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物理学解説ウェブサイト「EMANの物理学」の主

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  • 堀田量子ガイド

    堀田 昌寛さんの著書『入門 現代の量子力学』の解説記事を追加していきます。

  • 量子雑談

    ほとんど数式無しの量子力学に関する読み物

最近の記事

堀田量子 第3章の解説

 第3章については、「同じ内容を私なりのやり方で書き直す」という形の記事を既に公開しています。しかし教科書の流れに従って最初から読んでいく形の解説も必要だろうと考えるようになりました。最近になって私自身が教科書を読み返したときに、話の流れをすっかり忘れてしまっていて、書かれている意味が即座に読み取れない箇所が多かったからです。 記事一覧へ戻る  私はこの教科書を使ったオンラインでの個人授業を行っており、その中で受けたご質問や行った議論などを反映させていただいております。ご

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    • 堀田量子 第2章の解説

       第2章については、これと同じ内容を私なりのやり方で書き直すという形の記事を既に公開しています。しかし教科書の流れに従って最初から読んでいく形の解説も必要だろうと考えるようになりました。最近になって私自身が教科書を読み返したときに、話の流れをすっかり忘れてしまっていて、書かれている意味が即座に読み取れない箇所が多かったからです。 記事一覧へ戻る  私はこの教科書を使ったオンラインでの個人授業を行っており、その中で受けたご質問や行った議論などを反映させていただいております。

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      • 量子ゲームQuantAttackが面白い

        先月(2023年4月)に量子コンピュータの内部動作から着想を得たゲームが無料公開された。 開発の背景などの面倒くさい説明はPR記事に任せることにしよう。 これは次のリンク先で無料で遊べるのである。 https://qniapp.github.io/quantattack/ ブラウザでもスマホでも行ける。インストールとか要らない。 レトロゲームっぽい荒いドットによる表現になっているが、それはわざとそういうデザインを選んだようである。ごちゃごちゃしていて面倒くさそうだな

        • アフィン性って何?

           今回は堀田量子の第6章に出てくる「アフィン性」という用語についてごく簡単に説明しようと思います。突然用語だけ出てくるのでそこにどんな意味があるのか気になりますよね。 記事一覧へ戻る アフィン性というのは数学用語ですか はい、その通りです。しかしこの用語の意味をあまり厳密に考える必要はないのではないかと思います。「線形性」に似た概念ですが、数学用語にしてはそれほど統一された定義が無いようです。  おそらくはこの概念を利用しているのが物理学者ばかりで、あまり厳密なことへの

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        堀田量子 第3章の解説

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        • 堀田量子ガイド
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        記事

          堀田量子ガイドのあとがき

           堀田量子のガイド記事を最終章まで書き上げることができました。約一年かかりました。  書く前と後で、この教科書についての私の感想が変わったかどうか、気になる方もいらっしゃるでしょう。一年も掛かったのは内容の解釈、咀嚼に予想以上に時間が掛かったからですし、かなりのことをこの教科書から新しく学ぶことになりました。変化が無いはずがないというものです。 記事一覧へ戻る  軽く自己弁護しておきますと、予想外に時間が掛かったのは、内容を早合点してしまっていないかかなり慎重に検討した

          堀田量子ガイドのあとがき

          堀田量子 第15章の解説

           いよいよ最終章です。この章は、自然界がなぜ量子力学を採用しているのかという話です。しかしその答えはまだ誰にも分かっていません。ここではそれについて考えるためのヒントになりそうな話が紹介されています。色んな話題が含まれているように見えますが、一つの話を幾つかに分けて説明しているだけです。 記事一覧に戻る 章全体を簡単に要約 まずはこの章の全体をなるべく数式を抜きにしてまとめてみます。話の流れが分かると読みやすくなります。  量子力学の理論体系を「一般確率論(一般化確率論

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          堀田量子 第15章の解説

          堀田量子 第14章の解説

           第 14 章は量子情報分野の軽い紹介になっており、3 つの話題を扱っています。「複製禁止定理」「量子テレポーテーション」「量子計算」です。これらはそれぞれ独立した話題ですが、軽く関連させて話を進めていることが読み取れます。まず量子状態は決して複製し得ないことを説明し、しかしコピーを作らない形での遠方への転送ならば可能であることを説明します。そして最後に、その転送の手順は量子回路によって記述することが可能であることを説明しています。この章は見た目の印象ほど難しくはないので落ち

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          堀田量子 第14章の解説

          量子コンピュータは並列計算ではない?

          量子コンピューターは0と1の重ね合わせ状態を使って計算するので、あらゆる数を同時に表すことができて、従来のコンピュータよりも素早く計算することが出来る。 最近、この説明が間違いであるという意見がよく流れてくるようになった。 間違いだと言って責める意見ばかりが増えてくると、萎縮してしまって良くないように思う。怖がって誰も説明しようとしなくなってしまう。 この説明自体はかなり昔から専門家の人たちも使っていたもので、それほど間違っているとも思えないのだが、この表現だけが広まり

          量子コンピュータは並列計算ではない?

