人は「現在」に囚われる

2007年ぐらいだったか、友人が派遣社員として働いていたのだが、その業界では派遣社員を使うのがメジャーであり、給与も正社員より高いのが慣例だったらしい。
私とは全く業界が違うのでそうした事情は知らなかったのだが「いつまでも派遣で安泰とは思えない。年を取る前に正社員になった方が良い」などと言った時に「お前はまるでわかってない。この業界では40過ぎても余裕で仕事に就けるし、派遣の方が給与も良いんだ」と笑って返された事があった。

しかしそこから1年後ぐらいには景気が悪化し、いつの間にやら彼も正社員として働くようになっていた。

何年かしてその話をしたところ、「え?俺そんな事言ってないよ?」と言い出したので唖然としたのだが、今ではその業界もすっかり中国に押され、コストのかかる派遣はなるべく使わない方針になり、月50万以上稼いでいた彼も今や正社員で年収300万円台(※地方勤務)になっているという。

どうやら時代に合わせて認識を変えてしまい、過去にどんな考えを持っていたのか忘れてしまったらしい。
人は常に「現在」に焦点を合わせているので、過去も未来も「現在」を基準に捉えてしまうのだ。


※おそらく派遣全盛期に正社員になっていれば、さすがにもう少しマシな待遇を得られたと思うのだが、ギリギリまで粘ってしまい現在に至っていると思われる。


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