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I, Robot「英語のそこのところ」第132回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年4月13日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 今回はNative English Speakerと一緒にロボットのペッパー君に会った時のお噺です。Native English SpeakerはわれわれNative Japanese Speakerと違う感覚をロボットに持つようでして。(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

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映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル16」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル16」ではレイ・ブラッドベリの「華氏451度」 を題材に英文を作っていきます。

古典ものは切り詰めて、十五分のラジオ番組に当てはめる、それをさらにカットして、二分もあれば目が通せる分量に縮め、最後はぎりぎりに短縮して、十行か十二行の辞書用梗概となる。
おれたちの人生は、今や大きなサーカス、軽業の演技場だよ。
わかりません。僕たちが幸福でいられるために必要なものは、一つとして欠けていません。それでいて、ちっとも幸福になれずにいます。
それには何かが欠けているに違いありません。。
考えてみますに、僕たちの手からなくなったものと言えば、この十年か十二年の間、僕たちの手で焼き続けてきた書物だけです(華氏451度)。

英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

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大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ

 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

 著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。

 7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。

 ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。

 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

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【本文】

 私は1969年生まれの酉年です。この間はっと気がついたんですが、怖ろしいことに年男なんですね。で、それに気がついた朝、髭を剃って鼻毛が出てないかとじろじろ顔を見てたんですが、やになっちゃった。どう見たって、年相応の年輪は重ねてない軽々しい顔が映っていて、大人の重みや渋みなんてどこを探したって見当たらない。飄々ふわふわした顔がそこにある。予定では大学の先輩の健さんとまではいかないまでも、もう少し成熟した大人になっていたはずなんですが、もう手遅れのようです。あ、誕生日は5月1日ですんで、プレゼントはまだ間に合いますよ。どうぞご遠慮なく。こんなことを書いてしまうのも手遅れの証拠なんですが。

 いわゆる70年代から80年代の日本の最後の高度成長期に少年期青年期を過ごしてきて、幼稚園の頃からカギっ子だったり、また、母が女性にはめずらしくSF好きだったりしたためか、SFアニメーションはよく観た方だと思います。観ていても注意されませんでしたからね(魔法少女物を観ていた妹の方が注意されてました)。で、なんの心置きもなく夕方4時ぐらいからはじまるアニメーションの再放送にかじりつく。物心ついたころの記憶を探るとまず思いだすのはマジンガーZで、その次はグレートマジンガー。50センチだったか60センチだったか忘れましたけど、子供だった私の身長と同じぐらいのマジンガーZとグレートマジンガーのおもちゃを買ってもらって遊んでいた。あ、もちろん、ひとり遊びです。妄想の世界に入り込んで襲い来る機械獣(だったかな?)と戦っていました。男の子ですからね、それを皮切りに、作品名を上げていくと切りがないんでやめときますが、ご多分に漏れずガンダムに行きつく。誰かが、「オタクというのは流行っている電車から降り損ねた人のことだ」なんて上手いこといっていましたけど、まったくその通りで小5ぐらいで、アニメなんて子供っぽいと思っていたところに、最高級の特別電車「機動戦士ガンダム」が来ちゃった。しかもこの時期の特別電車、停車駅がないんですよ。ガンダムの監督の富野喜幸さんがどんどん新作を作る。ガンダムが終わったかと思えばイデオン、ダンバイン、エルガイムとどんどんラグジュアリートレインが続く。ぜんぜん降りる気にならない。
 いまでは、そんなにフォローしてませんけど(本当に?)、ガンダムに限っては新シリーズが放送されていると聞くといい年してちょっと観ちゃったりする。結局、面白かったら、毎週観ちゃうことになるんですけど(やっぱりフォローしてる)。
 でも、これを書くためにちょっとそういうロボット物で好きだったものを思い出してみたんですが、見事に「乗る系」ですね。私は主人公がロボットに乗り込んでそれを動かして生き残っていくタイプの物語が好きなようです。変身願望のあらわれなんですかね? それとも、移行対象(保護)を求める気持なんでしょうか? あとでちょっと考えてみたいと思います。

