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スタートアップ専門の人材コンサルタントが、Vertical SaaSのメディカルフォースに入社した理由

こんにちは。
2024年1月に事業開発として入社しました坂野です。(2月からプロダクトマーケも兼務)

入社エントリーなので、メディカルフォースに関心を持っていただいている読者を前提に書いていますが、「スタートアップへの転職」「Vertical SaaSでのキャリア」に関心がある人にも参考になるかもしれせん。

というのも、私はスタートアップを対象に採用支援や資金支援(ベンチャーキャピタル)、オープンイノベーション等の事業を展開しているフォースタートアップス株式会社という上場企業でマネージャーをしておりました。

ざっと計算したら在籍中350名近くの方のキャリア相談に乗り(人が会社を辞めるリアルな理由を聞き)、30名ほどの素晴らしい方々のスタートアップ転職をご支援してきました。

フォースタートアップスご支援先一部(2024年3月期第2四半期決算説明から抜粋)
◼︎投資先(順不同)カケハシ、ナレッジワーク、ポケトーク、READYFOR、ユアマイスター、フェズ

メディカルフォースも支援先の1社でしたが、数百社のスタートアップの採用に携わってきた中で「なぜ、メディカルフォースにしたのか?」とよく聞かれるので、どういう軸で見ていたのかについて整理してみました。


簡単な自己紹介

  • 生まれ:1991年

  • 入社日:2024年1月

  • 役割 :事業開発 & プロダクトマーケティング

  • 経歴 :筑波大学卒業後、劇団EXILEに所属。俳優の卵としての芸能界を経験した後に就職活動を行い、広島のテレビ局に入社しアナウンサーとして活動。その後、サイバーエージェントやITベンチャーで法人営業、プロジェクトマネージャー、事業開発を経験した後に、フォースタートアップスで人材紹介や採用コンサルティングに従事。メディカルフォースでは、美容医療・自費診療クリニックを対象とした事業開発とプロダクトマーケティングを兼務。


そもそも、スタートアップがIPOする確率

 非常に低いというのが結論です。
 ラウンドが進まないというのは事業成長に陰りがあるということなので、組織コンディションが悪くなり退職者は続出します。前職では、求職者の自己実現欲求をなるべく高い可能性で達成してもらうために、シンプルに伸び続ける会社ってどういう会社なの?というのを日々見極めてきた結果、大変おこがましいですが、VCの投資理由と近しい観点を意識していました。

 下記図は2008年〜2010年に米国でシードラウンドを調達した1,098社のテクノロジー企業の追跡記録ですが、2回目の資金調達に成功したのは半数未満で、シリーズC(4th)に行き着いたのは14%でした。(日米の違いはさておき)

https://www.cbinsights.com/research/venture-capital-funnel-2/


転職活動で大事にしてきた4つの軸

安定している大企業と違い、スタートアップへの転職は「会社が存続し続けるのか」が大前提にあります。次点で細かい観点はたくさんありますが、私は主に以下の4つを重要視して転職活動をしていました。

①組織・人
②会社・事業のフェーズ
③マーケット(選定の仕方)
④資本政策

①組織・人について

この部分は一般的な転職活動ではなかなか見えにくいのですが、スタートアップに転職する上では最も重要と言えるかもしれません。
事業やミッションを好きにはなれても、一緒に働く仲間やカルチャー、経営陣を好きになれなかったら高いコミットメントは期待できないからです。

組織・人の観点を細かく記載すると、6つありました。

① - ⑴ 会社の目標はどこか

出典 スラムダンク/井上雄彦 集英社

  上場が目標だったり、◯◯業界の改革だったり、事業売却だったり様々ですが、近い距離感の目標だと達成イメージが具体的すぎてワクワクしないので、なるべく遠くの目標を置いてるスタートアップがいいなと思っていました。(もちろん、創業後に経営目標は変わり続けるものですが、「21世紀を代表する会社を作る」という風に目標が大きければ大きいほどスピード感が求められることをサイバーエージェントにいて感じていました)

 大嶋は「100兆円の会社を作りたい」と、会食に行った時に答えてくれました。「トヨタでも26兆円(当時)なので、日本では圧倒的にトップですね」と私が返したら「今、100兆円超えてる会社は世界で◯社です。そのレベルを目指します」と100兆越えの社数をカウントしてました。「この人はマジだ…」と。

