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歌詞探訪:荒井由実『ルージュの伝言』

多くの小学校の運動会では、午前の部が終わると家族と一緒に昼食を取って、午後の一番は5、6年生の鼓笛隊演奏で始まる。うちの子ども達の学校でも例外ではなかった。ある年、下の子が今度の運動会で『ルージュの伝言』を演奏するんだと言うので一瞬耳を疑った。

えっ!あんなの小学校でやっていいの?!
だってあの歌は、夫に浮気された妻が姑のところにチクりにいく歌でしょう?

そんなこと思った保護者は私くらいのもので、他の方々はさほど気にしていないようだった。演奏だけで歌う訳じゃないからいいんじゃない…程度の反応だった。ジブリ映画『魔女の宅急便』の挿入歌のイメージが強いので子ども向きだと捉えている人も多いのかもしれない、

この歌を好きという人は確かに多い。好きな理由は明るいアップテンポの曲調がダントツだけれど、口紅じゃなくてルージュ、風呂場じゃなくてバスルームというところがお洒落とか、70年代当時割高な口紅で贅沢に落書きしてしまうのがかっこいいといった意見が目立った。ユーミンの歌は当時の女性、いや少女達に贅沢でお洒落な世界を垣間見せて夢を与えていた。

しかし。。。甘いなぁ、ユーミン!
この歌が発売された1975年にユーミンは21歳、翌年松任谷正隆さんと結婚されているので何となく結婚した後のことも想像していただろうけど…やはり世間知らずのお嬢さんが書いた歌だなと思う。昭和のホームドラマだったら姑は息子を叱るどころか逆に嫁のほうが叱られてしまう。
「そんな夫婦の恥を堂々と口にするなんて、恥ずかしくないの。そもそもあなたがいたらないから浮気されるんでしょ!」
となるのが落ちだ。

私が姑の立場だったら(まあ、うちの息子は浮気する力量もないだろうし、その前に結婚できるかどうかも怪しいのだけど…)
せっかく遊びに来てくれたんだから手作りケーキでももてなして、夕食もたらふく食べさせてあげよう。でも息子を叱ったりはしないだろう。嫁も叱りはしない。
「夫婦の問題は二人で解決しなさい」
と、まあ、冷たく突き放すだろうな。

それで、この歌の背景を私が勝手に妄想したのが以下のおはなし。
こんななら、納得できるかも。
     ー    ー    ー    ー
名門大学付属小学校に通うユミちゃんはマサタカくんというステディーのボーイフレンドがいた。前々から夏祭りに一緒に出掛ける約束をしていたのにマサタカくんは転校してきたばかりのミユキちゃんと二人で夏祭りに行ってしまった。マサタカくんはユミちゃんの育ちの良さやセンスの良さに惹かれていたけど、今まで出会ってこなかったミユキちゃんの雑草のような強さに新鮮な魅力を感じていた。
哀しくなったユミちゃんはマサタカくんのおかあさんに訴えた。
「おばさん、マサタカくん、ユミと一緒に夏祭りに行く約束だったのにミユキちゃんと二人だけで行っちゃったの」
「まあ、先にお約束していたのにユミちゃんをおいていっちゃっていけない子ね。後でよく言って聞かせとくわね」
    ー    ー     -    ―

最後までお付き合いくださりありがとうございました(^^)

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