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無観客試合はただの距離走

東京オリンピックのマラソン・競歩が札幌に移転することになった。
いろいろ怒りたくなる気持ちもわかるし、
いろいろ言いたくなる気持ちもわかるが、
どうして、IOCやIAAFの人たちと
自分たちにはこうも温度差があるのか?
お互いのテンションが噛み合ってなさすぎるのだ。

NHKの大河ドラマ「いだてん」を観て、
「ああ、そういうことか」と腑に落ちた。
(「近代五種」を廃止しようとする日本側に対して
  各国の代表から「ありえない!」と非難されるシーンがある)
日本のオリンピックへのチャレンジは
マラソンから始まったことで
日本人の潜在意識には「オリンピック=マラソン」と
組み込まれているからだ。

ドラマ「いだてん」序盤でストックホルムオリンピック
男子短距離に出場した生田斗真が演じる三島弥彦が
「短距離走は日本人には無理、100年かかっても無理」
というシーンがある。
「マラソンなら日本人も活躍できるんじゃないか。
   金栗くん。頑張ってくれ。」と。

瀬古利彦を育てた中村清さんは1000mと1500mの日本記録を樹立し、
1936年のベルリンオリンピック1500mに出場するも
まったく歯がたたず、マラソンで孫基禎さんが金メダルをとる姿をみて、
(当時、孫さんは明治大学にいて、箱根を走る話もあったそうだ。)
「日本人がオリンピックで勝てるのはマラソンだ」
という考えにたどりついたという。

スピードレースになるとケニア勢には勝てない
でも、猛暑の中でなら、
ひょっとして勝機を見いだせるのではないか?
という、2020東京オリンピックマラソンの思考にも
似たようなものを感じないであろうか?

「短距離走は日本人には無理、100年かかっても無理」

1912年のストックホルムオリンピックから100年がたち、
超遠回りしながら、日本男子短距離陣は
ようやく、オリンピック決勝に
手が届くか届かないかのあたりまでたどり着いた。

だから、何年かかってもいいじゃない。
短距離も中距離も長距離も戦いつづければ。
長い人生かけて応援しつづけますよ。
リレーのように、一致団結して頑張れば
メダルも夢じゃなくなったし。

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写真はドーハ世界陸上男子50km競歩のときのもの。
効率よく放送、警備運営をするために
周辺の道路は封鎖、取材パスをもった人々しかコースに近づけない。
(マラソンも同じ)
マラソンや競歩への思い入れが
日本とそのほかの国とではまるで違う。
沿道で長時間応援するほどまでにマラソンや駅伝が好き。
(交通インフラが正確であるがゆえに)
しかも何箇所もみようと移動までする。
という、日本人の国民性は伝わってないようなのだ。
だから開催地を簡単に変更しちゃう。
「だって、テレビで観れるでしょう」と。

まあ、コースが東京じゃないのは100歩譲るとしても
このように「無観客」でレースを行うことになったときは
日本国民はゴネてゴネてゴネまくってもいいと思う。

どんなにオリンピックで金メダルをとることが名誉なことであっても
競技者人生をかけて走るレースがただの距離走になっちゃうじゃん。
それだけはあってはならないことだと思うのです。


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