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「でも、公務員の仕事って結構ダルいですよ?」

タイトルの通りです。

毎年、年末になると必ず、やり残したことを振り返ります。
例にならって、今年も色々とやり残したことがあったわけですが、2018年最後の日に1つだけ成し遂げようと思いました。それが「発信」です。
何のことはありません。平成最後のこの日に、どうしてこのような記事を書くに至ったか。それを聞かれたら、「ただ、書きたかったから。伝えたかったから。」としか返しようがないです。
もし仮に、誰に向けた記事か?と問われたら、「これから公務員になりたい人へ」というのが正しいかもしれません。

自分の知らないところで、劇的に変化し続ける毎日を少なからず感じる中、世間一般における「公務員」の偶像崇拝的な立ち位置は、まだまだ揺るぎません。
表面では「この街に貢献したい。」「住民のために働きたい。」と言いつつも、待遇面や福利厚生などを理由として、試験勉強をしている人は多いはずです。ただ、これは目指す理由として正解だと私は思います。
一番の問題は「特に、やりたいことがないから」という理由で目指す場合です。正確に言えば、「特にやりたいことはないけど、それなりの社会的地位を得られ、それなりの生活を送りたいから」と言った方が良いでしょうか。こういった理由で、目指す学生が少なくありません。確かに、福利厚生等で恵まれている部分はあります。
ただ、残念なことに、世間が思っている以上に、公務員の仕事はダルいということです。ある程度ネットや人から聞いた情報で、仕事内容を知ることはできるかもしれませんが、この「ダルさ」は実際に、自分が公務員になってみないと感じることができません。
このダルさというものは「福利厚生が良いから」など、他の面でカバーすることはできます。
しかし、やりたいことがなく、なんとなく公務員になった人はこのカバーができず、遅かれ早かれ、どこかで躓き、日々ギャップを感じながら毎日悶々と過ごすことになります。

これから公務員になろうと考えている方へお伝えしたいのは、時間や労力や費用をかけて、本当に公務員になりたいかどうか、今一度考えて欲しいということです。特に学生の人たちは貴重な時間を無駄にしてはいけません。やりたいことがないなら、やりたいことが出来るまで他のことをすれば良いですし、まだまだ焦ることはありません。色々な世界を見たあとで、最終的に「公務員の待遇が良かった」と分かっても遅くはないのです。(現に、私の友人も数人、来年4月から公務員になります。それが良いか悪いかは置いといて…)
今の時代、「どんなことでも仕事にできる時代」と私は考えています。そんな中で、公務員になりたいという人は、是非とも確固たる意志を持って臨んでいって欲しいです。そのための一助といってはおかしいかもしれませんが、「公務員のダルさ」を少しでも実体験に近いもので、この機会にお伝えできればと思い書きました。ただし、よくある公務員のメリットやデメリットを紹介したような類のものではありません。あくまで、事実に基づいた「ダルさ」から感じたことを綴っているだけであります。

1.はじめに

冒頭が長くなってしまいましたが、軽く私の経歴を。新卒で公務員になって早数年、アラサーになりようやく今年初めての部署異動を経験。

2.部署異動のダルさ

一言でいって公務員の仕事のイメージって「楽」だと思うんですが、平均的に見て決して楽ではありません。それは部署異動によるダルさと大きく関係しています。
役所は基本的に2〜3年での異動があるのは承知の事実ですが、適材適所という概念は皆無です。(ちなみに、ここでいう適材適所っていうのは「私はこれが好きだから、これをやりたい!」というものではなく、単に黙々と事務作業よりかは外部の方とやりとりして事業を進める方が得意だとか、文書作るよりかは数字を打ってる方が性に合ってるとか、その程度のものです。)
異動したら前任と同じ能力で働かされます。
これって結構恐ろしいんですよね。
前任者と同じ仕事量をこなし、同じくらい勉強して、同じくらいの知識やコミュニケーション能力を得なければなりません。良くある話で、前の課で仕事ができていた人が、異動した先で潰れるのは、この「前任者との同化」のハードルがあまりにも高すぎるからです。そこに自我はありません。自分ではない別人として働きます。
こういったことが起こるのは、役所が組織方針を変えないところにあります。毎年微々たる改善はあっても、前例踏襲という暗黙の了解があるので、新しい人が来たところで前任者と同じように仕事を進めることが求められます。一例ですが、激務をこなすと次も基本的に激務部署に飛ばされます。組織としてもそっちの方がやり易いですからね。総務、財政、企画、人事あたりの激務兼出世コースの部署を延々とローテーションする人がいるのはこういった理由があります。

