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令和5年度予備試験再現

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5年度 予備試験 民訴法再現

5年度 予備試験 民訴法再現

第1 設問1

1Yは、訴えの交換的変更は訴えの追加的変更(民事訴訟法143条1項。以下、法名を略す)と訴えの取り下げ(261条1項)の複合行為であるという判例に基づき、Xのした①訴訟における建物収去土地明渡請求が取り下げられたことで再訴禁止効(262条1項)が働くから、②訴訟は認められないと主張していると考えられる。

2判例では、訴えの交換的変更という独自の類型は法的根拠が無く認められず、訴え

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5年度 予備試験 商法再現

5年度 予備試験 商法再現

商法

第1 設問1

1 乙社は、甲社が乙社の請求した議案の要領の招集通知への記載を拒み、乙社代理人Eによる議決権行使を拒んだことが「招集の手続」および「決議の方法」の「法令・・・違反」にあたるとして会社法831条1項1号(以下、法名を略す)の株主総会決議の取消事由を主張することが考えられる。

2(1)乙社は、取締役会設置会社たる甲社の発行済み株式1万株のうち1000株を「6ケ月」前から引き続

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5年度 予備試験 民法再現

5年度 予備試験 民法再現

第1 設問1

1 BのAに対する請負契約(民法632条。以下、法名を略す)に基づく報酬請求権は認められるか。同条の要件は①請負契約の成立②仕事の完成 であるところ、本件請負契約の時点で甲の修復は不可能となっているが、①が認められるか。

2(1)請負契約は債権的請求であり、契約時に債務の履行が不能であっても成立する。また、412条の2第1項の規定は、「債権者」Aが債務者Bに対して債務の履行である

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5年度予備試験 刑事実務再現

5年度予備試験 刑事実務再現

設問1

(1)被害品であるVの水色のリュックサックは、現金22万9500円とNKドラッグストアの会員カードが入っている。Aが所持していたリュックサックも水色で、現金22万9500円とNKドラッグストアの会員カードが入っているが、それらは顕著な特徴とまではいえない。被害品であるVのリュックとAの所持していたリュックサックの同一性を確かめるために、NKドラッグストアの会員カードの登録情報がVであるこ

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5年度予備試験 民事実務再現

5年度予備試験 民事実務再現

設問1

(1)保証契約に基づく保証債務の履行請求権。

(2)被告は、原告に対し、220万円を支払え。

(3)①Xは、Aに対し、令和4年8月17日、本件車両を240万円で売った。

②XとYの間に、令和4年8月17日、①の債務についてYが保証する旨の合意があった。

③②の合意は、本件契約書による。

(4)①記載すべきではない。

②売買契約(民法555条。以下、法名を略す)において、弁済期

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5年度 予備試験 労働法再現

5年度 予備試験 労働法再現

第1 設問1

1 A社は、本件誓約書に基づき、Bに対し海外研修費用の返還を請求することができるか。①本件誓約書がAB間の労働契約の内容になっているか。②本件誓約書は賠償予定を禁じた労働基準法16条に反しないか が問題となる。

2(1)本件誓約書は労働契約の内容となっているか。

(2)労働契約は労使の合意によって定まるのが原則である(労働契約法3条1項)。もっとも、労働者と使用者には力関係に格

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5年度 予備試験 刑訴法再現

5年度 予備試験 刑訴法再現

第1 設問1

1 検察官が本件住居侵入・強盗致傷の事実に本件暴行の事実を付加して甲の勾留を請求した場合、裁判官は甲を両罪の事実で勾留することができるか。いわゆる抱き合わせ勾留は逮捕前置主義(刑事訴訟法207条1項。以下、法名を略す)に反して違法ではないかが問題となる。

2 逮捕前置主義の趣旨は、身体拘束は人の身体の移動の自由という重要な人権を擁護するため、勾留に比べ(208条1項、2項)身体拘

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5年度 予備試験 刑法再現

5年度 予備試験 刑法再現

第1 設問1

1 甲が山小屋の出入口扉を外側からロープで縛った行為に監禁罪(刑法220条。以下、法名を略す)が成立するか。

2 「監禁」とは、人が一定の区画された場所から脱出することを不可能ないし著しく困難にすることをいう。窓も出入口扉以外の出口がない山小屋の出入口を外側からロープできつく縛る行為は、Xが山小屋という一定の区画された場所から脱出することを困難にするから「監禁」に当たるとも思える

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5年度 予備試験 行政法再現

5年度 予備試験 行政法再現

第1 設問1(1)

1 Cに本件取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項。以下、法命を略す)の原告適格(9条1項)が認められるか。

2 (1)「法律上の利益を有する者」とは、当該処分によって自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害される恐れのあるものをいう。そして、当該処分を定めた根拠法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属す

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5年度予備試験 憲法再現

5年度予備試験 憲法再現

1 Xには消極的表現の自由(憲法21条1項。以下法名を略す)としての取材源秘匿の自由が認められるか。

2(1)まず、報道の自由は国民の知る権利に奉仕するものとして21条1項で保障される。(2)判例は取材の自由を21条1項に照らし十分尊重に値すると解している。しかし、報道は取材、編集、発表の一連のプロセスによる表現行為であり、取材は報道の不可欠の前提であるから21条1項で保障されると解する。(3)

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