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フー・ファイターズの2022年を振り返る

Foo Fightersにとって2022年は世界を駆け巡るツアーとともに、コロナ禍を乗り越えていつものフーファイを取り戻す1年になるはずでした。すでに山のように発表されていたライヴ、フェスを心待ちにして、私も含め海外遠征の準備をしていたファンも多くいたはずです。それが、誰一人予想だにしなかった出来事であまりにも辛く、悲しい1年になりました。すごく長かったような、いろんなことがずっと昔のような、だけど気がつけば2022年も終わっていく、時間とともに記憶と感情が入り混じって整理がずっとできていませんでした。でも、私にとって忘れたい1年ではなく、ずっと心に留めておきたい1年でもあったので、改めてこの1年を悲喜こもごもまるっと含めて、時系列で振り返ってみたいと思います。


■2/4 NHCとしてEP「Intakes & Outakes」リリース

ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロ、クリス・チェイニーとともに2021年からサイドプロジェクトをスタートしていたテイラー。よほど3人の時間と気持ちが合ったのか、精力的にたくさんの曲を作りシングルを断続的にリリースしていましたが、2月にはついにEPをリリース。いい意味で3人の音を足して程よくバランスを取ったようなサウンドなので、是非聴いてみてください。きっとまだ未発表曲がありそうな気がするなあ…。

■2/13 Big Game After Show on Facebook Live

原則生音ナマモノがメインのフーファイが珍しくデジタル企画に参加したのがこのライヴ。天下のMetaと組んで、VRでライヴ参加できる(単純視聴のみも可)なんとも不思議なライヴでした。と、そういう異例なことなので、セトリも異例中の異例。企画としてはコア向けではなく一般向けだと思うんですが、なんと今までライヴでほとんどやっていなかった「T-Shirts」を1曲目に持ってくるぶっ飛んだセトリでした。なんで!?誰得!? と私も含めて全世界ファンが大いに戸惑いながら喜んだ選曲。お客さんがいない前提だからか、盛り上がる曲というよりファンが地味に喜ぶセトリで久々の「Walking after You」や最後には「Home」(VRだから?)までプレイ。なんでこのセトリなんだろう…と最後まで思いつつも、久々で今聞くとまた音の深みも人数が増えたから違ったりして、とても良いライヴに仕上がっていました。Metaが主催だっただけに、ほとんど映像は残っておらず削除されまくり、上の動画しか拾えませんでした。1週間程度の限定だったのがもったいないくらい、いい音でライヴだったのでどこかで公開してほしいなあ。

■2/16 映画「Studio 666」プレミア公開記念ライヴ at The Fonda Theatre, Los Angeles

直近のアルバム「Medicine at Midnight」のレコーディング後に併せて撮影されていたという、なんと主演フーファイ(笑)のホラー映画(笑)が公開になるのに併せてプレミア試写会がチャイニーズシアターで開かれ、その後に行われたのがこちらのライヴ。前述のBig GameのVRライヴの余韻か、こちらも1曲目が「T-Shirts」でスタート。もうちょっとしたネタみたいになってましたねw 上の動画は時間がなかったのか駆け足のメンバー紹介ながら、映画の演技のいじりもしつつイケイケで歌うテイラーです。バスドラが666仕様になってる。

■2/25 映画「Stuidio 666」公開

映像作品には昔から妙にMVを凝ることでお馴染みのフーファイがついに自分たち主演で映画までやるとは…となかなかにびっくりしたのですが、内容がホラー映画でなおさら嫌な予感(笑うところです)。本国予告がなかなかにグロくて、それ系がまったくだめな私は未だに見られていないのですが、出来としては立派なもの&笑いも沢山だそうです。プロモーションでインタビューを受けた際にテイラーは、台本を覚えるのが無理で、ほとんどアドリブで対応していたという話もありました。それにしてはしっくりきてるからすごい、というファンの話もあり、昔からMVで無駄に(!?)培った演技力が大発揮された模様です(笑)

