「『マッドゴッド』の最終形は、観た後の記憶である」とフィル・ティペット自らが神託を与えています。84分間興奮がおさまらない、いや観た後からまた観たくなるそういう映画。

アサシンを狂言回しにして地獄を巡る物語。『神曲』とは逆のベクトルですがその地獄世界描写がため息が出るほど悪魔的で美しい。コマ撮りの味わいをこんなに蠱惑的に演出できるフィル・ティペットやはり神です。

例えば地獄世界に住むシー・イット。禍々しいんだけど愛嬌のある姿はずーっと眺めていたい気持ちになります。

そしてクリープの謎過ぎるその形態。動きの愛くるしさよ。キャラクターの造形を眺めてるだけでもお釣りが来ます。

そして、いちばんお気に入りのシットマン。複数いるからシットメン。本作の中ではいわゆるモブキャラですがこういうキャラクターがいるといないとでは映画の魅力が大きく違います。

とにかくショットの作り込みのディテールが驚異的なレベルです。また新たな地獄神話映画の誕生です。