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THE WOLF HOUR / ウルフ・アワー(2020年7月31日劇場公開)

ナオミ・ワッツのほぼ一人芝居。しかも暑い夏のステイ・ホーム映画。今観るのにぴったりの映画。

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「そのブザーを鳴らすのは、誰?」。迷惑ブザーに悩まされる、作家ジューンのひと夏の物語。スリラーと宣伝されていますがその視点で観るとつまらないです。

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逆に、ある女性作家の苦難の克服映画として観ると、普遍的なテーマがちゃんと浮き彫りにされています。

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このティーザーポスターだと、ヒッチコック的なスリラーという印象を与えかねないですよね。

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このポスターの方が、内面の苦悩を視覚的に表現しています。

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大切なのは、この映画の舞台が1977年のニューヨークの「サムの夏」ということ。それを分からせる為にスーサイドの「ゴースト・ライダー」がラジオから流れます。このシーンの映像と音楽のシンクロ具合は見事。

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この日本版のポスターだと、その辺の文学的なニュアンスが全く無視されていて、ニューヨークの暴動の映画と思われてしまう恐れがあります。

「ウルフ・アワー」とは劇中でかかるラジオの深夜番組のタイトル。そしてラジオも、ブザーも、暴動も、大停電も彼女の精神的な立ち直りのきっかけなんです。

そしてこの映画によって、きっかけを掴む観客が世界のどこかにいるかもしれません。それだけ懐の深い映画です。

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