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Saras Sarasvathy教授の授業(2)CausationとEffectuationの見極め

こんにちは、広瀬です。今日は前回のお話の中で「CausationとEffectuation」と言う見出しでCausationとEffectuationの違いについて説明しました。この時、例に用いた4つの窓のマトリックスを覚えていますか?


前回のストーリー

Causation/Effectuationマトリックス

これです。

今日は、この図の深い意味を書いていこうと思います。
表を分かりやすく文字表現すると以下の様になります。
Pivot:まだ先が全然見えない状態(予測不可、コントロール不可)
Plan:成功を予測して進む(予測可能、コントロール不可)
Co-Create:今できる事をやる(予測不能、コントロール可能)
Persist:自分がこの先を作る(予測可能、コントロール可能)

多くの起業家はPivotから始まり、Co-Creation(Effectuation)に進む、とサラスヴァシー教授は述べています。
また、Pivotから始まり、はやくもCo-Creationの窓に移り、新たな展開を考える時Plan(Causation)の窓で新たなプランを練ったり、そして新たな展開が波に乗ってその事業の成功が見えてきた時にPersisitの窓に移る、とも述べています。(Co-CreationからPersistに移る場合もあり、逆の場合もあります。)
さらに、多くの熟練した起業家はビジョナリー(先見の明がある)が多いので、Persistの窓で事業を進めている人も多いが、その基本はCo-Create(Effectuation)であるとも述べています。Persistの単語の意味からも「固執する、頑張り通す、~し続ける」と言う意味があることからも納得できます。

マトリックスは現在の立ち位置

この様に、このマトリックスは今の自分たち(会社)の立ち位置を示しており、それに応じて次の軸足をどこに置くかを教えてくれるものです。
こう考えると、初めからPlanな方もいれば、Persisitな方もいるでしょう。しかし、状況に応じてCo-Createに戻ったりPivotに戻ったり、Co-CreateとPlanを繰り返したり、Co-CreateとPersistを繰り返したりと、または、ずっとCo-Createに留まったりと事業の展開に合わせてその都度自分の立ち位置を考えるのに役立つマトリックスです。

大規模事業はCausation

ここからは一般企業向けの私見になります。
一般論ですが、事業企画部や経営企画部などの企業の中枢部で新規事業の立ち上げを担当されている方々は、基本的にはPlanな方々がほとんどだと思います。予測した新規事業の成功のために、時間とお金をかけ様々な調査を行い、Contingencyプランも盛り込み、新規事業を成功に収めようとご尽力されていると思います。多くの人や多くの企業の知見を結集しないと話がまとまらない事業の新規開発(国家事業、都市開発、交通網の整備など)は、やはりPlanのCausationから始まるものと思います。大規模事業はいきなり数百人の方々が関係してくるかもしれないので、厳密なプロジェクト管理、リソース管理、企業間の連絡網、ステアリングコミティーなどを予め定義しておかないと仕事が進まないかもしれません。

小規模事業はEffecuation

しかし、
自社(と言っても数万人規模の会社もありますが)だけで閉じている場合、初めから上記大規模事業のような仕事の進め方をするべきでしょうか? 事業計画が佳境に入ったときにはCausationな大規模プロジェクト管理が必要になるかもしれません。しかし、はじめの一歩はEffecutationで考えたほうがご担当の方も気が楽ではありませんか? 今ある予算内でとりあえず自分たちでできることをやってみて、それがこれからやろうとしている新規事業とどれほど乖離しているのかGap分析を試みるのも一つの手だと思います。これはCausationの典型であるAS-IS/TO-BE/Gap分析の手法ですが、TO-BEをEffectuationに捉えると良いと思います。

個人の独立や一人会社の立ち上げなどは、Effectuationな方法で取りかかったほうがスムーズに行くと思います。

Effectual Business Modeling Method

ところで皆さん、Effectuationと5つの原則を理解したとして、果たしてすぐに独立・企業・新規事業の立ち上げってできると思いますか?
できると確信する方は、どうぞそのまま先に進んで頂きたいと思います。
確かに、今考えていることをどういうステップで事業化に結びつけるのだろうか? Bird-in-Handの「私は誰で、何を知っていて、誰を知っている?」、Affordable Lossで損失を考慮した上で出来ることを考え、Crazy Quiltで様々な人と会話し、これだけの情報でどうやってビジネスを立ち上げるのだろうか、と思いませんか? 
毎月の収入が保証されていて、副業が許可されている人は「副業の収入度外視で」何かを始めるキッカケにはなると思います。しかし、独立や起業を考えている方々はそういう訳には行かないでしょう。そこで私が考えた独立・起業を実現させるための方法論がEffectual Business Modeling Methodです。次回はこのお話をしたいと思います。お楽しみに。

筆者オリジナル方法論

PS.
この方法論は、一般企業向けの新規事業立ち上げにも利用可能です。
その代わり、あくまでもEffectuationが根底にあります。

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