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esportsで求められる"選手の自発性" : 九十九一門代表にインタビュー(後半)

" e-話 "走り出しの企画では、「esports」についての考えを深めるため、業界で活動を行う方に以下の3つの質問を投げかけています。

①なぜeスポーツ業界で活動しようか思ったのか
②観戦者として見た際のeスポーツの魅力
③esports業界に将来どのように育っていってほしいか

今回はesportsチーム「九十九一門」の代表であり、廃校×esports構想、ゲーミングシティ構想の発案者で知られる、なかじーさんにお話を伺いました。
最後にはこの「e-話」が生まれるきっかけともなった、なかじーさんとよろずさん(Twitter:@yoro2u)さん発案のメディア計画についても、少しだけ質問させていただいています。

(本記事は後半となっております。)

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なかじー
・廃校×e-sports ゲーミングシティ構想 発案者
・九十九一門代表。
九十九一門Twitter→ https://twitter.com/onlynakazi
なかじーTwitter→ https://twitter.com/tukumomaster
note→ https://note.com/nakaziiiiii
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③esports業界に将来どのように育っていってほしいか


ーーなかじーさん的には、esports業界にはどのように育っていってほしいですか?

僕はめちゃめちゃ「esports盛り上げようぜ!」って側ではないですね。

もちろん育てる気ではあります。
ただ、それが第一の思考に入っていないかなと思っていて、目指したいところを言うのであれば、「プロゲーマーになる」とか「ゲームに関わる仕事」を目指す上で障害がある形ではあまり良くないと思います。
応援されるという形でなくてもいいですが、「若いうちだしチャレンジとしてやってみてもいいよね」というような了解を貰えるといいのかなと。
そのレベルで、色んな人からのesportsに対しての意識が「共感」ではなく「理解」のうちにとどまれば、僕はそれだけで同じかなと思っているので。

それに必要ものは、esportsのチームであれば「人材判断」みたいなものですかね。
「本当にこの人がこれだけのお金を貰う必要があるのか」
これを経営側がどれだけ判断できているか。
アマチュアの時点でどれだけ貰ってもいいのか。
「先行投資」と言ってしまえば額は大小変化しますが、
「どういう視点で選手達へのお金が決まっているのか」
という点を選手も理解しないといけないと思うので、若年層の教育は早めにしないといけないのかなと思います。


ーー確かに、今のesports業界は入口部分の情報量が少ないと感じますね。

「eスポーツ」の「スポーツ」って、ビジネスとして考える時のエコシステムが現状のスポーツビジネスと近しいからという理由だけで、ゲームがスポーツとしての競技性があるというよりかはそっちの認識が大きいのかなと思います。
そういう視点で考えると、現状の構成や歩合制が本当に自分達の給与制にあっているのかなというのは、現状のスポーツが大抵は示してくれていると思うので、
「俺はわからないから、ゲームやるわ」ってゲームをやっちゃうのではなく、
「わからないから聞こう・わからないから調べよう」という思考があるのは、プロゲーマーを目指す人にとって大事なことなのかなと思います。


ーー世間のゲームに対する印象はあまり良くないものだと思うのですが、原因の一つとして「セカンドキャリア」についての話を良く耳にします。プロゲーマーの方のセカンドキャリアについては環境も整備されてきていますが、それ以外の「あまり結果を残せなかった方」についての意見も聞きたいです。

中途採用の際に自分を売り込むコツとか、ググればめちゃめちゃ出てくると思うんですよね。
esports業界で飯を食っていくという決断をした時点である程度の厳しさはわかっていたと思います。
こちら側からどうこうするというのも必要ではあると思うんですけど、自分で何もしないような人は逆にどうなのかなと。
そもそもプロゲーマーとしてプロとなっていない時点でプロフェッショナルではないですし、技術的には何とも言えないところじゃないですか。
それで頑張るよりかは、中途採用で別のことをやるという方が良いのかなと思っちゃいますね。
そういった人達にリソースを割く必要があまりないかなと。
毎朝起きてゲームをやって、大会をやって勝つか負けるかってチームと、負けてもSNS等ではちゃんと値が取れてるし、スポンサー営業活動もできますって人だったり、僕は後者の方にお金は出します。
僕はこういった経営者視点で選手を見るんですが、選手が自発的にそこら辺を考えられているのかというのは、これからは大事なところなのかなと思います。


