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舞台挨拶レポート シリーズ最恐の呪い!『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』で中村義洋が構成・演出として復活!観客の前で「おわかりいただけただろうか……」を生披露!


シリーズ最恐の呪い!『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』で中村義洋が構成・演出として復活!観客の前で「おわかりいただけただろうか……」を生披露!

取材・文:後藤健児

フォトセッションにて。(左から)藤本祐貴、男鹿悠太、木勢まりあ、中村義洋

「おわかりいただけただろうか……」誰しもが耳にしたことのある、このフレーズを定着させた、心霊ドキュメンタリーの金字塔『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズ。怪奇現象が映った投稿映像を検証するこのオリジナルビデオシリーズも1999年から始まり、今年でついに100巻を迎えた。節目となる今回は、初期の構成・演出を手掛け、シリーズを通して現在もナレーターを務めている中村義洋が、2001年のパート7以来、構成・演出としてカムバック。『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』として、劇場公開されることになった。7月29日の東京・池袋シネマ・ロサでの上映回は満員御礼。上映後には、現在のシリーズを支えるスタッフの藤本祐貴、男鹿悠太、木勢まりあ、そして初代の中村義洋が登壇。観客からの質疑応答に応じ、大いに盛り上がった。
 記念すべき100巻で扱われるビデオは、とある市民バスケの試合を撮影した、古ぼけた映像だ。途中から不可解な赤い映像に切り替わるそれを見た者は、投稿者のみならずスタッフまでもが、何者かの視線を感じたりといった、怪奇現象に見舞われる。中村には、投稿映像に見覚えがあった。それは24年前、中村が構成・演出を担っていた頃に投稿ビデオとして送られてきたものの、諸事情により採用には至らなかった映像だったのだ。怪奇現象の被害が広がっていく緊急事態下で中村は言う、原因を突き止めるためには、投稿映像の元となったオリジナルのVHSテープを探し出すしかないと。『ほん呪』スタッフ総動員でビデオを探しまわるが、その間にも彼らは次々と呪いに襲われていく……。果たして、中村たちは歴代最悪の”呪いのビデオ”の正体を解き明かすことができるのか……。
 シリーズ初期には、VHSや8ミリ、Hi8などが主流だったが、映像メディアの発展とともに、デジタルビデオ、携帯電話やスマートフォンの録画データなども増えてきた。100巻では、1999年のシリーズ初期に投稿されたビデオが、24年をかけて熟成した呪いを令和の時代にまき散らす。初代の中村と、現在を担う新しい世代のスタッフたちがチームを組み、新旧『ほん呪』メンバーの総力戦で最恐のビデオに挑むという、まさにシリーズ総決算となる内容だ。
『ほん呪95』から演出を手掛ける藤本(100巻では、演出協力としてクレジット)、藤本と同じく95巻から参加した演出補の男鹿。そして、演出補の木勢は、今回の100巻で初めて『ほん呪』メンバー入りした。彼らを前に中村は、「(初代の頃は)29か30歳くらいでしたからね。もうすぐ53歳なので、自分でカメラを持ったり、車を運転したり……」と
 久しぶりの現場復帰は苦労の連続だったことを苦笑い。
 100巻は中村演出だが、それ以外の巻は藤本が担当しているため、藤本にとっては自身の担当巻を演出しながらの100巻への演出協力・出演だった。その過酷な日々について、「地獄やと思いましたね(笑)」と正直に吐露。「いつもは自分がカメラを持ってる側だったので、映されるとは思ってなかったんですけど、客観的に疲弊していく自分を見るのが生々しいなと(笑)」とコメント。
 100巻では、呪いのビデオによってスタッフたちが怪異に遭遇していく。木勢は自宅チャイムを鳴らされても誰もいないなどの怪奇現象に見舞われ、「ひとり暮らしでそういう経験がなかったので、誰にも助けを求められないし、精神的に参ってました」と恐怖の体験を振り返った。スタッフの中でも、特に深刻な状況に陥る男鹿は「『ほん呪』に関わらなければよかった……」とまで言い、「(自身が参加し始めた)95巻以降のいろんな呪いがここに集約したんだな」と、今回のビデオがいかに禍々しいものだったのかを説明した。
 恐怖の連続だった新世代スタッフに対して、24年間も関わり続けてきた中村はさぞや余裕かと思いきや、作中のとある場面では悲鳴を上げることがあったそう。「”キャー!”って、ひどい声を出しちゃいました」と照れるように言った中村は、実はかなりの怖がりだった。自身のデビュー当時を振り返りつつ、「自主制作でデビューして、そこからは脚本ばっかりだったんですよ。演出として一番最初にお金をもらえた仕事が『ほん呪』だったんです。恩みたいなものがある。なのに、パート1の頃から、心霊スポットに行ってくれというのが本当にイヤで(笑)」と本音を漏らし、観客からの笑いを誘った。さらに続けて、「『リング』とか本当にイヤな映画(笑)」と言い、場内を沸かせた。
 100巻も中村の怖がりは相当なものだったようで、呪いのビデオに関する、とある重要な場所へ向かう際、「中村さんがなかなか車から出てこない(笑)」と藤本にバラされてしまう一幕も。結局は車から降り、皆についてきたというが、その理由を中村は「外からドアを閉めたら、車内が真っ暗になって、そこにひとりはちょっと(笑)」と、それも恐怖ゆえだったことを明かした。
 質問タイムの最後に観客から「生でナレーションをお願いしてもいいですか?」と求められた中村。静まり返った場内で、期待の表情を浮かべる観客を前にした中村は、それまでの柔和な表情から、あらたまった顔つきになる。そして、例の名調子で「おわかりいただけただろうか……」と口にした。続けて、「画面右上に虫のようなものが……」と、前日の『ほん呪100』上映中、謎の大きな昆虫がスクリーンに止まったハプニングをネタにし、観客から拍手喝采を送られた。
『ほん呪』ファンとの交流も盛り上がった舞台挨拶の最後に藤本は「100巻に限らないですけど、画面に映っていない、いろんな方々に協力してもらってるんです。これからどれだけ続くのかわからないですが、まだまだ怖がっていただける作品を紹介できればと思っております」と『ほん呪』を牽引していくことを誓った。
 これまでの『ほん呪』の歴史を見てきた中村は「最近は心霊系ユーチューバーがすごいよ、やっぱり。それとの戦いでしょうね」と映像メディアを取り巻く状況の変化に触れつつ、新世代を担うスタッフたちにエールを送った。【本文敬称略】

『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』は東京・池袋シネマ・ロサで公開中。他、全国順次公開。

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