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トリリンガルの語学学習論



はじめに

僕は語学が好きです。
得意か得意じゃないかはさて置き、語学が好き。という時点で、語学に苦手意識をもつ人より頭ひとつふたつ抜けることができると思っています。
僕は日本語(母国語)、スペイン語、韓国語を話します。
元々語学に興味があったわけではなく、気づいたらこうなっていた。という感覚です。

その経緯について簡単に説明します。

語学を習得した動機と経緯

スペイン語

高校生の頃に南米はチリ共和国に1年間留学をしました。2006年ごろです。
チリという国に興味があったわけでも、スペイン語に興味があったわけでもありませんが、何か同級生と違うことをしたい。それが始めの動機だったように思います。
1年の留学で流暢になるわけではありませんが、意思疎通、日常会話はできるようになったなと言う印象です。

韓国語

なぜか小学生の頃からハングル(朝鮮語を表記するための表音文字)に興味がありました。
図書館で本をあさり、1週間ほどでハングルを習得したように思います。
そして2017年頃、第何次か分からない韓流ブームは継続しており、僕が住む福岡という土地柄、韓国人旅行者が多いこと、また、日本人として生きていく上で、韓国はずっと隣国です。隣国の言語を覚えたら旅行や人種交流の観点でも人生が豊かになると思い、ちょっと学んでみよう。と思いました。


これら2つの言語は文法、文字、様々な面で大きく異なります。
そして僕が学習した時代背景も大きく異なります。
スペイン語を学んだ2006年はガラケー全盛期でした。海外で携帯電話が使える世界ではなく、翻訳するには辞書か頑張って電子辞書。
対して韓国語を学んだ2017年はスマホが当たり前な時代。数多くの便利なアプリもあります。Youtubeには語学学習者向けの無数の無料動画が溢れています。さらに翻訳アプリに話しかければ翻訳してくれるし、飲食店でメニューにカメラをかざしても同様です。
そのような異なる環境で学んだ僕の経験をこの記事では話してみたいと思います。


2006年 スペイン語学習の経験

冒頭でも触れた通り、何気ない気持ちでチリ行きのチケットを手にしていました。
恐怖心のない高校時代だったので行けばなんとかなる。
そんな気持ちで、Hola!(こんにちは)や、Gracias!(ありがとう)程度の挨拶だけを携えて南米に行ったのを覚えています。

現地にはホストファミリーがいて、外国人は1人もいないローカルの学校に転入したので、学ぶには最高の環境であり、精神的には地獄のようでした。
家でも、学校でも何も通じない。。。
しかし、若さなのか、環境がそうさせたのか、3ヶ月ほどで、相手が何を言ってるのか若干分かるようになり、自分の意思についてはもう少し伝えられるようになりました。それでも基礎にも到達していないです。

学びの方法ですが、ホストファミリーや学校の人たちと英語をメインに、少しずつスペイン語を織り交ぜた会話をしていきました。
僕は「大人の意思をもつ赤ちゃん」のような状態だったので、相手の表情や、態度、口調を感じながら、その時に使われるフレーズや単語を感情と紐づけていたのも覚えています。
怒られる時はこう言われるんだ、嬉しい時はこう言われるんだ。など

そしてゼロから覚える時に便利な魔法の言葉があると思います。
「cómo se dice ◯◯◯ en español
    ◯◯◯ はスペイン語でなんと言うの?」

これを覚えてからは、どんどん質問して単語や動詞を織り交ぜながらボキャブラリーを増やしました。

なにより欲求行動が伝わるのが大切

当たり前のようですが、文章として覚えて、動詞や単語を差し替えつつ、ボキャブラリーを増やし、間違っていたらフィードバックをもらう。これが現地に住みながら学ぶ有効な方法だと思います。

日本から、スペイン語学習の本でも持参していればよいものの、何も準備していなかった為、習得速度は遅かった自覚があります。
やはり、0から現地に飛び込むのは効率が悪い。最低限の基礎知識は日本語の環境で作っていくべきだと痛感しました。(本当に大事)

