見出し画像

慮る花

この花は「ジャスミンローズ」という名だと思うのだが、どうも心許ない。そんな危うい持ち主の元でも、3年目の今年は6つの蕾が開花した。近づくと仄かに香りが漂い、なんとも幸せな気分になる。

純白に憧れるのはウェディングドレスの影響だろうか。「すぐに汚れるからダメ」と渋る母を説き伏せて、ようやく真っ白いスカートを買ってもらったのは小学4年の時だった。茶や濃紺の地味色に慣れていただけに、喜び勇んで外に駆け出し、校庭で友達と「手つなぎオニ」を始めた。だが、白だから目立ったのか、真っ先にオニに狙われてしまった。つかまるまいと必死に逃げて足を滑らせた場所が、よりによって土色の水溜まりの上。茶色に変色したスカートは見るも無惨で、二度と出番は訪れなかった。

「真っ白」に緊張するようになったのは、それからだ。中学の制服の白いブラウスでさえ「汚したらどうしよう」と怯えていた。純白は憧れよりはむしろ避けるべき対象となり、白い花からは真っ先に葬礼や仏壇を連想するようになっていった。それでも歳月はまた人を変え、白い花を抵抗なく迎え入れるまでにさせてくれるのだからありがたい。

ところが、、、ところがである。純白の花びらがアイボリーに変わったかと思うと、なんとピンクに変色し始めたではないか!🫢

しかも、突然変異はこれだけではなかった。

いつもはすぐに落ちる花殻がしぶとく頑張っていると思ったら、数日してパックリ蕾が顔を覗かせた。こんな二度咲きってあるのか?😧

しかも最後の最後まで変色する徹底ぶり。
「ねぇ、白だと緊張するんでしょ? 好きなピンクにサービスしといたから」みたいな?🤭

こうなってくると、4年目がどうなるのか気になって仕方がない。日々の水やりにも力が入り、甲斐甲斐しくお世話している自分がいる。もしかして、してやられたか、と思わなくもない。