■2/26 Innings Festival 2022 at Tempe Beach Park, Tempe, AZ

時期的にちょっとめずらしい冬フェスにスポット参加。テイラーが参加したアメリカでのライヴはこれが最後になりました…。

■3/4 オーストラリアの海外アーティスト公演復活第一弾&ツアー告知で現地サプライズライヴ at GMHBA Stadium, Geelong, Australia

まだ各国の門が開かないコロナ禍が続き、ついにオーストラリアの入国が解禁になってすぐ、突如フーファイがライヴ告知をあげました。てっきり2023年の話だと思ったら、なんと2週間後!?そう、コロナ後はじめてオーストラリアで行う海外アーティストとしてフーファイが選ばれたんです! しかもたった1日のためにフーファイがAUSまで飛ぶという強行日程。上記のタンパでのフェスと中南米ツアーの間に入れたライヴはもちろん即完売。久々の外タレのライヴ&昔からフーファイファンも多い国でもあり、ものすごい盛り上がりだったそうです。その後、11月と12月にAUS&NZのツアーを告知。そしたら日本も来るよね…! とわくわくしたのは勿論の話です。冬なら14年ぶりのワンマンでは!?とすごく期待しました。嗚呼嗚呼来てほしかったよ…。

■3/15 中南米ツアースタート 最初はメキシコ公演 at at Foro Sol, Mexico City

春先といえば、中南米ツアーが定番のフーファイ。今年もメキシコのスタジアムからツアーがスタートしました。

■3/18 Lollapalooza Chile 2022

この時期のツアーと並行して参加するのが南米ロラパル。このチリ公演は世界配信もあり、今年最初で最後になってしまった配信でのライヴとなりました。この2022年のライヴは去年に引き続きMAMの曲を織り込んで、今までの「いつものセトリ」の並びを変えた緩急の付け方が大成功したセトリ。今までの惰性で盛り上がるだけでなく、しっかりとした演奏と手堅い内容が最後までしっかりと続く、これからのフーファイの方向性が見えた内容でした。MAM自体がとてもいい意味で大げさな内容で、キャッチーであるために1曲ごとに華もあり、今までの15年くらい変わらないセトリに良いスパイスになってくれていました。このチリ公演もまさにそんな内容で、加えて南米のお客さんの熱狂ぶりは相変わらず、バンドもアゲアゲなので、これがフルで配信で残ってくれてよかったです。

■3/20 Lollapalooza Argentina 2022

場所が変わってロラパルーザのアルゼンチン公演。これがテイラー最後のステージとなりました。見ていただくと分かる通り、本当にまったく何も変わりなく、いつも通りのテイラーでした。こちらは現地配信のみだったので、終わってからYoutubeで拾い見ていたときも、今日もまた手数多いな~!とご飯を食べながらにこにこ見ていたくらい。帰り際に足でデイヴのギターを鳴らしてイタズラしてるテイラーを見ながら、この後姿が最後に見る彼の姿になるなんて思いもしませんでした。

■3/25 テイラー・ホーキンス 死去


この日、コロンビアのボゴダで開催されていたフェスにヘッドライナーとして参加する予定だったフーファイ。その日滞在していたホテルでテイラーは亡くなりました。憶測が飛び交うネット上を見ながら、ただただ嘘であってほしい、誤報であってほしい、バンドの最悪なジョークであってほしいと翌朝までずっと願っていました。
私自身、テイラーの年齢が50歳になっていたこともあり、いずれそういう日が来る事はどこかではわかっていて、でも勿論まだまだ先の話、あと20年はきっとやれるだろうとか勝手に思っていました。それでも、彼がただの驚異的な体力で3時間近いライヴを叩いているわけではないことも、いろんな葛藤があったこともここ数年で話す彼の言葉から知っていました。でも、それを彼は自分自身で理解して、あんなに若いときにハチャメチャだった生活から健康的な生活に変えて体力づくりを地道にしっかりやってきたことも見ていたので、何故こんなことに…とずっと思っていました。あんなに努力してドラマーとして鍛錬して、大好きな音楽でみんなを笑顔にしていた人が、何故こんなにも早く逝かなくてはいけなかったのか…今でも分からなくて、時々やりきれなくなります。その事実はなかなか自分の現実になることはなくて、今もどこかでツアーをやってるんじゃないか、自分の家のスタジオで曲を作っているんじゃないかとか、そう思ってしまいます。

