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キリスト教二千年の歴史よさらば!

 書店で売られている「キリスト教入門」のたぐいは、たいていイエス・キリストの話から始まる。あるいは聖書の話から始める場合もある。確かにそれは大事な話だ。だが僕はこうした導入の仕方に、大きな疑問を持っている。

 イエス・キリストが生きて活躍していたのは、今から二千年ぐらい前のことだ。新約聖書のもとになる各種の文書が最初に書かれたのも、それから数十年間のことだった。

 これらはとても大事なことなので、キリスト教について解説するとき避けては通れない。でもキリスト教について解説するとき、まず真っ先にそこから語り始めなければならないものなんだろうか? キリスト教は世界に二十億人の信者がいる、現時点では世界最大の宗教だ。それにつてい解説するとき、いちいち二千年前まで遡るのは遠回り過ぎないだろうか?

 二千年前と言えば、日本の弥生時代後期にあたる。邪馬台国の卑弥呼(3世紀頃)が活躍していた時代より、さらに二百年ぐらい前の話なのだ。キリスト教の解説を二千年前から始めるのは、日本という国や日本人について外国人に説明するとき、弥生時代から語り出すのと同じだ。

 そうした説明もユニークで面白そうだけど、日本や日本人について紹介するなら、まず今現在の日本や日本人を紹介する方が手っとり早いし、実態が正確に伝わると思う。新宿でも渋谷でもいい。あるいはどこかの田舎町でもいい。そこで周囲を見回せば、そこにあるのが日本だ。そこを歩いているのが日本人だ。百の言葉を重ねるより現物を見るのが、日本や日本人を知るための一番の近道だ。

 だからキリスト教についても、二千年前から語り始めるのはやめよう。それは後回しでいい。まずはキリスト教の今の姿、キリスト教徒たちの現在の信仰を紹介することが、キリスト教理解への最短距離だと思う。

 キリスト教は二千年前に生まれ、長い歴史を経て今なお生き続けている現役の宗教だ。信者は世界中にいる。数はそれほど多くないけれど、もちろん日本にもいる。日本人のキリスト教徒は、人口の1%弱と言われている。仏教や神道に比べれば数は少ない。でもGoogleマップで調べれば、日本中あちこちにキリスト教の教会があることがわかる。そこでは毎週日曜日ごとに、近隣の信者たちが集まって礼拝を行っているのだ。キリスト教について知りたいなら、まずはそこから出発すべきだと思う。

 礼拝に行く気がなくても、Googleマップで近所の教会を探してみるといい。意外と近くに、教会があることに気付くと思う。Googleマップで教会の場所をクリックすると、教会のホームページへのリンクが掲載されていることもある。ホームページには、教会の様子や礼拝の案内が掲載されている。それを見るだけで、今現在のキリスト教が身近に感じられるのではないだろうか。

 キリスト教は古代の宗教ではなく、外国の宗教でもない。日本にも何十万人かの信者がいる、身近で、ありふれた宗教なのだ。

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