ジバンシー

高校の同窓会に行った。

カラスみたいな制服を着て、「私、何色にも染まりません」とでも主張するかのように、言葉も交わさず日々勉強に勤しんでいた高校のクラスメイトたちが、その日、色とりどりの振袖とスーツに身を包み、和気藹々と近況を述べ合う姿を見た。嬉しくて涙がちょちょぎれそうだった。

SNS上で確認する限り、すっかり都会色に染まったかのようだった彼も、鬼ギャルになってしまったように見えた彼女も、会って話してみると昔のままで、変わらない級友の姿に安心感があった。

10年後にも同窓会があるらしい。
卒業して2年も経っていないのに個性を際立せて我が道を貫く友人たちを見ていると、
5年後ましてや、10年後の姿なんて想像できない。

留学行ってくる!と報告してくれた海外志向強めの彼女は日本に戻ってくるのだろうか。起業します!と宣言した軸がないようなあるような、高校時代からちょっと尊敬してるあの子はどうなっているだろうか。ハタチの集いに来なかったマイペースな彼も10年後は来てくれるかな。来ないだろうな。私は、GIVENCHYの黒いドレス、TiffanyのリングとMIKIMOTOのパールネックレスをつけて、DIANAのミュールを履いていくつもりだが、ハイソサエティな男性達から化粧室のチップを貰うつもりでは無い。

10年後黒いドレスを着るなら、20代のテーマカラーは白にしたい。下ろしたての上履きや使い始めのワイシャツ、アイロンをかけたばかりの給食着。同じように、私は白いキャンバスを抱えて心新たに20代をスタートさせた。向こう10年の人との出会いや経験を通して、カラフルな色に染められたい。矛盾しているように聞こえるがいろんな色に染められながら、でも、少しずつ自分軸を確立させたい。とにかく自分が納得いくまでは染められ続けて、そして10年後くらいには”何色にも染まらない”黒いドレスが似合う人になりたいと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?