■3/30 2022年のツアー及び全ライヴのキャンセル発表

混乱を極める中、すべてのライヴのキャンセルがアナウンスされました。フェスも多く決まっていたこともあり、代打にはこれまでフーファイと共演した多くのビッグネームが名を連ねてくれて、そのステージ上でフーファイに向けてたくさんの温かい言葉をかけてくれていました。中でもニューオリンズジャズフェスの代打に出てくれたのがレッチリ。フーファイとの仲は長く深い仲間です。レッチリはそのライヴにテイラー家族とフーファイを招待してくれて、袖からレッチリのステージを見守るフーファイメンバーがいました。

■4/3 2022年度のグラミー賞でベストロックアルバム含む3部門の受賞&アメリカで最も多く15個のグラミーを持つバンドになる!

2022年度のグラミーで見事ベストロックアルバム「Medicine At Midnight」、ベストロックソング「Waiting On A War」、ベストロックパフォーマンス「Making a Fire」の3部門を受賞。初めて受賞した98年以降、これまでで15個のグラミーの獲得となりました。おめでとう!! グラミーは商業賞なので賛否いろいろありますが、それでも、長くバンドを見てきて、好きなバンドがこういった形で受賞できるのはどんな形でも認められたという事実になるわけで、それはそれで本当に嬉しいものです。そして、この15個がアメリカのバンドで最多となるそうで、いやーこの日は嬉しくて泣きました。本人たちはここ数年ずっと、賞はモチベーションのために若い人のあげてくれというスタイルで授賞式にも来ていなかったのですが、今年はパフォーマンスも予定されていました。去年ロックの殿堂入りを果たしたこともあり、確かライヴをする唯一のロックバンドだったかな…。しばらくは出演するのかしないのか、という話題になっていましたが、バンド広報から正式に出演を辞退。代わりに、グラミー側が追悼映像を流してくれました。

このとき初めて、大きな画面でテイラーが亡くなったことを実感することになり、このときが一番悲しかったかもしれません。それでも、テイラーすごいじゃん、グラミーがこんな映像作ってくれたんだよ…! と思って、ここまでの人になっていたんだな…とも実感しました。そんな彼のファンでいて、誇らしいというか嬉しかった気持ちもありましたね。

その日のパフォーマンスで印象的だったのがビリー・アイリッシュ。みんなが大好きだった笑顔のテイラーのTシャツを着てのライヴにとても胸を打たれました。フーファイはこの日、みんなで集まってデイヴの家でグラミーを見ていたそうで、このビリーのパフォーマンスに部屋中が涙したと後日デイヴが感謝とともに話していました。


■6/8 テイラーの奥様アリソンからのメッセージとともにテイラーの追悼コンサートを9月に行うことを発表


テイラーが亡くなってから2ヶ月が過ぎ、テイラーの奥さんであるアリソンからの世界中へのファンへの感謝のメッセージとともに、9月にロンドンとロサンゼルスで追悼ライヴが行われるアナウンスがありました。アリソンは皆さんの配慮への感謝とともにテイラーがフーファイでいたことを誇りに思っていたこと、そしてファンを愛していたことを綴っています。そして、彼を想い、見送るためには音楽が何よりもふさわしいこと、と彼を誰よりも理解し、支えてきた最愛の奥さんらしい言葉で告知を行いました。この追悼ライヴは家族が主体となり、一部は各団体に寄付されることになる旨もアナウンスが有りました。テイラーは音楽を通して子どもたちや様々障害のあるひとたちをサポートしていく活動にも参加していました。大好きな甥っ子さんが自閉症であることも公表していて、その団体のイベントにも「自分が出ることで役立てるなら」と率先して参加していたこともあります。その活動の延長で、アリソンがそういった判断をしたのかな…と思ったりもしました。

