見出し画像

Sparta再始動ツアーUS北西部行脚③~ライヴ@ポートランド編

カリィさんをライヴで見るのは初めてで、これがまた本当に楽しみなのにえらく緊張してガッチガチになっていました。

何故って、4年もネット追っかけで目の前で見たこともなく、動画を見てもずっと彼を写すわけではないので、ちゃんと1曲を通して見ることもできず、インディバンドばかりだからそんなに動画もあがらず、ライヴの音もPCやスマホ越しでしか聴いたことがなく、何百回もいや何千回も「実際にどんな音なんだろう。どんな叩き方なんだろう。きっと上手なんだろうけどライヴはどんなドラマーさんなんだろう」と思ってきたので、いざ見れるとなるとずっと見れなかった消化不良分で胸がいっぱいすぎて、バンクーバーに着いてから若干具合が悪いまんま、食も細くてポートランドに着いた頃にはお腹がぺったんこになってた始末です。

20年前にテイラーもまったく同じようにライヴでべた惚れして今に至るわけですが、あのときは翌年以降フーファイとして断続的に来日してくれたので、ここまで見れないこともなく、一度でいいから見たい! と切望していたのも彼くらいでした。

ライヴ初日となったポートランドの会場は、郊外のおしゃれ地区ミシシッピにありました。歩いて15分程度の小さな区画に個性的な雑貨屋、古着屋さん、革製品やなんやらが集まっていて、バーやレストランも多くありました。

※楽しくて3往復くらいして1軒ずつ覗いたりしたくなるほど。ブランド物や大手メーカーのお店がまったくない完全ローカルタウンです。

ダウンタウンからバスで住宅街を抜けて15分くらいの場所。観光地というより地元の人がいるほうが多かったかな。

会場は「Mississippi Studios」地元ポートランドのミュージシャンたちが作ったクラブ兼ダイニングバー。新しくて綺麗で、パティオも付いておしゃれなクラブでした。

緊張しすぎてて、動きがロボットみたいになってたこの日。ガッチガチで開場時間に会場に行ったら、受付のIDチェックお兄さんに「え、パスポート? 日本? まさかこのために来たの? OMG! お姉さんやばいね!!」と驚愕されて、「うん、私もそう思う…」と言いながらフラフラ会場の中へ。

2階席が有りまして、入場が早い人はそちらに直行してました。会場はこんな感じでお洒落でこじんまりしてるけど100人は入りそうなクラブでした。

前座のバンド。記憶がなくなっていますが、ヴォーカルのお姉さんがかわいかった(薄すぎる記憶)

で、Spartaの転換。まだ前座のバンドのときにはカリィさんのドラムが組まれておらず、どうするのかな…と思ったら転換時にローディさんがテキパキとどんどこ組み始めた…!!

うわああああ!と思いながら過呼吸気味に見てたら、目の前をジムさんとベースのマットさんが通過して「ィィィィ!!!!」てなってたらステージに、白いTeeの長身で手足長いスラッとしたひとが出てきた……!!!!

「(いああああああああああああカリィさん!!!!!!)(絶句)(涙目)(よくわかんないけどもう帰りたい)」

という感情が入り乱れる中、カリィさんご本人とても通常営業に落ち着いてサウンドチェック開始。ライターの鈴木さんが仰ってた「すぐにカリィだと分かる」ならしの叩きをやった瞬間、目の前にいるんだ、と初めて実感して、ようやく力が抜けました。

んでもってまた重くて太いいい音でシンバルでかいし、前座さんと桁違いの出音で、貫禄あるし、顔小さい(そこ…)しオーラあるし期待しかない!!!! とそこからは楽しみモードにスイッチしました。

21時過ぎて、ライヴがスタート!!!

※中央が4年越しのカリィさん、本物です。写真が全然ないポートランド公演…。

今なお、1曲めが始まって以降のポーランド公演の記憶がなくて、本当に嬉しかったのと、思った通りに素晴らしいドラマーで、思った以上に音が抜群に良くて上手くて、ライヴの流れをしっかりドラムで作れるライヴ向きなすこぶる勘のいいドラマーさんでした。

