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旅待つ夜のかけっこおじさん

はじめに

山本英晶といいます。ひとりのおじさんです。
今回のお話は、アンパンマン大好き娘をアンパンマンミュージアムへ連れていったときのものです。
以前勢い余って書いたnoteのおまけともいえますが、こちらを読まなくても大丈夫です。なんとでもなります。

今回も日本語ですが、5,000字くらいあります。
翻訳が必要な場合は、お手数ですが各自でお願いいたします。
便利な世の中です。

基本的に山本家の旅行は、ノープラン。
予定をつめこみクリアしていく方式をとると、なんか楽しくなくなることに、結婚してようやく気がついたからです。
今回も、アンパンマンミュージアム入場券と一泊分の宿を抑えたくらいで、新幹線のチケットすら適当に買っていく作戦にでました。
本気で遊ぶためには、余裕を持つことが大切です。

妻実家でのお泊りクエストをクリアした山本家が、アンパンマンミュージアムへと旅立つまさにその前夜。
僕と娘は、なぜかビーズクッションの周りをぐるぐるとおいかけまわっていました。
みなさん、砂浜の波打ち際でおいかけっこするような、キャッキャウフフという想像をされたことと思います。
映像には、ふんわりとソフトフォーカスがかかっていることと思います。

違うのです。
大人が軽くランニングするペースで、ひたすらシャトルラン形式なのです。
うちの娘は、体力がガチなのです。
90cmもない小さな体で、こけるふりとかしながら100mくらい普通に走っていきます。
大人サイズの段差の階段を、付き添う親の心配をよそにすいすいとあがっていきます。
なんなら一段飛ばしを始めます。
自慢の娘です。
一方の僕は、がくがくする膝でなんとか寝室までたどりつき、明日の準備もままならぬままその日は就寝しました。
余裕どこいった。


クエスト名 : 娘をアンパンマンミュージアムへ連れてゆく

クエストを開始しますか? 

はい 
いいえ


いよいよ、当日の朝。
はなから早く出ることはあきらめていたので、時間の余裕はありました。
足には力が入りません。
明日の朝から昼ごろにかけて、筋肉痛の予報がでました。
さて、目的地は神戸。
乗る新幹線は、とりあえず新大阪止まりで岡山からでも自由席が空いていそうなものに目星をつけて、それまでに準備を済ませる算段としました。
行き当たりばったりが身上であります。

イケてない男性の一泊二日旅行などは、経験上A4ファイルが入るショルダーバッグ一つで事足ります。便利なものです。
で、小さな娘がいるとなると。

まず一般的なおでかけ持ち物。
ウェットティッシュ(アルコール入りとなしの二種類)、エマージェンシー時用の服の着替え一式、ガーゼ数枚、おむつ、おむつ袋、おしりふき、母子手帳等受診に必要な書類一式ポーチ、紙パックのお茶およびジュース合計500mL分、せんべいおよびミニパンケーキ合計4回分
続いて食事用品。
布エプロン、シリコンエプロン、カトラリー(だいたいのお店に子供用も備えがあるが、ないときもあるのだ)、割れないお皿
さらに宿泊用品。
パジャマ、携行用シャンプー、ボディーソープ、翌日分の着替え一式

たぶんまだなにか書き忘れがありますが、とにかくたくさんです。
これに妻のあれこれも重なり、なかなかのボリュームになりました。
キャリーケースに宿泊用品をぶちこみ、ミュージアム周辺のコインロッカーにぶちこみ、ミュージアムを軽装で駆け回る作戦をとりたいところ。
しかし娘は、先の通りのありあまる体力のおもむくまま。
「じぶんで!」を合言葉に手をつながせぬまま、街中をシャトルランするわけです。
道中、爆走機関車娘を取り押さえるため、キャリーケースで手をふさぐわけにはいかない。
でっかいリュックサックを、僕がしょっていくことになりました。
しかし、僕は写真も撮りたい人間です。
カメラ用のショルダーバッグをかけた上から、でかいリュックサックをしょって立つことにしました。体感重量15kg。