■6/25 グラストンベリー・フェスティバルのポール・マッカトニーのライヴにデイヴが参加

グラストの最後の大トリだったポール御大。そこにまったくのサプライズでデイヴ・グロールが参加して大いに話題になりました。テイラーが亡くなってからは、一切表舞台に出ることはなかったデイヴ。ファンも様子を心配していた中での、3ヶ月ぶりのステージでした。手の甲には「T」の手書きの文字。もちろんテイラーを意味していたんだと思います。少し緊張気味にも見えましたが、ポール御大のそばでパフォーマンスをして、さらにはボスことブルース・スプリングスティーンとも共演。大盛りあがりでした。ポール御大はツアー中にデイヴが骨折した際にも、ロンドンで自分が知っている病院に入院するよう促し、段取りを組んでくれて親身になってくれたこともあり、おそらく今回もポール御大からデイヴをステージに上るように促したんじゃないかなと思います。そうでもしなければ、あのときのデイヴは自力ではステージに出る気持ちになれなかったと思うので…。ステージから去り際に手の甲を指さしていたデイヴ。この日はきっとテイラーも見守っていたと思います。

■7/29 クリス・シフレットが新曲「Long Long Year」をリリース

9月にも「Born & Raised」をリリース。

ふさぎこむように動きがなかったなか、先陣きって表舞台に戻ってきたのはシフティでした。もともとテイラー同様に精力的にソロ活動を行っていて、今回のシングルはコロナ禍で作られた曲。プロモーションでインタビューを受ける中でテイラーのことを聞かれると、「まだ実感がわかず、ただ彼はもういないと分かっているのに、ドアを開けて入ってくるんじゃないかと思ってしまう」と感極まったように話していました。追悼ライヴ後のインタビューではテイラーの息子との共演に関して「彼は本当にすごいよ。なんせミニテイラーだしね」とアンクルシフティぶりも話していました。また、テイラーの死因に関しての憶測も「失礼なことを言う奴らがいる。事実無根だ」と一蹴。この時期にプロモーションをすること自体が、聞かれることを前提と分かっていたはずですが、シフティはしっかり自分の言葉で話をしていました。
9月にリリースされた新曲も含めて、とてもいい曲でシフティのこれまでやってきた安定したサウンドで聴きやすいのでぜひ!

■7/29 テイラーがドラムで参加したKing Princessの新曲「Let Us Die」リリース

テイラーが亡くなったあと、彼が今年リリースされる他のアーティストの楽曲に複数参加していることがわかりました。去年までのツアーの合間や時間に依頼があると受けていたようで、これまで以上に精力的だったようです。最初のリリースとなったKing Princessの先行シングルとなったこの曲。プロデューサーのマーク・ロンソンが、この曲を聴いてテイラーに依頼しないかと提案したそうです。彼女は自分の楽曲にテイラーが参加するなんて…と半信半疑だったようですが、テイラーは快諾。曲を聴いた上で叩きたいと話したと。彼女もレコーディング後にテイラーに何故この依頼を受けたのか尋ねたところ「俺はドラムを叩くのが好きだから」と真っ直ぐな返事が返ってきたんだそう。聴いてみると、テイラーと言われなければ正直前半はわからないくらい、彼女と楽曲に沿ったドラムですが終盤はテイラーらしい一面も垣間見れるドラミング。女性ボーカルとの相性はアラニスですでに分かっているテイラーなので、もっと機会があったら聴きたかったなあと思うくらいでした。

