斬新すぎて…
「男子の頭髪は原則五分刈り程度」という校則が中学生の時にあった。今考えると「原則」ってなに?「程度」って表現は曖昧すぎないか?とツッコミたくなるのだが、今日のところは話の趣旨が違う。
ある日母親が生活費削減という案件のもと、バリカンなんてものを購入し見せびらかしてきたのだが、坊主頭ごときでデビュー作との名がつくスタイリッシュなビジュアルになるとは想像もしていなかった。
当時の製品としては珍しくコードレスだった(単3乾電池4本@別売り)のだが、作動音のショボさから歯医者のチェアーに拘束されるかのような恐怖感を感じたことを覚えている。人の髪をイジる経験はなかったであろう母親のムダに自信ありげな言動を鵜呑みにした自分は、当時素直で優しい男子で通っていた。(本人比)
通年坊主頭なので刈る量は微々たるものなのだが、床屋のバリカンと何か違うことに気づいた。
「ちゃんと刈れてる?」の問いかけに、母親の「ん? うぅん。。。」という意味深な反応。
その時に確信したよ絶対しくじってる!って。
お、お、おわったよ(微妙に震える声)
そして完成披露会
完全に虎刈りにされていました(大汗)
何故そんな事態になってしまったのかを探ると、なんとバリカンのアタッチメントを装着してないではないか!そんな凡ミスかよぉー!!
「母ちゃん、斬新だね!」と自分の中で最大級の強がりを発したのだが、心のなかでは木枯らしが吹き荒れていた。それを修正するためにファルコンヘア(スキンヘッド)にする勇気もなく、同じクラスの好きな女の子の顔が浮かんだ…
翌日ありのままの姿で登校すると、担任の教師が「スッキリしたね!」と朝礼の中で発した。それがイチバン痛い出来事だった。
後で知ったのだが、母親の震えた声は笑いをこらえたからだったらしい。
そして今も語り継がれる伝説の出来事である。
おわり