          堀田量子 第13章の解説

           第 13 章はポテンシャルの形が半径$${ r }$$のみの関数$${ V(r) }$$になっている場合の話をひとまとめにした短い章です。節ごとのつながりもほとんど無さそうです。軽く注釈を加えた要約をしておきます。難しいところもなく、とても短い記事ですので、価格を最小の設定にしておきます。 記事一覧に戻る 13.1節 はじめに この章全体の短い前置きです。$${ V(r) = - e^2/r }$$というものを考えれば、水素原子などのような電荷の引力で一体となっているよ

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          堀田量子 第13章の解説

          堀田量子 第12章の解説

           第 12 章は角運動量についての話をひとまとめにした章です。スピン角運動量と軌道角運動量の話がどちらも出てきます。あらかじめ全体の構成を意識して読むと分かりやすくなるかもしれませんので、まずは要約してみます。 記事一覧に戻る 各節の要約12.1節  第 6 章の最後の節でちらっと出てきていた「演算子と保存則との関係」がこの章の内容と強い関係があることが宣言されます。要するに、空間の回転というものは連続的なパラメータで表すことができますが、どの方向を向けても保存している量

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          堀田量子 第12章の解説

          EMANが堀田量子2.6節を書いてみた

           この記事は、堀田量子の第 2 章の 2.6 節と同じ内容を「私ならこういう感じに書く」という試みです。文体は「EMANらしく」常体にしておきます。この節の内容はここですぐに理解する必要はないだろうと判断して、既に書いた記事「EMANが堀田量子第2章を書いてみた」からは省いてありました。密度行列$${ \hat{\rho} }$$を使った理論形式に集中して早く慣れて欲しかったからです。この節では状態ベクトルが主役となっています。第 12 章になってこの節の内容を踏まえた議論が

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          EMANが堀田量子2.6節を書いてみた

          EMANがトンネル効果を解説してみた

          この記事は、堀田量子の第11章3節と同じ内容を「私ならこういう感じに書く」という試みです。これを読めば理論の見通しが良くなって堀田量子の教科書を読みやすくなるかもしれません。文体は「EMANらしく」常体にしてあります。 記事一覧へ戻る  それでは、どうぞお楽しみください! 確率の流れ 粒子の運動のハミルトニアンは次のように書ける。 $$ \hat{H} \ =\ -\frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2 }{\partial x^2}

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          EMANがトンネル効果を解説してみた

          第11章後半の解説

           この章は節ごとに分けて解説していこうと考えていましたが、後半はそれほど詳しく説明することがなかったのでひとまとめにしました。とても短い記事ですので価格を最小設定にまで下げております。 記事一覧へ戻る ポテンシャル勾配による反射 (11.4節) 古典力学では、ポテンシャルの窪みがあるところを粒子が通過するのに何の障害もありませんでした。ポテンシャルの坂を駆け下りることで運動エネルギーを得て一時的に加速するくらいの影響があるだけで、確実に通過できます。ところが量子力学では、

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          第11章後半の解説

          トンネル効果(11.3節の解説)

           この節ではトンネル効果の説明をしています。古典力学では、粒子が持っている運動エネルギー以上のポテンシャルエネルギーの山を乗り越えて行くことはできないことになっていました。しかし量子力学によれば、わずかな確率で山を乗り越えてその先へ進んでいくことがあることが導かれます。乗り越えることが出来なかった場合には反射されますが、これは古典力学でもそうでした。  今回は「EMANが書いてみた」バージョンは含んでおりません。そちらはかなり長い記事になってしまいましたので後ほど別記事とし

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          トンネル効果(11.3節の解説)

          電場や磁場に触れずとも感じる(11.2節の解説)

          この節は「アハラノフ・ボーム効果」の説明になっています。頭文字を取って別名「AB効果」とも呼ばれます。第 11 章は様々な話題を詰め込んだ章です。どの節も粒子系についての基本的な話だという共通点はありますが、それぞれの関連性はほとんどありません。この章は節ごとに分けて短い解説を書いていきます。 記事一覧に戻る この節全体の解説 まずはこの節を読み解く上での注意点を解説していきます。  話の流れ自体はとても単純です。リング状にした細い導線の中にある、ひとつの電子について考

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          電場や磁場に触れずとも感じる(11.2節の解説)

          自分自身と干渉する(11.1節の解説)

           この章は節ごとに分けて解説していきます。「EMANが書いてみた」形式にするか「解説」形式にするか最後まで迷ったので文体が常体になっています。他の章とは構成の仕方が違うのでこの形で行こうと思います。この節は数式もなく、特に有料区間を設定するほどのことも書いていないので、特別に無料になっています。それでは、お楽しみください! 記事一覧に戻る  第 11 章は様々な話題を詰め込んだ章である。どれも粒子系についての基本的な話であるという共通点はあるが、それぞれの関連性はほとんど

          自分自身と干渉する(11.1節の解説)