余談になりますが、「役所の忙しさは部署による」これは正解です。ただ問題は、部や課単位で暇な職場、というのものではなく、ある課の1つの係だけが「楽=ホワイト」という場合が大半であるということです。そうなると役所にある膨大な数の組織から、その係を引き当てるのは至難の業といっても過言ではありません。また、ただでさえ忙しい役所が、即戦力を求めている中で、比較的、若手職員をこういった暇な部署に配置させるでしょうか?故に、入庁すればすぐに、若手で暇な部署に配属される場合には一定の法則性があることに気づきます。それが次の3つです。

①.1〜3年目付近で運良く配属される。
これは、完全に運の世界です。ただ楽なところはやはり若手が少ない傾向にあります。自分一人だけ若手で、あとは全員年配の方という場合も多いです。それ故に、自分よりも遥かに先輩である定年間際の方や退職して再雇用なされた方とのコミュニケーション能力が大切になってきます。

②.仕事できない認定してもらう。
この仕事ができない、というのは、ミスをするとかそういうレベルのものではなく、もはや「仕事をやらない」と言ったものに近いかもしれません。とにかく仕事をやらないで溜め込む。誰ともコミュニケーションを取らず仕事を放置しておく。何を言われても気にしない。そう言ったある意味で屈強なメンタルが必要になります。逆にバリバリ自分の意見を主張して、自分本位で進めると「仕事できない認定」され、面倒くさい奴として、晴れて楽な部署に飛ばされることもあります。(この場合、当の本人はやる気はあるので不本意かもしれませんが…)

③.心身をぶっ壊す。
その名の通りです。身体や心を壊せば楽な部署に行けます。もしくは異動までは行かないまでも、大抵は、業務量が減るので毎日定時であがれます。私も、先輩や同期や後輩で休職をしていった人を数多く見てきましたが、一度壊れてしまうと完全回復するのが本当難しいです。そんな私も今年に入って部署異動を経験して、ストレスから体調不良になりましたが、健康を害して良いことなんて全くないです。当たり前のことですが、自分の体調を壊してまでやるべき仕事なんかこの世にありません。

あくまで上記3つは残業時間や業務量の少なさという観点からになります。この場合、長時間労働のブラック企業と比べたところで、それは比較の対象が間違っています。先にも述べたように、適材適所が欠如してる役所の組織体制では体力面よりも、精神面での負担が圧倒的に大きいからです。

③.調整業務のダルさ

公務員の仕事って様々ですが、よくメディアとかで取り上げられる公務員って「街づくり」とか「文化・観光振興」「広報業務」の事例が多いです。
自治体をアピールするために、外から見ても分かりやすい事例を挙げるのは仕方ないことですが、どうしても、そこの役所のイメージとして染み付いてしまうんですよね。つまり、「街づくり=この役所の仕事面白そう」といったイメージです。当然こういった華やかな業務に携われる人は氷山の一角でして、多くの仕事は、はっきりいって地味です。この事実を概ね分かってる人は良いのですが、実際に働いてみて気づく人も意外と多いのが現状です。
そんな役所の仕事の中でも、出世する人が必ず通る仕事が「調整業務」です。いわゆる総務部門といった出世部署や、課の管理や庶務班に配属されると、大体この調整業務が主となります。どんな業務かというと、ひたすら調整するだけです。
外部と内部に挟まれ、とにかく調整しまくります。例えば、役所では外部への依頼や調査で連絡を取る際に、外部に直接連絡をすれば一瞬で済む話を、わざわざ他の部署を介して連絡を入れてもらって、部署を介して回答を得ることがよくあります。勿論、介した部署も直接関係のある内容なら良いのですが、「チラシを作ったから何枚欲しいか希望調査をして欲しい」とか「うちのイベントで〜団体の〇〇さんに来て欲しいのだけど、日程が空いてるか調べて欲しい」とか、そういった内容で、わざわざワンクッション挟んでくる職員が大勢います。そしてこのワンクッションになるのが、調整業務の醍醐味です。
また役所ではご存知の通り、無駄な会議をよく開きます。いつやるか、どこでやるか、誰を呼ぶか、何を話すか、こういった仕事も調整業務の代表格です。極端な話、何の知識も必要としないので、やり甲斐は全くなく、つまらない上にかなりダルいです。ただ、こういった調整業務を淡々と素早くこなせる人が、役所では仕事ができる人として見られ、出世していきます。