まずは順調に駅までたどり着き、往復切符を買い、お目当ての新幹線をホームで待ちます。

ん。

なんか車掌さんからもらってる。

キラキラしてる。
お父さんうらやましい。
まじでうらやましい。
お礼を伝えて新幹線に乗車した瞬間、もう貼ってました。

なぜかお薬手帳の最後のページに。

駅員さん、ありがとうございます。
レアものだったらなんかすいません。
娘はとても、嬉しそうでした。

さて、新神戸駅につきました。
ここから、バスに乗って「ハーバーランド」まで行く予定です。
20分ほど、バス停で待つことにしました。

娘「みて!つみつみ!」

つみつみ。

つみつみとは、積み木のことであります。
天高い建物を指さしてそう言う娘は、これを高く積まれた積み木だと考えたようです。
娘「おおきなつみつみはー、壊れたらー、たいへん!」
僕「そりゃ大変」
通りがかるおばちゃん「あーどやろか、11時過ぎのはもう行ったやろか」
僕「あ、僕たちもそのバスを待ちょーるんです」
おばちゃん「あーそらよかったわ。あんた岡山からやろ、言葉でわかるわぁ」
娘「つみつみ!たいへん!」
おばちゃん「え?つみつみ?あ、お嬢ちゃんバスきたで、あそこアンパンマンおるやん、ええなぁ」
娘「うん!」

アンパンマンおる。

バスの中では、添乗員さんが街に関するアナウンスをしてくれています。
それを聞きながら眺める神戸の街は、街でした。
僕が居住したといえる大きな街はせいぜい広島くらいなもので、大きな街に来るたびに、いつも不思議な感覚になります。

街とはこうも違うものかね。


さて、「ハーバーランド」の、一つ前の「かもめりあ」前で。
添乗員さん「アンパンマンミュージアムに行かれる方はこちらでお降りください」
あれ、思ってたんと違う。
僕「アンパンマンミュージアムは、ここでおりた方がいいですか?」
添乗員さん「そうですね、そのほうが安全だと思います」
僕「安全」
添乗員さん「かもめりあの中を通って、海沿いを行けるんです」
娘「みて!アンパンマンだよこれ!」
添乗員さん「そうだねぇかっこいいねぇ」

かもめりあを通り抜けるとででん。タワーが見えないのでした。

MOSAICはスヌーピーのショップやジブリ御用達のどんぐり王国、はらぺこあおむしショップなど、娘が恋焦がれるお店がたくさんありました。
かけっこに必死でほとんど写真をとれませんでした。

なんとか足取りをアンパンマンミュージアムに向けつつ、安全にたどりつきました。
まずは無料スペースのショッピングモール内で食事をします。

ちょっぴりハロウィンが苦手な娘でもアンパンマンならだいじょうぶ。
うどんのどんぶり、もらえました。ありがたい。


少々ブースを回ったところで、いよいよアンパンマンミュージアムへ入場。
チケットを購入するとき、入場したい時間を1時間間隔で指定ができます。が、入場者数次第で再入場も可能という親切設計。

ありがたい。


さて、ミュージアム内で娘は何をしていたかというと。

滑り台。

えんえん滑り台。

ときたまほかのブースも見に行くけど滑り台。

神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール webサイトより引用しました。

岡山にもあるよ滑り台。
家の中にもあるよ滑り台。
滑り台を滑り降りた先にいるお姉さんに、自分がこけた姿を見てほしかったようです。
お姉さん相手してくれてありがとう。
しかし、他の子もめちゃくちゃ滑っている人気スポットでした。
アンパンマンの世界でやる滑り台が、楽しかったんだよね。
打ちっぱなしとコースで、同じドライバーショットでも別物だもんね。
わかるきがするよ。
お父さんもよく滑ってるしね。
Twitterっていうところなんですけどね。

アンパンマンミュージアムのチケットを持っていると、外を走るSLマンに1回乗ることができます。

SLマン、ちゃんとおしゃべりしてくれます。期間限定だそうです。

1回乗車した後すぐに娘は「もっかいのる!のーるーよー!」とせがみましたが、乗らずに外から見ているだけでも案外文句を言わずに楽しんでくれました。

アンパンマンミュージアムでは、ショーもみることができます。
娘はいわゆるゆるキャラのようなかぶりもの系があまりお好みでなく、開園までの待ち時間も結構あるのでスルーしようかと思っていましたが、妻の提案でなんとか待ってみることにしました。
開演。
キャラ近。
帰ってからも見られるようにと動画をまわしていて娘の様子をあまりみられなかったのですが(撮影OK、ありがたい)、妻曰く夢中だったようです。
ここでもお姉さん、相手してくれました。
ありがとう。