■9/9 テイラーがドラムで参加したオジー・オズボーンの新作「Patient Number 9」リリース

続いてのゲスト参加となったのがオジーの新譜。錚々たる参加アーティストの中で、2/7/12曲目のドラムを担当しています。こちらはもう全員が個性のぶつかり合いのようなサウンドの中で、テイラーも負けじと本気出して叩きまくるので聴き応え抜群。プロデューサーのアンドリュー・ワットとテイラーが仲が良いこともあり、2023年にリリースされるイギー・ポップのアルバムにもゲスト参加しているとのこと。とても楽しみです。

■9/3 テイラー・ホーキンス トリビュート・コンサート at Wembley Stadium, London
9/27 テイラー・ホーキンス トリビュート・コンサート at Kia Forum, Los Angeles


いろんな気持ちを抱えてロサンゼルス公演へ行ってきました。こちらにてまとめてどっさり書いています!


■10/28 ソニーのベスト盤シリーズ「The Essential Foo Fighters」リリース

テイラーのことがあったからなのかどうなのか、ソニーの(きっと永遠に廃盤にはならない枠)ベスト盤シリーズのエッセンシャルがリリースになりました。最初はこのタイミングでどうなんだろう? と思ったのですが、選曲を見て、ただの時系列なシングルを並べただけじゃないことが分かり、東芝EMIからBMG、そしてソニーと楽曲を繋いできた彼らを大事に思ってもらえてるんだなと感じる選曲とジャケット写真だったので、このときのリリースで良かったと思います。曲は彼らのベストに加えて、ファンのフェイバリットということでテイラーがボーカルを取った「Cold day in the Sun」を含む、納得の選曲。そしてジャケット、裏ジャケ含め、私たちファンが長年見続けてきたフーファイの関係性そのものの写真で胸が一杯になりました。どうしても失ったものが大きすぎて、その喪失感があるなか、こうしてファンの気持ちも汲んだ形でのリリースとなったことがすごく有り難かったです。各国が世界発売のなか、今回も唯一日本盤としてリリースもありました。その解説を書いてくださったのは、ニルヴァーナ時代から彼らを書き続けてくださっている鈴木喜之さん。ブックレット以外でも、今回ローリング・ストーンの記事も書いてくださっていたので、ぜひ読んでみてください。


■11/30 デイヴの自伝本日本語訳「デイヴ・グロール自伝 THE STORYTELLER 音楽と人生――ニルヴァーナ、そしてフー・ファイターズ 」発売


昨年発売になり、海外で大きな話題になったデイヴの自伝の翻訳本がようやく日本でも発売。翻訳を担当してくださったのは中村明美さん。ロッキング・オンで長くフーファイの現地インタビューを担当してくださっています。現物がまじでジャンプくらいの厚みで、ボリュームあり過ぎ。さすがデイヴ・グロール…と思いながら見つめていました。いやむしろ、もっと実際はこの厚さで10巻とかになってもおかしくないおしゃべり番長なので、1冊でおさまっただけ褒めてあげたいくらい。ご両親の影響もあり、もともと文才のあったデイヴ。ときにおかしく、面白く、生まれ育った環境や音楽との出会い、歴史的に名を残すバンド、ニルヴァーナに参加。悲劇的な終幕から彼が新たに作り、世界的なロックバンドになったフー・ファイターズの25年以上を見事な書きっぷりで飽きずに読めるのでおすすめです。

■12/19 毎年恒例のデイヴ&グレッグ・カースティンのクリスマス企画「Hanukkah Sessions」配信スタート

ここ数年この時期になると、デイヴとグレッグ・カースティンでカヴァー動画をあげることが恒例になっていました。今年はそれを豪華すぎるヴォーカリストを迎えて有観客でライヴを収録。それを配信する形となりました。グレッグがプロデュースを担当して大成功を収めたアルバムのアーティストであるP!NKやベックちゃんを始めとして、ジャック・ブラックまでも参加。今年、本当にいろんなことがあったフーファイとデイヴ。音楽そのものすら霞むような悲しい出来事にはなってしまいましたが、それでも音楽とともにデイヴが今年を締めくくれたことが心底良かったと思いました。