④.無駄な作業のダルさ

役所における「仕事ができる人=調整力がある人」と、先に述べた通りですが、もう一つ重要な能力が求められます。
それが、「無駄な作業を丁寧な作業と思い込む」能力です。
どういうことかというと、どう考えても必要のない仕事だったり、無駄な作業だとしても、「これをやった方が丁寧で親切だよな」と思い込み、残業してまでこなす能力です。
例えば、「念のため情報共有です」と業務に直接関係のない情報を発信したり、「一応用意しといた方が良いかも」と言って必要のない資料を追加で用意したり、「あとでメールもしますが…」と言った上で電話かけてきたり、こういう無駄な作業を丁寧で良いことと勘違いして、残業してまでやれる人が、公務員の世界では出世するんです。
「先程、〇〇といった内容でメールしましたので、ご確認いただければ幸いです。」とわざわざ電話を入れるのは、まさにこの無駄な作業の代表ですよね。でもこの作業、入庁した際に丁寧なこととして、先輩から教え込まれます。私は、途中からダルいのと相手に迷惑極まりないと気付いてからすぐに辞めましたが…。

⑤.慣習のダルさ

前例で述べた無駄な作業って、やっぱり役所の悪しき慣習の一つと言えます。こういった慣習を無くしていくのはやはり難しい上に、かなりの時間を要します。何故ならば、組織自体に「自分がやってきた無駄なことや、嫌なことは次の世代にやらせてはいけない。改善していこう!」という考えが全く無いからです。だから残業時間も基本改善されません。
少し話しが逸れますが、ネットや自治体が公表してる地方の残業時間ほど、あてにならないものはございませんよ。そもそもあれって申請された残業時間で算出していることが多いんです。つまり、いくら残業してても職員が残業代をつけなければゼロとしてカウントされるということです。(もっと言えば「つけられない」といった場合もありますが…。)
また、基本的に残業のないアルバイトの方々も総数に含まれていることがあります。そうすると当然、全体の平均残業時間が低くなるというカラクリです。機会があったら、夜に地元の役所によってみてください。普通に電気付いてますよ。
話を戻しますが、残業を始め、こういった役所の慣習が残っている限り、組織として良い方向に向かうことはまずないでしょう。それこそ、紙文化なんて、このご時世、百害あって一利なしです。私も、会議の準備で、朝から晩までずっと会議資料をアホみたいに大量印刷した日がありました。その会議の資料、あとで見返した人って何人いましたでしょうか。むしろ、当日その会議で資料をちゃんと読んだ人は何人いたでしょうか。打ち出した大量のコピー用紙代、インク代、電気代、そしてコピー機を夜遅くまで動かしていた私の残業代、全て税金です。
また業務に限らず、役所で実施される職員スポーツ大会。自分たちで準備して、勝手にやるならまだしも、やりたくもない若手に準備や運営まで押し付けて、何を考えているんでしょうか。元を辿れば、このくだらないイベントの運営費も税金なんです。
勤務中に職員が水飲んでたとか、昼飯買いに行ってたとか、そんなくだらないことに目向けててどうするんですか。こういった何の成果も生み出さない会議にかかる費用や、二度と見ない資料の大量印刷、そして職員イベント大会などに、年間どれだけ無駄な税金が使われてるか、分かっている人はどれだけいるんでしょうか。

⑥.さいごに

さて、冒頭からここまで私が感じてきた思いをそのまま書き連ねてきたわけですが、こんなものはほんの一部であり、書き出したらキリがありません。ただ、役所について言えば、こういった「ダルさ」があるのは紛れもない事実です。
公務員のメリットはあくまで何かと比較した場合に過ぎません。それは他の職場だろうが変わらないことです。何も特別、公務員だけが良いなんてことはないんです。
だから、これから公務員を目指す方々は、何か確固たる思いを持った上で、是非とも目指していただきたいと思います。
それが本当に「住民のために働きたいから」だとか、「住んでいた地元を良くしたい」だとか「地元で働き、家族との時間を増やしたいから」とか、何でも良いんです。繰り返しになりますが、「やりたいことがないから」という理由で公務員になると、このダルさをカバーできるものが何もありません。とにかくブレない1つの思いを持って臨んでください。

長くなりましたが、拙い文章をここまで読んでいただきありがとうございました。

最後になりましたが、良いお年を。





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