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ディミトリオスの棺/エリック・アンブラー

イスタンブールを訪れた英国人作家ラティマーは、秘密警察長官から、国際的犯罪者ディミトリオスが死んだことを聞かされる。だが、ディミトリオスの死体を眺めているうちに、ラティマーはこの男の謎につつまれた過去を洗ってみようという衝動にかられた。
派手なアクションを避け、地道にスパイの心理を追うスパイ小説の王道を切り開いたアンブラーの初期の代表作。
『史上最高の推理小説100冊』
 英国推理作家協会 24位 アメリカ探偵作家クラブ 17位

相関図

【感想】
史上最高の推理小説100冊の1冊で,英国では24位,アメリカでは17位に選出されている。古いしなぁ,スパイ小説だしなぁ,そもそも売ってねーし,と思いつつ。だが,意外に面白い。探偵小説作家が,国際犯罪者の死体を警察で見てその人物に興味を持ち,跡をたどっていくという。タイトルのディミトリオスは死んでいるので脇役だが,舞台はヨーロッパ全般,金貸し殺人事件,フランスの麻薬事件からベオグラードのスパイ,ブルガリアの暗殺事件まで拡がる。政治情勢の分析がなかなか読ませる。1939年出版,スパイ小説の礎だそう。

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