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君は人のために死ねるか


 という曲がある。宮崎駿の映画ではない。


 これは杉さまこと杉良太郎さんの曲だ。初めて聴いたのはいつだったろう、結構前だ。改めて聴き返してみると驚いた。すごい変拍子なのだ。前々から歌いにくい曲だと思っていたが改めて聴くと、それはもう、予想以上に複雑だった。少なくとも俳優が劇伴で歌う曲の拍子とは思えない。踊らない方の「大捜査線」の主題歌だ。見たことないけど。
 基本は4拍子なのだが途中で3拍子になったり、2拍増える部分やらがあり非常につかみにくい。
 具体的に言うと「戦って戦ってひっそり〜」辺りで3拍子3小節になったり、「しかしあいつは知っていた」のあたりは2拍増設されている。「戦って死ぬことを〜」の部分は3で区切れるが4+2拍子という感じの方が歌いやすい。

 歌い始めから拍子を取ると以下のようにやると区切りやすい。
「昨日一人の〜」443334
「あいつは何の取り柄〜」4444
「しかしあいつは〜」44244
「戦って死ぬことを〜」424244
「でもあいつの青春〜」444244
「君は人のために死ねるか」444 
あとは普通に4

最後の方のCメロの「許せない奴がいる」から
「許せない〜」4444
「だから」2
「倒れても〜」3333
「俺の」3
「名前は〜」444

「だから」と「俺の」は足されてる感が凄いので個別に。
さぁ、レッツ手拍子。

 この曲の作詞は杉良太郎、御本人なのだ。おそらくすぎ様が感覚的に書いた歌詞を何とかしてねじ込もうとした結果、このように複雑な構造になってしまったのかもしれない。


 ライブ映像もある。見て。このスピード感。音源ではわりと違和感なく聴かせていたが、この速さだと変拍子がテクニカルに映える。ちなみに最初に聴いたのがこの映像からだったので、その衝撃はなかなかのものだった。

 自分がどう生きるかではなく人のために死ねるかを問うのは時代錯誤か。そう問いかける人は今の時代に現れる気配がない。だからこそ、杉良太郎が言いたいことを詰め込んだ結果、独特な存在感を纏うこととなったこの曲を改めて聴くことは色んな意味で楽しい事だと思える。


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