ショーが終わって外に出ると、少し雨が降ったようでした。

セーフ。

そこからばいきん秘密基地やショッピングモールのお店を回ったころには結構外は寒くなっていて、バスを待って宿泊先のホテルに向かうことにしました。

近代化がすすむパン工場。

疲れて眠った娘を乗せたバスは、ぐるりと神戸を回って、予定していたホテルにつきました。

僕「ふむ、なかなかよいではないか」
妻「あなたはここに、学会で来たことがある」
僕「え」
妻「発表もしている」
僕「まじで」
まったく記憶がない僕は、パラレルワールドにいるのかもしれません。

さて、娘は慣れない長旅で疲れ気味だろうと想定し、夕食はルームサービスをお願いしていました。
ゆっくり食べられたので、正解だったと思います。
食事を持ってきてくれたホテルマンのおいちゃんも、いい人でした。
おいちゃん「お食事の方支度いたしますね」
娘「ポッチャポッチャポッチャー!(なぜかポッチャマのマネ)」
おいちゃん「たのしそうだねぇ」
娘「アンパンマンみたよ」
僕「ポッチャマどこいった」

娘はお風呂が怖いといいつつも僕が入っていると普通に入ってきて、なんとか入浴を済ませ、布団に入るといつものように父でなくあかちゃんマンを呼びながら、無事に寝付きました。


翌朝。
大きな窓からそそぐ朝日の中、娘はきれいなコップで冷水を飲んでいました。
なんかイケてる女子みたいでした。
父は不安である。
朝食前には、ホテル内をトレッキング。

もうあんなところまで。ダッシュで追いかけます。

朝ごはんのビュッヒェに向かうエレベーターでは、外国のかっぷくのよいおじさまと相乗りました。
外国のおじさま「Good Mornin'」
娘「おなかぺっこぺこ!」
外国のおじさま「Oh Me too」
父「おじさんもおなかぺこぺこて」
娘「ごはんをーたべたらー、おっきくなるよ!」
外国のおじさまと僕「Wow~」

なんとか朝ごはんをすませ。
今日の予定は、動物園に行ってナマケモノをみる。でした。
娘はナマケモノが大好きなのであります。

訪れたのはこちら。

ホテルからポートライナーでビィゥーンと行きました。
おそらく近隣と思しき幼稚園児や小学校低学年児であふれていました。
ここでの写真がないのは、爆走娘の抑止に苦慮したからです。

ぼんやりと撮ったカピバラさん、のぬいぐるみ。

とにかく動物が近く、フラミンゴを間近で見たのははじめてでした。
動物が好きな大人の方にも、おすすめできるスポットです。
ずんずんと動物へ近づいていく娘をなんとか制止しだっこ。
降ろす。
ずんずん。
抱っこ。
ずんずん。
抱っこ。腰もなんだかずんずん。
そして予報通り足は筋肉痛模様。
早く鍛わってほしい、この両足。
ほひほひとなんとか周りきり、ナマケモノの小さなぬいぐるみを買い、大人の体力も限界になったところで、早めの帰路につきました。

NDフィルターを外し忘れた写真が表す、おつかれ感。

余裕を持って家に帰った三人は、しっかりと午睡。
その後、筋肉痛の足を休めたい父を指名し、娘はまたビーズクッション周回シャトルランを開始するのでした。
娘よ、そのままいこう。


あとがき

娘が生まれ。
コロナ禍が少し落ち着いたりしながら。
出かける頻度が少しずつふえてくる中で、思っていることがあります。
「優しい人、ふえてない?」
娘がやかましくしても、嫌な顔一つせず話しかけてくれたり。
僕が小さい頃は、他人からもっと怒られていたような気がしています。
僕がアホほどじゅんならんやつだったという可能性を否定はしません。
怒らない人が、ふえること。
その変化には、いいことも、わるいこともあるのだと思います。
一人の親として、僕はめちゃくちゃありがたいです。
怒りは、アンコントローラブルの証だと、親として身をもって知っているからです。

どんなに旅程に余裕を持たせても、トラブルがあります。
子どもはそもそもアンコントローラブルです。
一緒に走るだけで、その安全の確保にえらい神経を使います。
そんな折、何か声をかけてくださるとき、怒りではない形で伝えてくださると、本当に僕は感謝の念を押し付けるほどに表したくなります。
表します。
皆さんのおかげで、娘となんとか楽しくやっていけています。
怒っちゃうことがあっても、謝って、仲直りができます。
どうもありがとうございます。
これはいつか、娘にもきっと伝わります。
ただでさえわけわからない世の中で、この先もっとわけわからない中で、人の中で生きていく力のもとに、必ずなります。
そんなことを思う、いいクエストでした。
ここまで読んでくださった方も、「長すぎるわ!」と怒らない人ですよね。
どうもありがとうございました。

(了)

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