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過疎の町のカフェ

 「カフェじゃ食っていけないよ」。地元の方にそう言われながらも、今年7月中旬、ほっとゆだ駅から徒歩3分の場所に自分たちでカフェを作りました。名前はネビラキカフェ。
 西和賀町の高齢化率は51.4%、人口減少率も県内屈指に高い町です。仕事が無くて給料が低いからと、地元に可能性を感じられない同級生たちは町外へ出ていきました。一方、個人的に西和賀の魅力をSNSで発信していたところ、首都圏や周辺地域の人たちの中に西和賀のファンが増えました。町に魅力がないわけではないのです。
 カフェがオープンして2ヶ月、お客さんの割合は概ね町内1割:町外9割。錦秋湖の見えるデッキの席が大好評です。中には「こんな暮らしがうらやましい」と言う方もいます。私と同世代の中には、他者との関係性や自然との関わりに豊かさを感じる若者が増えています。「食えるか、食えないか」だけではなく、どんな暮らしがしたいか、どう生きていきたいかを考える大切さを噛み締めています。
 町の将来を悲観する人達は、「町の課題をなんとかするのは行政の役割」「仕事が無いから仕方がない」と他人事のように言います。これでは、自らの暮らしを誰かの手に委ねてしまっているのと同じではないでしょうか。私はこの"暮らしを作る感覚の薄れ”が地域の衰退の大きな原因だと考えています。カフェでは普段から対話の場を設け、豊かさの再定義をしていきたいです。

※湯田・沢内ワークステーション会報〈和と風と〉No.72に寄稿した文章です。

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