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美味しい焼鳥って、何が違うんだろう

エキマチライターのエキマチコです。
中国新聞CUEに連載中の『グルメ探訪』9月号では、
【炭火 達】
さんのご紹介をさせてもらいました。

いつも思うことなんですが、
表通りの目立つところにあるばかりが人気店、繁盛店
というわけではないんですよね。

どちらかと言えば、穴場的なお店をご紹介したいなーと
裏へ裏へと入り込みたがるグルメ探訪ですが
いざお訪ねしてみると、
「こんなところにお店があったのか!」
なのに満席で入れないくらいの繁盛ぶりだったりして
「紹介するまでもなく既に知られる店だったのか!」
とショックを受けたりするわけです(笑)

そこで今回は、人気の焼鳥店・達さんを例に
人気の秘密、美味しさの秘密を探ってみようと思います。

何物にも誤魔化されないということ

グルメ取材が仕事になるまでは、
美味しいものをいただいたときにも
多少雰囲気に引きずられる甘め評価をしてしまいがちでした。

お店の雰囲気や、スタッフさんの対応や、
話題のお店だったり、人気店だったり。
あ、もちろん料金がお高いお店だと必然的に
高級店=美味しいに決まっている
というバカ舌的評価をしていたこともありました。

けれども、グルメ記事として読者の方に伝えるからには
何がどうして、どんなに旨いのか
そこのところをしっかり伝えなくてはならないと考えるわけです。

***

例えば、こちらの焼鳥。

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塩ですよ、塩。
タレ味じゃないんです。
日本人は甘辛いタレが大好きですからね。つい、騙されちゃう。
でも、タレで誤魔化さず、真正面から肉を喰らわせる
直球勝負なら絶対に塩なんだと思いましたね。

手前の串は手羽元。
備長炭でじっくり焼かれて、
表面はやや焦げてカリッとした仕上がり。
焦げた部分は丁寧に切り落とされて提供されます。

鶏の臭みなんてあるわけない。
香ばしいのに中はフンワリ。
噛みつけば程良く脂がジュワッと滲み出てきて、
塩味と共に口の中に幸せな旨さが広がります。

その奥には肉付きヤゲン。
生後90日までの若鶏だけが、軟骨が柔らかく丸ごと食べられるのだそう。
「成長すると骨になって食べられませんから」
などと説明されながら、皿にもられたヤゲンをいただけば
コリコリとした食感がまた堪りません!!
肉付き、というだけあって、肉の中にあるコリコリを
口の中でミキシングしながらいただきます。

・・・と、語り始めると止まらなくなりそう。

ホンモノの味が確認できるのはやっぱ、塩なのよ。塩。


人気の白肝も、タレでは食べない

初めて同店を訪れたのは、
取材ではなく友人との会食の場でした。
「旨い焼鳥屋があるんですよ」
そう聞いて訪れたのが【達】との最初の出会い。

勧められるまま次から次へ。
どれを食べても美味しい。
あー、美味しくてお酒が進む~♪
ビールにも合うし、日本酒にもバッチリ。
山盛りのキャベツもありがたい!

その時、一押しされたのが記事でも紹介した「白肝」です。

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「ごま油がお勧めですよ」
連れの友人に勧められるまま、肝をごま油で注文。

実は昔、子どもの頃は肝もレバーも苦手でした。
ボソボソする食感も、
なんだかほろ苦いような味も、
独特の臭みもあったりして、
食べられるようになったのは大人になってからのこと。

しかも、食べられるようになったキッカケがしっかり煮つけられた
タレ味の肝だったものだから、それ以来
『肝=タレ』
という方程式がマチコの脳ミソには叩き込まれていたんですよ。

でも、友人はごま油にすべきだと力説するんですから、
ここでは従うしかない(笑)

***

で、ひと口。
!!!
ああ、もうね、絶対にごま油が正解なのよ。

食感はネットリしていて
味はコクがあって臭みもない。
このニワトリのフォアグラとも言うべき白肝は
香ばしいごま油と葱、炙られた香ばしさと合わさって
極上の仕上がりです。

あるだけしかない、という白肝ゆえ、
ここに来たらまず
「白肝ある?ごま油で」
とオーダーすべしなのです。

下ごしらえの秘密

【達】さんでは、開店前の随分早い時間から
下準備のためにお店に入られています。
それはもちろん、備長炭の火を起こすということもありますが
肉そのもの、素材そのものの下ごしらえも入念にされています。

ところで、取材の際、
「つくねは生から焼きます」
と言われました。
この意味、分かります?

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厨房の中で、串に肉を握って巻き付けるのを見ながら
生から焼くのは当たり前ではないかと思うマチコ・・・

聞けば、実は割と多くのお店で行われているのが
「つくねの下茹で」なんだそうです。
火の通りが遅いつくねを早く提供するためには
あらかじめ火を通しておき、オーダーが入ったら
温め直しつつ焼くということも行われているらしい。

だから、つくねがなかなか出てこないお店は
生から焼いているのかも知れません。
生からじっくり火を通せば、肉汁が閉じ込められたまま
焼きあがるので、ふっくらジューシーな仕上がりになります。
そして、こちらでいただいたつくねも、言うまでもなく
絶品級の美味しさでした。

何を食べても美味しい。
そこには「必要以上の下ごしらえをしない」
という秘密もあることを知るのです。

絶品焼鳥への道は少々分かりづらい

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こちらのお店、少々分かりにくい場所ではあります。

広島駅南口から出て、広島東郵便局を横目に通り過ぎると
高架下に小さな店が並んでいます。

(そのまま進むとエキニシ)

その高架脇に地下道があるので、この地下道を抜けます。

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地下道を出て西方面へ。
「手芸マキ」という店の看板を目印に行くと分かりやすいです。
目的地はマキのすぐ横です。
広島駅から徒歩5分くらいかな。

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白い提灯があるので、これも目印になりますね。
カウンターとテーブルだけの小さなお店ですが、
さすが人気店ということですぐ満席になってしまいます。

そんなわけで取材もあまり受けていらっしゃらないそうですが
そこをなんとか~
とご協力(おねだり)いただいて今回の記事掲載に至りました。

来店前には予約必須のお店です。
特に平日はお客さんが多いということですので、お忘れなく。

***

【炭火 達】
広島市東区上大須賀町14-4
https://sumibitatsu-hiroshima.owst.jp/

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