 そういうわけで、私自身は「乗る系」のロボットが好きなんですが、世の中には「乗る系」ではなくて、「友だち系」のロボットもいます。いわゆる「鉄腕アトム」や「ドラえもん」、「アラレちゃん」などの自律ロボットです。よく考えてみると、ロボットという意味ではアトムやドラえもんが本筋なんですね。だって、ガンダムは乗り物の一種ですから、自分で考えて、自分で動いて、どこかに行くなんてことはしません。その点アトムやドラえもんは、悪いやつが現れるとやっつけに行ってくれるし、のび太に泣きつかれれば便利な道具を出してくれる。頼もしい友人というわけです。

 こういうことを書き始めたのは、このあいだNative English speaker といっしょに家電量販店に買い物にいったときに、ペッパーくんなる「ロボット」と会った、いや、遭遇?、いや、見た?、う~ん表現が難しいな、とにかく接触したからなんです。ロボットSFの傑作にアイザック・アシモフのI, Robot という本があるんですが、アシモフも悩んだんでしょうね、BE動詞を何にするかで。で、結局BE動詞なしにしちゃったんでしょうけど。いやはや、とんでもない時代になりました。

 徳田は待ち合わせの店先に着いた。周りを見回すがCatherineの姿はまだ見えない。ちょっと早かったなと思いつつ徳田は店内に入った。
 軽快な音楽が流れている店内に白いぬぼ~っとした物体が立っている。なんだろう? と徳田がよく見ると、突然声をかけられた。
「あなた、今、ぼくを見詰めていますね。ぼくに興味がおありですか?」
 徳田がちょっと後ずさる。
 しまった、これが噂のペッパーか、捕まってしまった。
「興味があるから、ぼくを見てたんですよね。ぼくも、あなたに興味があります。いやぁ、両思いですね。少し恥ずかしいです」
 恥ずかしいのは、こっちだと徳田は周りを見回した。午後の家電量販店で人影がないのに安心して、徳田は近づく。なんだかんだいってロボットに興味はあるのだ。こまっしゃくれたペッパーに興味があるわけではないが。
「今日は何をお探しですか?」
「ワイマックスって知ってる?」
 ペッパーくんに問われて、徳田は答えた。見た目はまったくの機械なのだが、人間らしく言葉をしゃべり、両手を器用に動かしてボディランゲージを操るのに、どう接していいのか戸惑う。
「知っていますよ。こちらです」
 といって、ペッパーくんがワイマックスを扱っている売り場を胸の液晶パネルに表示する。
「ああ、ありがとう」
 徳田は思わず礼を述べた。
「どういたしまして、両思いですから当然です」
 いや、それはいらない。
 ペッパーに口説かれているような気がして、徳田の顔が赤らんだ。
「あ、赤くなりましたね。気障なことをいってぼくも恥ずかしいです」
 ペッパーが目の周りを赤らめる。

「ハーイ! 徳さん。待った?」
 振り向くと徳田の後ろにCatherineが来ていた。相変わらずの美少女、いや、もう美人に成長している。豪華な金髪が美しい。
「いや、そんなに待たなかったよ。それにペッパーが相手してくれてたし」
「ペッパー?」
 Catherineが白いぬぼ~としたペッパーに目をやる。
「話してみる? こいつ、結構いうよ」
 同時に二人の認識はできないのか、ペッパーくんは両手を動かし、首をかしげる動作をしていた。戸惑ったように見えるのが不思議だ。
 徳田がCatherineにペッパーくんの前を譲ろうとしたが、Catherineは強く首を振った。眉間にしわまで寄せている。
「どうしたの?」
「いやだ。これ、なんだか怖い」
 Catherineはshe でもhe でもなく主語にItを使った。
「そうでもないよ。慣れると面白いよ」
 Catherineは首を振る。
「とにかく気持悪いわ。いきましょ」
「う、うん」
 強引に話を打ち切るとCatherineはその場を離れる。慌てて追いかける徳田の後ろから、
「ありがとうございました」
 というペッパーくんの声が聞こえてきた。

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