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生きちゃった / ALL THE THINGS WE NEVER SAID(2020年10月3日劇場公開)

 そこに映されていたのは受動と能動のバラードでした。

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2019年6月、上海国際映画祭にて「B2B(Back to Basics)A Love Supreme」=「原点回帰、至上の愛」というまったく新しい試みのプロジェクトが発表された。香港国際映画祭(HKIFFS)と中国のHeaven Picturesが共同出資し、各映画製作者に同じ予算が割り当てられ、「至上の愛」をテーマに映画製作の「原点回帰」を探求するというコンセプトのもと、アジアの名だたる監督たちが各々映画作りを行う。これは知っておいて損はありません。

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英語のタイトルからも後悔が滲み出ています。要するに言ってしまった、やってしまった後悔を恐れて、思ったこと全て口に出して言わなかったらどうなったかという映画。

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そういう人生へのスタンスだと、傍観者になるしかなく次々と色んなものを失っていくのです。その悲劇を映画は実に冷酷に映し出します。

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そういう主人公に対して、大島優子演じる妻・奈津美役を能動的なキャラクターにしてストーリーを強引に引っ張らせます。

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その他強烈な脇役の演技人がそれぞれの立場から主人公を追い込んでいきます。

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そんな緊迫した映画なのに、いきなりのレ・ロマネスク登場には笑っちゃった。

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主演の厚久役を務めるのは、仲野太賀。「言わぬが花」という価値観を体現して大変なことになる役が本当にぴったりでした。1ミリも共感できない映画の主人公でもちゃんと映画になるんです。


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