ライブ配信やテレビ中継には映らないけど、陸上選手のスタート前のルーティーン動作をみつけていくのが好きだ。ルーティンとは「いつもの動き」だけに、一度見ただけではわからない。ずっと見続けているうちに、「前にもこれ見た」という場面に出くわすことで、ようやく気づくもの。ピッチャーやバッターの癖を見抜くことにも近いのかもしれない。いつ、どこにいても行う同じ動きこそがルーティーン。しかも、ルーティーンは本人だけのものであって、観客に向けてのフォーマンスが目的ではないから、だれも気づかない場所やタイミングでやっていたりする。

新潟で行われた日本選手権では女子やり投げをアップから最終投擲までじっくりと真後ろで見ることにした。北口榛花選手にラジオでうかがったチェコのやり投げ技術とその動きを確認したかったからだ。これがトラック種目だと、いくつもレースを観なくては、その選手の特徴を掴むことが難しいがフィールド種目は一日に何度も試技がある。ずっと見続けていると、北口選手にもきっちりとルーティンがある。

まずは、やりをつかってぐーっと身体をねじってニュートラルポジションにもっていき。

そして、両足を「ガンガン」と踏みしめ、首を横に傾け、「ピヨーンピヨーン」と飛び、その場で駆け足をはじめて、投擲に入る。

投げ終わったら、笑顔でコーチに確認にやってくる。