よく周りの音や動きを聴いてるし、見ているし、瞬発的に抑揚が変わる。ドラマーが専属でいるバンドって、ツアーなんかだと良くも悪くも形ができてしまっていると感じることが多いのですが、彼はそれがなく曲単位ですごくパワフルだったりエモーショナルだったり、どんどん変えていくタイプ。それに驚いて見てました。何故か緊張しすぎて本人よりドラムセットをガン見してしまう感じでしたが、それでも本当にかっこよくて上手くて(何度でも言う)、セッションドラマーたるもの、という姿に「来てよかった!!!」とずっと思って見ていました。

しかもドラムキットが一番私が見たかったC&Cのクリアドラムだったので、それも本当に嬉しかった。音がブワアアアアンと広がるような太い音がするのです。すっごい良い。

Spartaはとても久しぶりの北西部ツアーで、ジムさんもとても嬉しそうでした。「こんな風にツアーができるのは幸せで、新旧曲をこうして今やりながらツアーができて嬉しいよ。チケットを買って見に来てくれてありがとう」とお客さんにもとても感謝していました。とてもピュアで、でもとても目ヂカラ強かったジムさん。硬派で真っ直ぐな人だなあ、というのが第一印象でした。バンドとしても今のラインナップになってから10公演以上やっているので、しっかりまとまっていて、それぞれしっかりとした演奏とエネルギッシュなパフォーマンスをしていて、すごくカッコよかった。シンプルに「イイね!!!」と思えました。曲もキャッチーだし、エモというなかでも耳に残るフレーズが多いので、ジムさんなかなかのソングライター。ライヴの音の厚みのほうが断然良かったです。

お客さんも後ろまでパンパンに入って、ほぼ満員だったんだとか。ポートランドのお客さんはとてもお洒落で、日本人のお客さんのノリに近いしっかり聴くタイプ。でもしっかり盛り上げる。シンガロングも要所で欠かさず、皆Spartaの復活を喜んでいました。

※最後の曲で慌てて動画いっこぐらい撮っとかないと(自分の記憶が心配)と思ったやつ。

見入ってるうちに、あっという間に最後の曲で、3時間ライヴ慣れしている私には「えー! まだまだできるよ!!」と思ってしまったのですが、ジムさんのスッパリとした潔さは目ヂカラで分かるので、なんだかスッキリ見終わりました。お一人様なので喋る相手もなく、しかし喋る言葉も出ずにボーーーーーーーっと立ち尽くして、もう胸いっぱいで端っこで座り込むしかできず。15分はステージ眺めてぼーっとしてたと思います。ビール買いに行っても、お姉さんの言葉がまったく理解できず「ゴメンね…オススメでいいです…」と思考回路がふらふらしててました。でもオレゴンビール美味かった。6ドルでパイントどーんといただきました。消費税ないってすばらしい…。


そして、しばらくして。

カリィさん本人と、やっと会えました。顔の大きさがおかしいゾ!

カリィさんとは3年前にたまたま彼がInstagramに載せたアドレスに私がファンメールをしたことがきっかけで返事をくれてから、新譜が出たりすると感想を送るようにしていて、それに対してカスタマーセンター並の迅速返信メールをくれる優しさで応えてくれていました。「自分にファンなんかいるって考えたこともなかった。しかも2回しか行ったことがない日本で…」と当初とても驚いていましたが、いつもしっかりとした素晴らしい文章で返事をくれていました。

いくらメールでやりとりしてても、ライヴを見るのも会うのも初めてで、どんな人かもわからない…英語も全然だめになっているし、だいじょぶか…ととてつもなく心配だったのです。

でも、カリィさんはとても明るくてずっとニコニコしてる気さくなお喋りさんでした。ステージから降りてきて振り返りながら「エミーー!!!(声でかい)」って呼ばれたときには、緊張を通り越して吹き出して笑ってしまいましたが、いい人オーラがすごい。

方や完全に緊張のピークで半べそで英語も言葉も出てこない私に「遠いところから来てくれてありがとう。ずっと日本に行けなくてごめんね。ツアーで付くバンドには必ず日本に行けないかって言うんだよ。でも高いっていうか…お金がたぶん一番の問題なのかなあ。叶わなくて…。でも必ずまた行きたいから」と大変優しく、本気で泣かされたのでした。とても不安そうに「で、ライヴどうだった?」と聞いてきたカリィさん、最高だった!見れてすごく嬉しい!と勿論返すと見るからに安心して「良かったァ…」と。目眩がして本調子じゃないのが申し訳ないとも話してましたが、「いいバンドでしょ?」ってニッコリ。会場から誰もいなくなるまで、ずーっとお話してくれたとてもいい人でした。