やると決めたらやる、できるかできないかではなく、できる方法を探してやる。という強いスタンスを感じていましたし、実際に頼もしすぎるリーダーです。

(創業期のエピソード)ANRI代表パートナー佐俣アンリ氏と大嶋の対談記事



① - ⑵ バスにはどんな人が乗っているのか

ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則
ベストセラーとなった本の中では人材採用を「バスに乗せる」と表現し、「誰をバスに乗せるのか」こそが組織の命運を決めると主張しています。

 いくら経営陣が優秀で、マーケットやタイミングが良くて、資本力あって、素晴らしい戦略があっても、それらをエグゼキューションできる優秀なメンバーがいないと非連続な成長は見込めないと、数々のスタートアップを見て感じていました。特に日本国内に限っては、労働供給力が低下の一途を辿り、人材獲得の単価も競争率も上がる一方です。特に認知度が乏しい初期のスタートアップは経営陣の知り合いや社員のリファラルで構成していくパターンがほとんど。

 メディカルフォースは当時人事をやっていた羽富と、業務上最もやり取りが多かったのですが、とにかくレスが早くて仕事が丁寧でした。こんな優秀な人が人事をやっているなら、この会社は優秀な人が多いのでは?という仮説が立ちました。その後、事業理解を深め多角的にポジションを支援するために代表の大嶋はもちろん、事業責任者の金井CTO畠中とも採用の件で打ち合わせをしましたが、羽富同様に尊敬の念を抱いたことを覚えています。


① - ⑶ どんなVALUEを掲げているのか、なぜそのVALUEにしたのか


 ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)はスタートアップでは当たり前のように作られていますが、VALUEには経営陣やボードメンバーの仕事や組織に対する価値観(原体験、目標としている経営者や尊敬している人からのインスピレーション)がギュッと詰まっています。VALUEの発信や浸透にこだわっているのか、ただ飾ってるだけの標榜かは一旦置いといて、自分が大事にしている価値観と一致していれば、組織ともカルチャーフィットする可能性が高いです。(短期離職している方はここのunfitが多かった)

メディカルフォースの4つのVALUE

メディカルフォースのVALUEには、とてもFIT感を抱きました。4つともかなり大事にしていますが、当時はPunKとHRTに惹かれていました。

HRT
は「メンバー、お客様、業界に対してリスペクトと謙虚さを持って接する」という考えです。これがない人は採用しない!と大嶋は言い切っているくらいこだわりが強いです。実際に、入社後メンバーとのコミュニケーションは非常にリスペクトに溢れていて心地よいです。


出典 スラムダンク/井上雄彦 集英社
桜木花道はPUNK

PUNKは最もメディカルフォースっぽい個性的なVALUEだと思っていて、「セオリーに囚われず、大きな目標に向かって思考し続ける」という意味を持っています。私も根拠のない自信が比較的に強いタイプだからこそ全く未経験の業界・職種にキャリアに挑戦ができたのだと自己分析していますが、誰が見ても難しい目標でもPUNKにやり続ければ近づくと心から信じているので、体現したいし好きなVALUEです。



① - ⑷ 人や組織づくりに関心が強いか

出典 ハイキュー!!/古舘春一 集英社

 過去に所属した会社のなかに、経営陣が組織作りよりも事業に向き合い続けてしまったことで、会社とフィットしない適当な人を採用し、組織の中で負が連鎖して退職者が続出。会社の中で「いつ辞める〜?」と周りに聞こえる声で話す人がいるという悲しい経験をしました。かつ、支援先だったスタートアップの成長が止まる理由に「人」という理由が非常に多いため、重要なテーマとして見ていました。 これはただウェットで優しい会社を作るという意味ではなく、非連続で成長するためには人材がレバーになるという本質を捉えた上で、人を信じ、適切に権限移譲をし、挑戦する人を讃え、失敗しても再チャレンジの機会を提供するというようなカルチャーのこと指しています。メディカルフォースは経営陣を筆頭に挑戦者が多く、どんな職位のメンバーでも挑戦しやすい環境だと思いました。


②会社・事業のフェーズ

私はマイノリティかもしれませんが、シリーズA未満のスタートアップを中心に情報収集をしていました。理由は3つです。

② - ⑴カオス要素が多い

 プレシリーズAやシード期の場合は、一部のスタートアップを除いてPMF(プロダクトマーケットフィット)せずに事業PIVOTしたり、伸びきらずに大手に売却をする可能性が高いので、30代で転職するには若干リスクに感じました。

