指先
一人になりたいなって、ときどき思うようになった。
幼い頃は、一人になるのが怖くて、留守番すら満足にできなかった私。
あのころは、泣いて家を飛び出し、母親を探しに行ったんだっけ、
両親が共働きだったから、必然と一人の機会が増え、一人を好むようになった。
自分の部屋で、漫画を読み、ゲームをし、わたしの世界に入り込んで、
その世界で、私は王様だった。
いま、色んな人と繋がり、ぼやけて、私の身体は拡がっていく、
不器用な私は、指先に絆創膏をまく、
私は決して王様なんかじゃないって気付かされた。
でもね、孤独が私にささやく。
この身体だけがわたしなんだって、
私の身体の輪郭がはっきりしていく。
傷つきたくない。傷つきたくない。傷つけたくない。
そう思いながら私は、愛しそうに新しい絆創膏が巻かれた指先を撫でた。
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