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#私を構成する9枚⑤:ORIGINAL LOVE「風の歌を聴け」

はじめに

 本作は、田島貴男をフロントマンとするバンド(現在はソロ活動)であるORIGINAL LOVEが1994年に発売した4作目のアルバムです。
 田島貴男は、PIZZICATO FIVEで作詞作曲を兼ねた二代目ボーカルを務めるなどの経験を既にしていたため(Bellissima!は名盤)、ORIGINAL LOVEは1stからアルバムの完成度がかなり高いように感じます!
 ORIGINAL LOVEは現在「接吻」がリバイバルヒットを受けている他に「プライマル」「朝日のあたる道」が代表曲として知られており、一般にバラードのイメージが強いように感じますが、自分はそのイメージ以上にORIGINAL LOVEは多様なジャンルの曲があると思っています。
 アルバムでも、PIZZICATO FIVE時代と通ずる渋谷系サウンドのような多幸感満載の1st(本人は渋谷系と呼ばれることに"違和感アリ"らしい…)、ジャズの影響を感じるクールな2nd、ファンクやソウルなどのブラックミュージックの影響を感じ、夏に聴きたくなるような3rdなど、どれも名作な上に違った個性を持っていて、聴いていて全く飽きないです!
 そして今回は、初期ORIGINAL LOVEのアルバムの中で、ポップスとしての最高傑作だと思う「風の歌を聴け」についてレビューしてみます! 

全曲レビュー

※:☆の数は自分の好みの程度

1. The Rover ☆☆☆☆☆

 本作の一曲目はリズムボックスのみで始まり、その後にベースやドラムが合流するというかなり攻めたイントロで初聴時にかなり衝撃を受けました!(アルバム再生した瞬間にこのイントロ流れるのは痺れる…!)
 イントロ後も、汗をかいてしまうようなヒリヒリとしたグルーヴが、ずっと保たれていてかなりクールです。
 前作のオープニングの"Let's Go!"と兄弟のような関係の楽曲だと個人的に捉えています。

2. It's a Wonderful World ☆☆☆☆☆+☆

 個人的な本作のベストトラック。
 Curtis Mayfieldを彷彿とさせるようなファルセットのボーカルが印象的な曲で、エレピとベースの絡みがかなりグルーヴィー!
 また、楽曲前半にあえて抑えられたテンションから、中盤〜後半にかけて登場するブラスやストリングスで開放感がありかなりツボです!!
 晴れている休日の昼間に、なんの予定も立てずにただ散歩しながらききたい曲。

3. The Best Day of My Life ☆☆☆

 南米のサンバのようサウンドとリズム感が気持ちよく、清涼感のある曲。サビでは、ブラスも加わり盛り上がります!
 Bメロに移行する時のコード感が個人的に好きです。

4. 二つの手のように ☆☆☆☆☆+☆

 個人的な本作のベストトラック②
 ミディアムテンポで、メロウなエレピやコーラスが印象的なスウィートで、夏の夕暮れ時や疲れた仕事帰りに車を走らせながら聴きたくなる曲。
 派手さが無くゆったりと時間が流れていく感じが癒されます!!
 ちなみに、曲作りには当時のキーボードの木原龍太郎が参加しています。

5. フィエスタ ☆☆☆

 いわゆるニューオリンズのセカンドラインファンクの影響を感じる曲で、リズム感が聴いていて楽しくクセになります。
 ライブで聴くとかなり盛り上がりそうなので、一度生で聴いてみたいです!!

6. 心 ANGEL HEART (album mix) ☆☆☆☆

 本作にも収録しているシングル「朝日のあたる道」のカップリング曲。
 曲調はスローテンポで、ワウギターの音や口笛に癒されます…!
 歌詞も"命の誕生"のような神秘的な題材で、産まれた赤ちゃんを優しくあやすような、子守唄のような楽曲のようにも感じられます。

7. 時差を駆ける想い ☆☆☆☆☆

 ボサノヴァ、ラテン方面の影響を感じる爽やかなでアップテンポな楽曲で、まるで風が吹いているような涼しげなフルートの音色が印象的です。体感温度が幾度か下がるので、真夏のドライブで聴きたいです!
 チックコリアのフュージョンバンド"Return to Forever"にも通ずるような感じがして、個人的にこの楽曲はかなり気に入っています!
 ちなみに、曲作りには田島貴男の他に当時のベーシストの小松秀行も参加しています。

8. Two Vibrations ☆☆☆

 ベース、ワウギター、クラビネット、ドラムのリズムが複雑に絡み合っていてかなりグルーヴィーな曲。これがほぼ一発録りというのが本当に恐ろしい…!!よくこんなリズムが複雑な曲作れるなってなります笑
 また、この作曲にも当時のベーシストの小松秀行も参加しています。

9. Sleepin' Beauty ☆☆☆☆

 キーボードの木原龍太郎が主に楽曲制作を行なった曲のためか、個人的にこのアルバムの中ではメロディの感じ?が他の曲とは少し違うように感じます。また、サビでもあまり盛り上がり過ぎることなく、じわじわと進むところが自分好みです!

10. 朝日のあたる道 AS TIME GOES BY (album mix) ☆☆☆☆☆

 本作最後の曲は、6枚目で本作唯一のシングル曲で代表曲の一つ。
 この曲は、個人的にオリジナルラブの中で最高のポップスだと思っています!
 「いつの日よりも 今の君が一番いとおしい」という等身大で素直な歌詞が素敵すぎますし、結婚式の鐘のようなサウンドがあったり聴いているだけで幸せになれます!!
 また、Tripping outやあまく危険な香りのような、ブラスのシカゴソウルのリズムパターンも爽やかで心地良いです。
 MVのように車を運転しながら(田島さんはずっと助手席だけど…)聴きたいですね!(恋人がいると尚良し)

最後に

 ORIGINAL LOVEは、スカパラとのコラボ楽曲「めくれたオレンジ」を聴いてから好きになり、自分が音楽にのめり込むようになったきっかけのバンドで、その中でも本作がトップクラスに好きです!
 本作を作った後も、ニューオリンズや民族音楽系に進んだり、電子音楽系に進んだり、昭和歌謡路線にも進んでいて本当に多彩なアーティストです…!
 さらに現在では、OvallやPUNPEE、TENDREといった最近のアーティストとも共作を積極的に行っている姿勢に好感を持てます!
 また、個人的に本作に負けず劣らず好きなアルバムがあり、それは「ビッグクランチ」!!
 このアルバムは、電子音楽路線でかなりヒリヒリした攻撃的な内容でこちらの作品を含めて今後もレビューしていきたいと思います!

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