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旧約聖書物語 5

シナイ山の麓で神との契約を民に伝えるモーセ
約束の地カナンに向かい
ヨルダン川のほとりに着いた民
そしてモーセの死

谷口江里也 構成訳
ギュスターヴ・ドレ 画
©️Elia Taniguchi

目次
1 神と民との契約 (出エジプト記19~24)
2 神と民との契約 その2(出エジプト記19~24)
3 神との約束を民に伝えるモーセ(出エジプト記19~24)
4 神との約束を民に伝えるモーセ その2(出エジプト記19~24)
5 カナンの偵察(民数記 1~16)
6 カナンの偵察 その2(民数記 1~16)
7 アロンの死と青銅の蛇(民数記 17~21)
8 アロンの死と青銅の蛇 その2(民数記 17~21)
9 ヨルダン河に着いたイスラエルの民 (民数記 26~36)
10 モーセの死(民数記 26~36)


1 神と民との契約 

        (出エジプト記19~24)

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さて、神が示した通り
民が身を清め、衣服を整え
シナイ山の麓に全員が集合したその朝
突然角笛が鳴り響き雷雲が山を覆った。
民は畏れ、震え、姿を隠そうとしたが
モーセは民を再び山の麓に鎮座させた。
角笛は強く遠く鳴り渡り
神が降り立った事を示す煙が
全山を包み、天に立ちのぼった。
そしてモーセが神に語りかけると
神は雷鳴を以てそれに応えた。
神は民が命を落とさないよう
結界をし、民を麓に待たせ
モーセとアロンにのみ
山に登るよう命じた。

こうしてモーセは
恐れる民に代わって神の言葉を聴いた。
神はまず
民が心して守るべき基本的な十の戒め
民に示す十戒についてモーセに告げた。

第1に
主はイスラエルの民にとって
エジプトの国から導き出した神、即ち
民を奴隷の身分から救った神である。
主を置いて他に神を持ってはならない。

第2に
どんな偶像も造り、拝み
仕えてはならない。

第3に
神の名、主の名をいたずらに
軽々しく口にしてはならない。

第4に
安息日を守り、仕事を休み
聖なる日として他と区別する。

第5に
父、そして母を敬い誇りとすること。

第6に
殺してはならない。

第7に
姦淫してはならない。

第8に
盗んではならない。

第9に
隣人に偽証してはならない。

第10に
隣人の家を、妻を、奴隷を、牛を
驢馬を、隣人の物一切を
欲しがってはならない。

それから神は民が守るべき
諸々の事についてモーセに告げた。
祭壇については
銀の神も金の神も造らず
土の祭壇の上に羊や牛を捧げる。
奴隷は、買ってから七年目には
自由の身としなければならない。
独身で買ったのなら独身で
夫婦で買ったのなら夫婦で去らせる。
その夫婦が子を得た場合は
妻と子は主人に属する。
親が売った娘奴隷は
男奴隷のように去ることはできない。
買ったほうは
気に入らなければ戻せるが
他人に売ったりは出来ない。
息子の嫁にした場合は娘と等しく扱う。
息子が更に別の女を嫁にしても
食事、衣服から夫婦の営みに至るまで
差別してはならない。
故意の殺人、父母への障害や呪い
誘拐は、死を以て贖う。


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