妙なり芋煮の味の嫁の舌

ぞくぞくとキャンパスを辞す秋初め
おにぎりや爽やぐ庭のランチかな
秋なれど体調不良苛立ちぬ
うそ寒や卓袱台にあり毒饅頭
秋麗女中の淹れし紅茶では

舞台衣装狭い小部屋の縫ひ始め
桐箱の乱れを見せず栗子餅
成し遂げぬ舞台の準備秋の春
それぞれの背負ふものあり文化祭
文化の日法廷劇のやじの飛び

暴力の法廷劇や紅葉散る
切株や姉が焼き芋別れ前
秋麗や鏡台も見ず髪を切り
寒露踏み家出の草履やびちょびちょ
秋寂し法を犯して法学び

恵まれぬボーイ働き秋づく日
饅頭や世話した借りを返す秋
珈琲もとらず議論へ草相撲
毒入りの月見饅頭玄関へ
姑の小豆饅頭甘すぎず

栗饅頭画して友と造りたし
母意見高きに登る弱さ知れ
母守り丸亀の味かけうどん
学び終え白亜の学舎朧なり
月のものツボ和らげて春袷
ぎゅうぎゅうの男ばかりの入学式

卓袱台の入学祝ふ桜鯛
教場の見下ろす男子春朧
男らに対抗心のピクニック
餡蜜や好きな言葉は開拓者
春の宵父酔ひ帰り上り端

策凝らし仮病の代理五月来る
告白や授業の君へ春遅き
待ち構えやにわ渡せぬ落とし文
邪魔の無き堀のさざ波春思かな
ひらひらと黄色スカートピクニック

やまびこと交わす言葉や春動く
靴ずれとハートのいたむ野遊びよ
転落の待合室や百千鳥
母の背の春の光の窓の外
法学部離婚準備の油まぜ

初夏の見舞ひも来ずの午前かな
いかづちや好きを含ませ遠回り
朝曇食のすすまぬ家庭不和
放課後の素足のきみと講義室
片かげり家宅捜索黒い服

捜索の上る土足や冬めける
秋を待つ予審判決鉄格子
門前のたむろの記者の暮の秋
冷(すさ)まじや真昼ひたすら米を砥ぎ
座敷前弁護へ二人枯葉載せ

拒絶如六法全書暮の秋
腰痛の尋問続き蛇の衣
学生は学校竹の皮脱げば
父迎ふ草の色づく上り端
秋の宵ふて寝の光り薬指

懐の謂われなき罪錢暑かな
秋めくや赤き煉瓦の裁判所
秋半ば父の真実重き蓋
文化の日母の日記の新証拠
秋の宵狭いサロンの弁護士ら
 
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