■あとがき

2022年はまったく予期せぬ形での活動になってしまい、これからのフーファイはどうなってしまうのかと誰しも思うなか、デイヴは歩みを止めずにステージに上がり続けてくれました。上記以外でも、James Gangのオハイオフェスやビリー・アイリッシュのLA公演にゲスト参加するなど、精力的に音楽を続けています。それでもフーファイの今後の活動に対しての言葉はなく、テイラートリビュートで話した以外にデイヴが話した言葉はありません。精神的にも音楽的にもお互いを必要として、支え合っていた2人でした。ファンが想いを図ることなどできないものがあると思います。それでも、テイラーにとって最後の最後までフー・ファイターズをより良く、25年経とうがもっと成長させて良いバンドににしていきたいと力を尽くしていた日々でした。2023年以降、どうなるかは本人たちもわからないと思いますが、何よりもデイヴとメンバー全員がこれから先どんな形であれ、音楽を続けてくれることと、フー・ファイターズという26年ともに歩み続けたバンドの形が消えずに残ってくれたらと願っています。

■12/31 ファンへ向けたこの1年への感謝のアナウンス

from Foo Fighters Twitter

この記事をアップした1時間後、日本ではすでに新年を迎えていましたが、まだUS時間は12/31の昼12時(東部時間)に公式SNSに一斉にアナウンスが上がりました。アイコンも今までの黒バックFFロゴから白バックへ、サムネも6人のアー写からロゴだけに変わりました。
アナウンスは、彼らがこの2022年の悲劇的な出来事を支えてくれた人たちへの感謝から綴られていました。フーファイは27年前にデイヴのバンドメイトでもあったカート・コバーンの悲しい死でとことん追い詰められたデイヴがその暗闇から抜け出すために、そして音楽で人は救われ癒されることを再確認するためにひとりで始めたバンドです。アナウンスではその事に触れ、「それがファンによって今や大きなコミュニティになり、暗闇を抜ける手助けをしてくれたこと、そして喜びや痛み、恐れや希望を分かち合い、音楽を通して人生を歌う場所になった」と書いています。そして「テイラーがいたからこそ、そういうバンドになることができた。テイラーがいなければ、違うバンドになってしまうこともよくわかっている」と続けています。
そして最後に「ファンのみんながテイラーを大切に思ってくれているのと同様に、テイラーにとっても大事な存在であったのも分かっている。俺たちがみんなにまた会えるときーもうすぐだと思うー彼は毎晩俺たちの心の中にずっといるよ。」と結んでいます(意訳です)

もしかしたらまだずっと時間がかかるかもしれない、と思っていたフーファイとしての再始動が時期は未定ながら、彼らの気持ちの整理がついたという理解で合っているのかなと思っています。テイラーがいたからこその皆が愛したフーファイであったことはメンバーが一番わかっていたことで、続けることにとてつもない痛みがあることも理解しながら、テイラーの想いを抱えて継続するという判断に至ったのだろうと思います。そこにはきっと、このアナウンスにもある通り世界中のファンの存在が最も大きかったんじゃないかな…。それが27年前と一番違うことなのかもしれません。

再始動に向けて彼らの気持ちを読むことができて心底良かったと思うと同時に、テイラーのいないフーファイが動き出す寂しさが急に沸いてきて号泣。ファンってめんどくさいなと思いながらめちゃくちゃ泣いてました(笑)ひとしきり泣いて、スッと気持ちが落ち着きました。フー・ファイターズである以上、テイラーがいた時間がなくなることはないし、フーファイが続いてくれる限り、テイラーがずっと皆の中で生き続けることができるんじゃないかな…と。このアナウンスをきっと他の誰より、テイラーが喜んでいると思うから。

どういった形で再始動するのか、きっとデイヴのことだから一筋縄ではやらないと思うので期待したいと思います。とりあえずドラマーをどうするのか寛大な気持ちで見守りますね……(めんどくさいファンagain)