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心象風景

絵本との再会は、学生時代に友人と一緒に至光社・丸善共催の世界絵本作家原画展に出かけたことがきっかけだった。そこで買い求めたポスターを自室に貼って眺めているうちに、いつしかこれが自分の心象風景となっていった。

やがて家を出て数十年を経たとき、ふと、この自室の風景が頭をよぎった。そうだ、たしか谷内こうたさんの絵本だと思い出して探したところ、すぐに原作の絵本に辿り着いた。ポスターは絵本『なつのあさ』の後半の1ページだった。

谷内こうた 文/画『なつのあさ』(至光社、2007年)

【以下ネタバレあり】
この絵本のあらすじは至ってシンプル。男の子がひとりで朝から自転車を走らせ、汽車を見にいくというもの。帰宅するとクレヨンで汽車の絵を描き、また明日も見に行くと。彼のその夜の夢はきっと汽車というところで終わる。

いつか田舎へ行ったときに、遠くの土手を行く汽車を見ました。それは、なんとも口ではいえない、いい感じのものでした。その音と走るようすは、今でも鮮明によみがえってきます。色々な、わずらわしいことを考えずに、ただただ汽車を見ているのも、いいものです。

本袖の作者コメントより

思えば私自身も、なにも考えずに景色を眺めているのが好きだった。眺めたあとにちゃんと絵を描いている才人とは異なり、ただボーッと見るだけで終わったのが凡人の凡人たる所以。叔父の谷内六郎さんに勧められて絵を描き始めたという谷内こうたさんは、本作『なつのあさ』で日本人として初めてボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞されている。『魔女の宅急便』の画家ウルスラの台詞を思い出す。

「魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。」

谷内こうた展 風のゆくえは、東京 ちひろ美術館で10月1日まで開催中。
お近くの方はぜひ🎵


【追記】
当記事をこちらに加えていただきました。
bbさま、重ね重ね、ありがとうございます。思いっきり昭和の部屋はともかく😅谷内こうたさんの絵は素敵なので、スクラップしていただき嬉しいです。