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ゾウの村滞在の感想 by慶應義塾大学公認学生団体S.A.L. タイスタディーツアー

こんにちはゾウの村の住人です。今回は、ゾウの村およびバーン・チャーン・ハイに滞在した慶應義塾大学公認学生団体S.A.L. タイスタディーツアーのみなさんから感想をお寄せいただきましたので、写真とともに紹介させていただきます。以下、タイスタディツアーメンバーのみなさんからです!



「ゾウの村滞在の感想」

慶應義塾大学公認学生団体S.A.L. タイスタディーツアー

1. はじめに

今回、慶應義塾大学の学生団体S.A.L.に所属している大学生5人でゾウの村を訪問しました。 私たちの学生団体の活動の一つである海外へのスタディーツアーとして、以前から興味を持って いたタイの観光業に従事している象について考えるため、タイへの渡航を決めました。渡航まで、 二ヶ月間ほどタイの観光業について、タイの象について事前勉強を行いました。事前勉強でお話 を聞かせていただく方を探していたところ、大石さんが勉強会やインタビュー依頼を快く引き受け てくださり、その中で大石さんの主な研究地域の一つであるスリン県に行ってみたらどうかと紹介いただきました。
二度目に大石さんとお会いした際には、大石さんと交流のある「タイ住みます芸人」のあっぱれコイズミさんにもお話を伺い、詳しくスリンについて知ることができました。
タイの中でも、人間と象の関わり方が特殊だというスリンにとても魅力を感じ、大石さんからたくさんサポートを頂きながらゾウの村への訪問を実現させることができました。

2. ゾウの村で行ったこと

現地では「市原ゾウの国」で象使いとして勤務していたことのあるノーイさんに通訳をお願いし、 エレファントワールドなどの観光施設の案内もしていただきました。エレファントワールドでは、象使いが自宅で飼育している象と共に出勤するという仕組みがあり、常に行動を共にする象は、象使いにとってただの仕事仲間ではない、家族であり相棒のような存在であるのだと感じました。
ショーからは象と象使いの方との絆の深さを見ることができ、幼い頃から生活を共にしたからこそ の信頼関係の表れであると感じました。同施設で働く数名の象使いの方にインタビューをした際 は、象使いとして村の伝統を受け継ぐ誇らしさ、象への愛情を語る姿がとても印象的でした。象使いという職に対する熱い思いを聞くことができ、彼らのような象使いによってこの村の象産業は守 られているのだと感じました。
スリン滞在の最終日には、象の日のイベントに参加しました。一列に並んだ象たちがお腹いっぱ いになるまで黙々と食べ続ける姿がとても可愛らしかったです。スリン滞在中は、大石さんに紹 介していただいたバーン・チャン・ハイに宿泊しました。ここの施設のお母さんが作ってくださるご飯がとても美味しく食事の時間が毎日の楽しみでした。象を飼育している宿泊施設だったので24 時間象の様子を観察できる点も魅力的でした。
スリンでの滞在を通して、象と人間の共生について新たな気づきを得ることができました。

3. ゾウの村の滞在を通して見えたクアイの人々とゾウの関係

一週間の滞在を通して、「クアイの人々のコミュニティに属するゾウ」といった関係性を伺えたと思います。これは、ゾウとクアイの人々が共生しているという様子の中でも、私が特に感じた関係性であり、驚かされたものでもあります。渡航前の事前学習の段階から感じていましたが、実際に 滞在してクアイの人々と時間を過ごす中で改めて気づくことができました。象使いさんへのインタビューの中で、多くの人が「幼い頃からここら辺の象使いとは仲良く、共に成長し、今も象使いとし て村で暮らしている。家族絡みで他のゾウの世話もする。」と語っていて、彼らの繋がりの強さが 伝わりました。冒頭で「属する」と記しましたが、私の解釈としては、クアイの人々の大きなコミュニティの一部の空白にゾウという存在が入り込み完成するもの、を表していて、彼らへのインタビューが一番にこの事を気づかせてくれました。
この滞在を通して、現地でしかできない体験や解釈の存在を知る事ができました。日本では気づく事ができなかったクアイの人々とゾウの関係、興味のある方は是非訪れてみてください。

4. ゾウの虐待について今思うこと

虐待とは何か、再考させられた渡航になりました。チェンマイなどの地域では、象に乗ることは虐待と見なされ廃止する動きがある一方、アユタヤやスリンでは堂々とそれが行われています。実際に訪問して感じたことは、結局のところ「虐待とは何か」を定義するのはそこに来る訪問者であって、象使いではないということです。訪問者は、もちろん地域の事情や象使いと象の関係性を知らないでしょうから、他の状況における虐待を、そのまま象のケースに当てはめて批判して いる現状もあるように思いました。虐待を無くすつもりが、逆に状況を悪くするケースもあるのではないでしょうか。
理想論だけでは片付けられない様々な事情を知った今だからこそ、賢明な旅行者であるために 物事の複雑性や多面性を理解することの大切さを伝えたいと思っています。

5. 全体の感想

スリンでゾウと人間が共生している暮らしを実際に見れたことはとてもいい経験になりました。ゾ ウを養うためには莫大な費用と労力がかかるのにも関わらず、タイの小さな村のごく普通の家庭でゾウが養われている様子は、正直はじめは非合理に見えました。しかし、スリンで時間を過ごし、人とゾウの関わりやゾウ祭を経験したことで、あの村がなぜゾウと一緒に棲まうことを続けているのかが少しわかったような気がしてます。もちろん経済的な側面も多分にあるのでしょうが、 当たり前のように人間の営みに根付いているゾウの姿はとても印象的でした。
また、宿泊したバーン・チャーン・ハイというホームステイはとても居心地の良い場所でした。とにかく、ご飯が美味しかったです!このホームステイでできるゾウの背中に乗る体験もぜひお勧め したいです。ゾウに乗ることについて議論はあると思いますが、実際に乗ってみることで、ゾウ使いさんや村の人の様子など地上からでは見えない視点を持つことができると思います。ただ、単純にアクティビティとしてもとても面白いと感じました。また、費用も安くない金額がかかるので、 周り巡ってゾウのためになっていると思います。滞在中は、大石さんにご紹介いただき、ノーイさんはスリンのゾウ施設はもちろんのこと、スリンのお勧めスポットやノーイさんのご家族もご紹介いただき、楽しく現地感をしっかり体感できました。スリンにご興味のある方には、ぜひお二人に お会いしてみてほしいです!


慶應義塾大学公認学生団体S.A.L. タイスタディーツアーのみなさん、ありがとうございました!
バーン・チャーン・ハイの情報は以下の記事でも紹介しています。

タイスタディーツアーのみなさんに話題提供もしたあっぱれコイズミさんによる関連動画はこちらから!




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