「お行儀の良いesports」に興味はない-よろずから見たesportsインタビュー後半-
前半ではesports業界に飛び込んだきっかけから、「おそらく自分は10年後にはこの業界にいない」とまで語ったよろず。後半ではインタビュアーと雑談も交えつつ、esportsへの願いを語る。
--:ナキ
-:長月
--:5年後も10年後も(キバを剥いていてほしい)。
よろず:うん。
--:先ほどよろずさんが「プロ野球のことはよく分からない」と言ってたんでお答えすると、今はほとんど居ないけど、大体2000年くらいまではお客さんにヤジを飛ばされたら、「バカヤロー」って返す選手が普通にいたんですよ。
他にも結構言われる事なんですけど、日本の野球が人気になっていった理由って、巨人軍vs他球団の構図があったからなんですよ。巨人軍は紳士たれっていうのが言われるのは、(キャラ付けとして)そうじゃないと他が目立たないからなんですよね。で、ON(王、長嶋)に対抗するヒールが出てきたから盛り上がったんですよね。それで、特に1970~90くらいは罵り合いでも盛り上がった。
よろず:なんかありますもんね、デッドボールで乱闘?になったりとか。アレめっちゃおもろいっすもんね。
--:おもろいっすよ(笑)
よろず:そういうのもっとあって良いはずなんですよね。
--:乱闘でいうと、これすごい話逸れちゃって申し訳ないんですけど、結構前に中日ドラゴンズに乱闘要員っていうのがいたんですよ。
よろず:へぇ~(笑)。
--:レギュラーとしては全然なんですけどだいたいベンチにいて、試合中に中日の選手がデッドボールしたりされたりするじゃないですか。そうして乱闘になると、ベンチからその三人くらいが一目散に出ていくんですよ。っていう人たちがいたくらいには、あの世界ってプロレスでした。
よろず:あ、そうなんですね。
--:そういう色んなのがあったから、プロ野球はブレイクしたっていうのもあるのかなって、さっきのよろずさんの話聞いて思いましたね。
よろず:今の世の中ってホンマにマナーとか規律を重視してるけど、そういうのが絶対面白いと思うんですよね。
--:せめて治外法権欲しいですよね。試合中というか、ゲームしてる時というか。
よろず:欲しい。だってゲームで悪口言う人が、日頃から変質者みたいに暴言吐きまくってるわけじゃないですからね。ゲームやってる時だけっすからね。それ以外は割と普通に生きてるから。
--:そういう面白さがあるってのを広められたら良いですよね。
-:プロでもやっぱり自分と同じようにケンカするんだ、みたいに親近感が湧くんですよね。普段のプレイとかは凄く自分とか、一般の人たちとかけ離れてるから、もっとプロゲーマーが身近な存在になっていって欲しいなと思うんですよね。
よろず:なんていうんですかね、教育の為とか、押しつけになると冷めるんですよね...
スキルがあれば、プロゲーマーじゃなくても稼げる
--:プロゲーマーのセカンドキャリアってどう考えてらっしゃいますか?
よろずさん:正直、プロゲーマー本人にスキルがあればあるほど、そういうのは考えてないと思います。結局お金を稼ぐのって用いるものが違うだけだと思ってるんで、ホンマにスキルがある人はesportsを取り上げられても仕事で成功する人たち。
だからそういう人たちは、お金の面でセカンドキャリアは心配してないと思うし、第一線で戦ってる人たちはセカンドキャリアなんか考える前にゲームしてると思います。
--:そうなんですね。
よろず:そういうセカンドキャリアとかの話は、勝ちに尽力してない人の逃げ道なんじゃないですかね。生活しようと思ってプロゲーマーになってる人なんていないと自分は思ってるんで。
もちろん不安はあると思うんですけど、結構世の中ってなんでもコンテンツ化出来るんで、それこそesportsの専門学校で講師やっても良いし、YouTuberにも元はプロゲーマーって人がいるし。「プロゲーマー」っていう肩書を得られるのが、サラリーマンとかと同じくらい利点だと思うんですけどね。
--:その不安っていうのだったら、そろそろ社会人チームっていうのが出来てもおかしくはないんじゃないのかなって思うんですけどどうでしょう?