 シリーズC〜Eになると組織化が進み(経営と執行の分離や、部署やミッションの縦割り化)上場N-2期にはガバナンス強化と予実の整理が進みます。マーケットや経営状況次第ですが、組織規模の拡大や階層化、縦割り化が進んだことによって生まれる歪みを整えたり、成果の再現性を図るためにオペレーションエクセレンス人材が活躍するフェーズです。ビジネスも開発もコーポレートもある程度型化が進んでいます。大企業と違ってカオスな部分はまだまだ残されていますが、ポジションとレイヤーによっては経営陣の顔も見えなくなります。

 私はオペレーションエクセレンスも好きで(前職では横軸プロジェクトもやっていた)のですが、フェーズの浅い会社に入って順調に成長すれば、業務効率化や効果最大化と向き合うタイミングは必ず訪れます。なので、今はとにかく0-1に近いフェーズで事業と組織拡大に携わる経験を積みたいのでこのフェーズにこだわりました。

 

② - ⑵事業と組織に対して強い当事者意識を持ちやすい

  次の会社では長く働き続けたいと思って転職活動をしていたので、圧倒的に当事者意識を持てるようにしたいと思うようになりました。

 サイバーエージェント時代に12,3名ほどでの新規事業に関わり、その後40人のベンチャーで事業開発し、入社当時100名ほどだったフォースタートアップスが2年弱で170名ほどに成長した過程を見たという3社の経験から、[私にとっての当事者意識の醸成=責任範囲や裁量権×入社タイミング×自社サービスや産業への情熱×就業年数]だと解釈しました。

メンバーが少ない時に入り、責任を持ち、情熱をもっていれば何十年にもわたって会社を長く支えられると考えていたのですが、メディカルフォースの将来を考えると、数あるアーリースタートアップの中で最もいい意味で予測できないと思いました。
 

② - ⑶キャリアの拡張性が高い

 これは事業モデルと入社時のポジションにもよりますが、シリーズA未満に求められるのはスペシャリストよりもジェネラリストであることが多いです。MVP(Minimum Viable Product)を作り、PMFする感触を得るまでは特に数多の仮説検証を重ねます。プライシングも、売り方も、顧客セグメントも、機能開発も何もかもがアジャイルで進んでいくので、KPIも変わることもしばしば。そんな環境で、「私はこれが得意なので、これしかしません」は鉄拳制裁です。
 私はジェネラリスト志向なので「このスキルや業種をずっと極めたい」と思ったことが今のところなく、マルチタスクが好きなのですが、部署と部署の間に落ちたボール拾いや、ミッション兼務も行う中で自分が思わぬスキルを開発していることもしばしば。会社が掲げた目標に対して「正しく成果を上げること」が一番の仕事なのでそこだけはブレないようにしてればいいと思っていて、最終面接でもそれを話した気がします。

③マーケット(選定の仕方)

 高いバリュエーションでの上場と、上場後も非連続な成長を続けていくスタートアップにとってマーケットの大きさ参入タイミングポジショニングの3つは切っても切り離せません。

 マーケットは大きい方が成長ポテンシャルあるし、タイミングは早すぎず遅すぎず、他の競合よりも有意なポジション(ターゲット+提供価値+得られるデータ)を取れた方が勝率もスケーラビリティも高いのは言うまでも無いです。

 個人的にメルカリのようなtoCビジネスはフェーズが浅いタイミングで勝機を見出すのが私の脳みそだと難しかったです。toBにおいてはSaaSがトレンドですが、国内ではSansanやfreee、SmartHR等のHorizontal SaaS(外資だとHubspot、Salesforce)が先行し、Vertical SaaSではアンドパッドやカケハシ等が台頭していおり、各社の魅力を勉強し転職支援してきました。

 TAM(Total Addressable Market)が大きく見えやすいのはHorizontalで、Vertical SaaSは業界の大きさにマーケットが比例します。日本の場合は製造業、不動産業、建設建築業、医療、物流等がビッグマーケットでvertical SaaSのカオスマップもここ5年でかなり増えてきました。

