結局、女はキャリアか生活かを選ばなければならない/自転しながら公転する 感想

普段アナログで書き留めてる読書感想文を、たまにはnoteに書いてみようと思いました。私自身が人の感想や考察を読むのが好きなので。

自転しながら公転する(山本文緒)の感想です。
ずっと気になっていたけれどタイミングが合わず見送っていた本で、オクーさんのブログで文庫化を知り手に取りました。

あらすじ

アウトレットモールのアパレル店に勤める都は、重度の更年期障害の母を抱え、日々ぼんやり生きている。
そのうち、貫一という恋人ができるが、恋愛も家族関係も、そして仕事もうまくいかなくなり・・・


感想(展開のネタバレを含みます)

都の自分都合な性格にイライラした。
貫一にも魅力を感じられず、彼に執着する都が分からなかった。
ただ、適齢期になり人生の在り方を悩む中でシリアスな状況ばかり押し寄せてくる環境はとても身近で、都のイライラするような性格にもある意味共感を覚えた。つまりこのイライラは同族嫌悪なのかもしれない。

都と貫一が熱海旅行へ行き、感情を爆発させたのちに急な事態により車を走らせて帰路を急ぐシーンは臨場感に溢れていて、一気にページをめくった。
ただ、その後のボランティアへ赴くくだりと、その末に都が選んだ行動(結末)は私には理解が難しかった。

※この先、重大なネタバレを含みます




都の娘の視点で描かれるプロローグとエピローグは、物語全体の展開にミスリードを及ぼすという機能性としては秀逸だが、内容としては都合の良すぎるストーリーだなとも思った。

個人的には都の母・桃枝の視点が心地よかった。

この記事が参加している募集

読書感想文

お読みいただき、ありがとうございます。 あなたの中になにか響いたものがあったとき、 よければサポートお願いいたします。 大切に使わせていただきます。