ーー最近は、esportsというよりかはTwitchやYoutubeなど、ネット文化の方向に力を入れないといけないような雰囲気は出てますよね。

マネタイズの仕方が悪いかなと思います。
今って、大きなプラットフォームを展開している企業側が自分の給与を反映させてるじゃないですか。
例えば家庭教師とか、CMで流れているような会社に登録してやるより、個人契約で少し長期で行った方が、お金は少し多めに貰えたりするので、自分を売り込む営業力を身に付ければ、そんなにリスキーな稼ぎ方はしなくてもいいのかなと思いますね。それこそ最近だとコーチングとか出てきてますし。


ーーなかじーさんが代表を務めている「九十九一門」では、メンバーに対して心掛けていることなどありますか?

頑張れってことくらいですかね(笑)
割と公認主義というか、お金も出してないし契約もしていないので、言ってることを100%守る必要はないというか、緩い感じでも良いのかなと思ってたりしますね。


ーー最後に、このe-話が生まれるきっかけともなった「メディア計画」について聞かせてください。特に、なかじーさんの考えを拝見させていただく中で、「個人にフォーカスした」メディアを作りたいという文章が気になりました。

まず、メディア計画を立ち上げた理由ですが、
僕の個人的なビジョンで「文化を醸成する」ということをしたくて、それを自分でしたり、したい人を助けたりもしたかったんです。
そういう時に、僕が昔から好きだった「文字」とか「本」とかの力が、今のネットや本なんかを見ていたりすると割と弱まってきているのかなと。それなら、自分の頭を頑張って使えばなんとなるのかなと思って始めました。

文化を醸成する時に必要なのは何だろうなと思った時に、やっぱり若い人の力は強いなと思っていて、
若い世代をターゲットにとった時、Z世代と言われる世代が自分のビジョンにマッチしているなと思いました。
そのZ世代には「個人にフォーカスしたもの」を尊重する性質というか方向性があるのかなと思います。


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『編集後記』文 ; kuginail
編集後記では、インタビュー内容の文字起こしだけでは伝わらない場の雰囲気や、恐縮ではありますが私個人の感想を記載させて頂きます。

実はこのインタビューは前半後半合わせて30分という短い時間の中で行われました。
元々は30分から1時間程を予定していたのですが、なかじーさんの弾丸の如く飛び出す濃厚な考えの数々に圧倒され、僅か30分でK.O.されてしまった次第です。

普段からなかじーさんのTwitterやnoteは拝見させていただいていたため、しっかりとした考え方をお持ちの方だと感じていましたが、いざVCを繋ぎお話をしてみると、やはり他にはない雰囲気を感じました。
それは経営的視点に立ったものから感じる雰囲気でないということは確かです。
なかじーさんの雰囲気を表現しろと言われれば、私は白黒写真を持っていきます。
白黒は強力なフィルターです。何を被写体にしているかは関係なくすべてが独自の雰囲気に染められます。

その印象はどこから来るのか。
まずは視覚的情報として与えられる「プロフィール画像の渋さ」。
次に聴覚的情報として与えられる「声の質」。
また第一印象として与えられる、VCを繋いだ瞬間流れていた「チェロの音色」もあるでしょう。
これが編集後記で一番書きたかった事だという話は置いておいて、
最後に与えられる情報として、
「物事を俯瞰的に、落ち着いて見る思考」
を持っているのだと感じました。
廃校×esports、ゲーミングシティ構想などは、多くの人ならもう実行しているでしょうが、市場を俯瞰しタイミングをしっかりと見計らっていました。
また、esports業界の中にいる人はesportsの魅力に囚われがちですが、これもただただ自分の理想を押し付けるのではなく、第三者的感覚を大事にしていました。

esportsはまだ不安定な木橋のようなもので、しっかりと叩いて渡る"べき"橋でしょう。
そんな橋を渡り切ることのできる人間は、なかじーさんのように場の判断能力に長けた人間なのかもしれません。

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なかじー: https://twitter.com/tukumomaster

Kuginail: https://twitter.com/kuginail  

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