成果報酬と労働報酬――貧乏人がお金持ちになるのに絶対通らなくてはならない道

こんにちは、土井英司です。

幻冬舎・箕輪厚介さんへの文春砲が出版業界を揺るがしていますが、記事を読んでいてちょっと思ったことがあったので書いておきます。(スキャンダルに関してコメントする立場にはないので、あくまでビジネスの視点ですね)

それは、そもそもこの契約は、労働に対して払われているのか、それとも成果に対して払われているのか、ということです。

もし取材・原稿執筆をした労働に対して払われているなら、それは一原稿いくらの契約になりますし(慣例上、1冊50万円〜80万円くらいでしょうか)、成果報酬であれば印税で払われるので、刷り部数もしくは実売部数に応じて払われる。売れた場合は天井知らずで、10万部売れれば著者印税は1000万円、100万部売れれば1億円を超えます。

ビジネスの立場から言えば、労働に対しても払われてかつ成果報酬であるような旨味のある取引は、ほとんどない、ということです。
(もしあれば、人気が出てギャラは下がるはずです)

だから、ライターで成功する人は、最初1記事なんぼの仕事をしていても、いずれ成果報酬型の仕事(書籍執筆など)をしてヒットを出すもの。ビジネス書、エッセイなどで累計100万部を超えた有川真由美さん、グレイヘアで有名になった朝倉真弓さんなどはその代表例です。

ここに、貧乏人がお金持ちになるためのヒントがあります。

それは、労働収入をもらいながらキャッシュを貯め、時間の余裕を作って成果報酬型の仕事に挑む、ということです。

若い時に勤倹貯蓄が大事なのは、まさにこれが理由なのです。
(『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』著者のグラント・サバティエは、破壊的貯蓄で手持ち資金2.26ドルからわずか5年で125万ドルを稼ぎ出しています。
※「FIRE」は、「Financial Independence, Retire Early」の略)

※参考:「ビジネスブックマラソン」バックナンバーズ
http://eliesbook.co.jp/review/2019/12/『fire%E3%80%80最速で経済的自立を実現する方法』/

この法則がわかっている人は、蓄えがあるからコロナショックがあっても半年くらいは耐えられるでしょうし(成果報酬型の仕事にはそれぐらいの時間が必要)、平常時には、蓄えを使って成果報酬型の仕事に着手することができます。

もちろん、成果報酬型の仕事でヒットを出すのはそんなに簡単ではありません。だから、試行回数を増やすのです。

つまり、人生においては、あなたが我慢して貯めたお金=「成功への試行回数」なのです。

ここから導かれる法則が3つあります。

ひとつは、お金を貯めること。
ひとつは、生活コストを下げること。
もうひとつは、生産性を上げることです。

もしあなたが6カ月分の貯金を持っていて、成果報酬型の仕事を完遂するのに6カ月かかるなら、6カ月で1回挑戦することができる。「成功への試行回数」は1回です。

でも、生活コストを半分にできるなら、同じ貯金で12カ月耐えられるから、「成功への試行回数」は2回になります。

そして、生産性を上げて倍のスピードで成果報酬型の仕事ができるようになると、3カ月に1回成果物が作れるので、12カ月分の貯金で4回チャレンジできる。
つまり、節約できないかつ生産性が並の人にくらべて、4倍成功するチャンスが生まれてくるのです。

ちなみにこの生産性を上げる、というのには、2つ意味があります。

それは、

1.速く納品できること
2.クオリティが高いこと

です。

どんなに速く納品しても、クオリティが低ければ成果報酬型の仕事ではお金になりません。成果報酬型の仕事においてあなたの成果を決めるのは、取引先ではなくお客様だからです。

文春の当該記事では、ライターさんの記事がどの程度のレベルだったのかまったくわからないので、正直、コメントしづらいのですが、そんなに言うなら、原稿そのものを公開して、一般読者に評価を委ねれば良いのではないでしょうか。
(個人的にはめちゃくちゃ読んでみたいです)

申し上げたいのは、労働に対して支払われてかつ成果報酬でも支払われるような都合の良い契約はない、ということ。

確実に報酬を手にして生活を保障されたいのか、それともリスクを取ってお金持ちになりたいのか、どっちか決めろということです。
(これはサラリーマンでも同じですね)

もし、給料が約束されてかつ成果報酬も期待するなら、ベンチャーでストック・オプションをもらうのはいかがでしょうか。
(明日、会社があるかどうかはありませんが)

要するに、お金持ちになりたいならリスクを取れ、リスクを取るにはお金を貯めろ、という当たり前のことです。

多くの人がそれさえできないのは、「欲と恐怖」のはざまで揺れているから。要するに、どちらも克服できていないからです。

ささやかな報酬でも「欲」を抑制できている人は幸せですし、リスクがあっても恐怖に打ち勝てる人は、たとえ失敗しても前向きだということです。

知っておきたいのは、ビジネスにおいて都合の良い案件などない、ということ。
(一時的に社会が混乱している時はあったりしますが、一瞬です)

それがわからないでいると、いつしか詐欺に遭っちゃいますよね。(笑)

元貧乏ライターなので、ひと言言いたくなりました。
















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