 SaaSは顧客数を伸ばしつつチャーンレートを下げるという一見シンプルな戦い方ですが、どの顧客にどの機能から提供し、どのセグメントシェアを奪うかによって中長期での勝負の行方が変わってきます。Winner takes allという言葉がありますが、特にUpsellが行いやすいのもVertical SaaSの特徴です。

メディカルフォースのビジョン


メディカルフォースの魅力は美容医療業界のトップシェアを狙いながらも、コングロマリットに複数産業の成長プロセスを合理化していくスタートアップで、ここに強い魅力を感じました。通常であれば創業メンバーに一人くらい業界に精通したプロフェッショナルがいるものですが(ファストドクター菊池代表は医師、キャディの加藤CEOはマッキンゼー時代に製造セクション担当、カケハシ中尾社長は武田薬品出身)、メディカルフォースは創業メンバー3人とも未経験ながらミッションクリティカルなプロダクトを開発し、ここまで事業をスケールさせてきました。

特に美容業界は市場成長の不可逆性も高く、ペインが明らかで、タイミングも最高に良く、伸び代もかなりあります。

同じ産業は2つとないですが、違う産業でも再現性を発揮できると信じていますし、支援先のクライアントとして非常にリスペクトしていました。

各産業における成長プロセスの合理化軸

キャディからセールスとして入社された田村も書いていますが、以下の2点は私も同じように魅力として捉えました。
・組織規模・コングロマリットの2つの観点から、私も事業責任者になれる可能性がある
・市場規模を理由に救われない人達を救済できる

追加で補足すると、メディカルフォースは美容業界・自由診療の中で最もミッションクリティカルな電子カルテ(診療・オペ)・予約受付・会計の3つから入りましたが、それらの磨き込みはもちろん、開業支援、集患・支払い・CRM・バックオフィス・事業継承というスペースも残されています。(下記図参照)

美容業界の市場規模5,000億円は製造やヘルスケアなどと比べると大きくないですが、シェア20%でも1,000億です。美容・自由診療のような小さすぎず大きすぎないマーケットに対して経済圏を確立していく過程は、キャリアという観点でも非常にチャンスが多いということが想像に易いと思いますが、そのスピード感も非常に魅力です。

権限移譲を早めると質が低下するというジレンマはセットに見られますが、メディカルフォースはなるべく早く他の領域・新しい産業のシェアを取りに行くため、質とスピードを追い求めながら権限移譲を進めているのが印象的でした。とにかく成長したいという人には心からお勧めします。


④資本政策

これはとてもスタートアップフリークでニッチな観点ですが、どんな資本政策をしているのかは会社の行末を予想する上で非常に重要なファクターです。(資金調達にはデッドファイナンス、ベンチャーデッド、エクイティファイナンス、アセットファイナンス、補助金、クラウドファンディングなどあります。)

圧倒的スピードで成長するスタートアップの初期フェーズはエクイティファイナンスを中心に資金調達をしますが、エンジェルはどんな人か、調達先はCVCか、銀行系か、独立系か、海外か、など見るポイントはさらに細かくなってきます。どこから調達しているのかによって経営の意図や背景が見えるのはもちろん、投資家からの期待値も類推できます。

メディカルフォースに投資家として参画いただいているのは、ANRI、ALL STAR SAAS FUND、そして今回からグロービス・キャピタル・パートナーズの方々です。フォースタートアップス時代にとてもお世話になったVCですが、日本のスタートアップエコシステムを支える強力な方々です。こんな素晴らしいチームをパートナーにするメディカルフォースは凄いなぁ、私も仲間になりたいなぁと率直に思っていました。

おわりに


入社して1ヶ月半経過しましたが、美容業界とSaaSのアンラーニングに四苦八苦しているものの、毎日新しいことを覚えている感覚が心地よくています。

「Vertical SaaSに行くと、その業界でしか今後のキャリア築けないんじゃないか・・・」とよく勘違いする方が多いのですが、全くそんなことないです。一つの業界に閉じて何十年も過ごすと流石にそうなりますが、プロダクトライフサイクルがどんどん早くなり、技術革新の速度が高まり続けるこれからの時代に必要なのは「アンラーニングする力」だと思います。

孫泰蔵さんの「冒険の書」は本当におすすめなので、ぜひ手に取って見てください。

「冒険の書 AI時代のアンラーニング」
孫 泰蔵 (著), あけたらしろめ (イラスト)


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