よろず:それよく聞くんですけど、それが面白そうだなって全く思わないんですよね(笑)。esportsってゲーマーのトップの為にあると思ってるんで、どういうところが魅力なのか分からない。
--:アマチュアスポーツとか競技の良いところは、よりお客さんとの目線が近いって所ですかね。なので、見てる側もより親近感を持って応援しやすい。ここはエンタメ的なメリットかなと。
プレイヤーからしても、社会人としてある程度安定した収入を得られつつ、プロになるチャンスもあるっていうのではないか。まあギラギラした感じではないですよね。
よろず:うーん、その話で必ず、食えるか食えないかの問題が出てくるのが好きじゃないんですよね。肩書とかはどうでも良いから。
だからこそ例えて言うなら「めちゃくちゃ強いニート」みたいな人が出てくるし、そこが平等で面白いと思うんですよね。
--:特に考えることはないと。
よろず:中途半端になっちゃいそうなんですよね。金銭面も、プレイヤーのレベルも。中途半端が一番良くないってよく言うじゃないですか。
結局、面白い競技シーンが見れたらマナーとかも言わなくて済むんじゃないかなと思うんです。漠然とした答えですけど...。
--:いえいえ。個人的にはよろずさんの意外な一面が見れて嬉しいです(笑)。やっぱり「ギラギラ」って大事ですよね。
プロレスが最高の娯楽
--:よろずさんとしては、業界が大きくなったり稼げるようになっても「ギラギラしてたら良いよ」という感じですか?
よろず:というかそれが一番理想ですね。俺も影響受けてる人がいるんですけど、その人と話してて話題に出るのが、「プロレスが最大のエンタメだよね」っていう。
--:なるほど。
よろず:そこまで詳しくないんですけど、見てる方がスッキリするのが一番のエンタメ。映画とかでも泣いてスッキリしたり、恐怖でスッキリしたり。プロレスなんかも、ちょっと怖いなっていうイメージもあるけど、人ぶん殴ってる瞬間ってあそこくらいでしか見れないじゃないですか。
--:確かに、あそこまで派手にやり合ってるのはなかなか見れませんよね。
よろず:難しいんですけど、逆にそれが中途半端になるとただの殴り合いになっちゃうからそうはなって欲しくないなと思いますね。
--:単に「ギラギラしてる」とか「煽るのが良い」って言うと誤解を招きかねないですけど、煽りに品格というか、楽しさが欲しいという感じですか?
よろず:なんていうか、イラついたときに煽るのって結局おもろいじゃないですか。みんな通報されたりしてゲーム出来なくなるからやらないだけで。やれるんなら...(笑)
-:(笑)
よろず:敬遠ってあるじゃないですか、わざと塁に出させる。それが戦略として認められているのと一緒で、ゲームの中にあるものは全部使って良いからこそゲーム。『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』でもどこでも行けたりするじゃないですか。
--:あぁ、この前宇宙見つかったりしましたね(笑)
よろず:そんなんあるんすか(笑)。そうそう、そういうのとか、モンハンの裏世界とかめっちゃおもろい。
バグっておもろいじゃないですか。でもesportsでは禁止されてたりして、それって面白さ半減というか、勿体ない。ちょっとしたバグとか裏技を使って勝つ人って居ると思うんですよね。
伝わるか分からないけど、『Splatoon1』で、斜面にスプラッシュシールドっていうのを置くと早く展開できるっていうテクニックがあったんですよ。それって戦略にはなってるじゃないですか。
-:はい。
よろず:ただそれがあまりにも強すぎて修正されて、そのテクニックが強かった96ガロンデコっていうブキが使われなくなったんですよ。そういうのって、戦術の幅を狭めてる(出来ていたことが出来なくなる)事だと思うんですよね。それは面白くない。
煽り要素も同じようなものだと思っていて、ゲーム内に搭載されている機能だから、それは使った方が楽しいと思うんですよ。
--:『スマブラ』のアピールとかですね?
よろず:そうそう、ドンキーコングのアピールとかめっちゃ煽り性能高いじゃないですか。そういうゲームの開発側が遊び心で入れたものを使っちゃダメ、ってそれはおかしいと思うんですけどね。もちろんチートは絶対ダメですけどね。
-:使えるなら使っちゃえ、と。
よろず:特にRTAなんてその最たるものじゃないですか。バグがあるからおもろいと思うんですよ。そういう楽しみ方は無くなって欲しくないなと思いますね。欲しくないし、無くしちゃダメです。
よろず (@yoro2u)
ゲームを こよなく愛す ライター。
・元 静岡 e-Sports team Quintette 所属、専属のブロガー として 活動していた。
・現在 note にて esports に 関する記事を 掲載中。
ライター:ナキ
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