その後、半年過ぎた頃から基礎ができ会話がどんどん楽しくなり、発言が増え、当然周りに日本語が通じる人は一人もいない。というベストな環境により比較的その後の成長速度は早かったと思います。

スペイン語習得の体感

また、スペイン語の発音は日本人にとってかなり易しい言語です。様々な国から留学生が来ていましたが、その中でも発音を褒められる事が多くモチベーションも上がっていました。褒められて伸びるってありますね。

ちなみに、この出来事は10数年も前の事なので、大人になりスペイン語レベルがかなり落ちた事もあり、数年前からオンラインレッスンを受け始めました。野良的に覚えたスペイン語でしたが、オンラインレッスンで改めてしっかり学ぶ事になり、このフレーズ知ってるけど、この文法でこうなのか!など、点と点が線でつながる経験をよくしている今日この頃です。


2017年 韓国語学習の経験

スペイン語とは学んだ時代背景が異なり、日本人には文法や単語面でも学びやすいと言われる韓国語です。
一旦、ハングルの読み書きは完全ではないものの以前から可能でした。
しかし文字が読めるだけでは意思疎通はできないので学び始めます。

昔であれば語学を学ぶ時、教室を探すか、書籍を購入するかだと思いますが、時は2017年なのでまずはYoutubeでした。
とても親切なチャンネルが多く、基礎から教えてくれます。
僕は生きた韓国語を学ぶ時、ダヒさんのYoutubeをたくさん見ました。

同時にエンタメ要素も欲して韓国のドラマやコンテンツを見る事が増えました。そして言葉を文章的に覚えると共に、その文章に含まれる感情もひと塊りとして自分のボキャブラリーに入れることが多かったです。

日本語の様に感情が語尾に出るのでセットで覚えると結構良い

やはり文章単位で覚えて活用していくのはスペイン語学習時、韓国語学習時で共通していました。僕にはこれが向いているようです。
この方法を使う事で適切なシーンで適切な語気の強さを習得でき、あまり文法の壁に当たる事なく、より現地人が使いそうな表現を学ぶことができたと感じています。

そしてスペイン語を学んだ時に現地人との交流が一番!と味占めているので「HelloTalk」という語学アプリで友達探しに勤しみました。
結果一緒にお酒を飲む友達もたくさんでき、学び→実践の場がうまく形成され、お金をかけずにスピーディに学べたように感じます。

韓国語を学んだ時は留学をしたわけではないので、家では韓国のコンテンツ(ドラマやバラエティ)を見て、仕事中は耳から韓国のラジオを聴いて、と国内にいながら強引に現地文化に耳を慣らしました。
そして検索も簡単なので分からない事はすぐ調べる!その繰り返しです。

結果的に韓国語を耳にし、また使用せざるを得ない環境を作ることで、語彙、自然な言葉の選択、発音、と様々なことが学べました。
韓国語が話せるわけではないのに、まずは友達作り!とすぐに行動に移していた自分を褒めてあげたいです。

学習するなら今!

このように、異なる言語を異なる時代背景に勉強し、両言語ともそれなりに習得していますが、圧倒的に今は言語習得がしやすい時代だと感じます。

ここで過去(2006)と比較した際の現在の学習観点でのメリットデメリットをあげてみます。

メリット

  • インターネット上に無料かつ良質な教材が多い

  • 不明点をすぐに調べられる

  • 精度の高い翻訳サービスが無料で使える

  • アプリやサービスを通して相互に言語学習ができる(友人作り)

  • オンラインレッスンという手段がある

  • AIに依頼して翻訳や語学指導を受けることも可能

デメリット

  • たとえ留学しても母国に依存してしまう(ネットやSNS)

  • 上には上がいるのが容易に見えて学習意欲が削がれる

個人的な感想ですが、やはりメリットが大きいですし、デメリットに関しては気の持ちような気がします。
何より、ネット上のコンテンツやアプリを使った人的交流をする事で擬似的に留学体験を作る事ができるというのがすごく大きなメリットだと感じます。

1年留学して学んだスペイン語と、国内にいながらインターネットを活用して学んだ韓国語。
日本人にとって、学びやすさはありますが、時代も相まって韓国語の方が留学というアドバンテージを飛び越してスピーディーに習得できた実感があります。

しかし、そこにはその言語を覚えたい!という本人の意思もかなり大きな要素かもしれませんね。僕、韓国コンテンツ好きなので。

今外国語を学びたい方へ

僕は世間から見ればトリリンガルというジャンルになると思いますし、外国語に苦手意識を持つ方が多い日本では、「すごいね!」なんて言葉をもらう事もよくあります。

ですが経験上、これは興味と勇気さえあれば誰でもできる事なんじゃないかと思います。
何よりも強く思うことは、「外国語を怖いと思わないで」ということです。

例えば日本に来ている外国人から、つたない日本語で道を聞かれたら嫌な気分になりますか?
僕は嬉しいです。日本語頑張ってくれてありがとう。助けたい!って気持ちになります。
きっとそれは世界中共通していることなんじゃないかと思います。

僕がスペイン語や韓国語があまり上手じゃない時も、現地でその国の言葉を話してみると、笑顔で「スペイン語 / 韓国語上手だね!」という言葉をたくさんかけてもらいました。そして優しく接してくれることが多かったです。

先日、スペイン語を教えてくれている先生にこんな質問をしてみました。
「語学習得が早い生徒とそうでない生徒に特徴はありますか?」
すると先生は
「質問した時にYes/Noだけで答えるんじゃなくて、Yes!なぜなら◯◯◯」
と、たくさん話したがる生徒の方が習得が早いとのことでした。

これは僕も実感することです。

リーディング(読み)
ライティング(書き)
ヒアリング(聴き)
スピーキング(話し)

語学はこの4項目に分類されますが、僕は圧倒的にスピーキングとヒアリングが得意です。
自覚しているのは、学び方が独特なので(教科書を使わない)話す、聴くのコミュニケーションの習得は早いですが、読み書きはとても苦手です。

しかし、そのくらい外国語を話すことへの恥ずかしさはないという信念によって語学習得の速度や、その学びのプロセスも変わってくるのではないかと思います。語学は終わりの無い学問だと思っています。学んでも学んでも知らない文法、単語が現れます。それゆえに心折れる方が多いです。しかし、日々実践の場を作って小さな成長を感じる事で、続ける意欲や自信につながっていくと確信しています。
そして完璧じゃなくていい。今目の前にいる人とその言語で話せてるから十分。と自分を受け入れて褒めてあげる事もとても大切です。

시작이 반이다 / 始まりは半分

これは僕が好きな韓国語です。
「どんなことでも始めたら半分は成し遂げたことになる。」
という意味です。

今扱えない言語でも、興味がある。やってみたい!という気持ちでぜひ挑戦してみてください。1年後にはきっと違う世界がそこにあります。

ただがむしゃらに勉強と考えると重荷ですが、続けるコツは、知りたいから調べる。話したいから調べる。聞きとりたいから調べる。意思疎通できなくて困ってるから調べる。のように、動機があることです。
そしてその動機付けにはやはり直接交流している知人、友人(オンラインでもオフラインでも)の存在が重要なのではないでしょうか?

方法は無数にあります。
語学アプリ、コミュニティやイベントへの参加、SNS…
そこで1人友達ができれば案外そこから広がっていくことが多々あります。
学びたいと思っている今、その時点で話せなくても恥はかき捨てです。
友達を作ってしまって、毎日連絡がくる!ついに会う約束しちゃった!など逃げられない危機的な状況って案外、人生の糧になりますよ。

独特な記事かもしれませんが、今、語学を学びたいあなたに、小さくても勇気や行動につながればとても嬉しく思います。

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