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久しぶりの雨

今日、久々に雨が降った。

あの豪雨以降、本当に久しぶりの雨だった。

とは言っても、ちゃんとした雨ではなく、一時的な雨…。「夕立」もしくは「ゲリラ豪雨」というようなものだったけど。

それでも、カラカラに乾いた空気と大地には、恵みの雨だったと思う。

◇◇◇

夏の雨が降るとき、夏の香りがする。

それは、夏の草の匂い。

湿った大地から湧き立つ匂い。

風が運んでくる山の匂い。

どれも懐かしい香りだ。

自然の中にいると、特に強烈にその匂いを感じる。

◇◇◇

アパートの入り口から車までの数メートルを、私は走った。

雨に打たれながら車に駆け寄り、急いでロックを外し、後部座席のドアを開ける。

慌てて荷物をシートに置き、ドアを閉めると、今度は運転席側のドアを開けた。

その間に、雨は私の体に容赦なく降りつける。

急いで運転席に座り、すぐにドアを閉めた。

ザーザーと雨は強く降っているけど、フロントガラス越しに見える空は、豪雨の時のような暗さは無かった。濃い灰色をした雨雲は、所々に雲の切れ間があり、そこからきれいな青空が顔を出していた。

これは、すぐに止む雨だな…と思った。

すぐに止むだろうと分かっていても、きっと私は雨の中を駆け出していただろう。私は雨が止むのを待たないで、濡れてもいい覚悟で外に飛び出したのだ。

その結果、荷物も私自身もずぶ濡れにはなったけど、車に乗って、そのまますぐに発進することができた。

待つか、待たないか。

これも人生の大事な選択であり、大切な決断である。

雨の中のダッシュのように、時間がかかることを覚悟でそのまま待ってもいいし、ずぶ濡れになることを覚悟でそのまま飛び出してもいい。

どちらをを選んでも、その人にとって必要かつ大切な決断だ。

そしてすべての選択には、必ずリスクもついてくる。物事にはプラスの面だけでなくマイナスの面も必ず存在する。片方だけということはない。光と影があるように、プラスとマイナスが必ず半々ある。そのどちらも受け取る覚悟を持たなくてはいけない。

こうした選択&決断が必要な場面は、人生の至る所に転がっている。選択や決断を恐れる人は、きっとリスクを受け取るのが怖いのだろう。だから現実から逃げるのだ。

逃げて逃げて、「選択」するという体験を放棄する。放棄して、人任せにして、うまくいかないことを人や環境のせいにして、不満と怒りに満ちた人生を送っている。

そういう人が、この世界にはとても多い。

リスクを背負うことから逃げないで、自分の人生なんだから、もっと自分と真剣に向き合い、勇気を出して自分の人生を切り開いていけば良いのに…。

そうすれば、この世界に蔓延している「嫉妬」も「怒り」も「自己憐憫」も「自己否定」も、きっときれいに消えていくだろう。みんな諦めすぎだ。自分の人生なんだから、自分を幸せにすることにもっと貪欲であってもいいと思う。当然、リスクは覚悟の上だ。自分に正直になり、自分の本心に寄り添って選択することだ。他人の為ではなく、自分のために決断すればいい。

決断を自分で下し、自分で選択して生きていく人は、「自分の力で自分の人生を生きている」ことになる。つまり「自分らしく生きている」ということだ。

自分らしく「自分の人生」をしっかり生きている人は、他人のことを羨んだり、嫉妬する必要はない。自分の人生にのみ責任を果たせばいいのだから…。自分の人生に次々と生じてくる「選択」「決断」に集中しなくてはいけないから、そもそも他人の人生に口出ししている暇がない。

この世界の人々は、あまりに他人のことに干渉しすぎだ。多くの人は、他人の言動を監視し、他人の人生の選択に干渉することに、自分の限られた時間とエネルギーを費やしている。そんな無駄なことに自分の大切なエネルギーを垂れ流していないで、「自分自身の人生のため」に丁寧に使うべきだと私は思う。純真に自分らしく生き抜くことに自分のエネルギーを使うべきだ。みんな自分と向き合う代わりに、他人のことばかり気にしている。こうした束縛の連鎖を断ち切ることが、これからの時代に最も必要だと私は思う。

世界中の人々が、それぞれにリスクを背負う覚悟を持ち、自分の人生にフォーカスして自分に責任を持つようになれば、きっとこの世界は「楽園」になるだろう。

◇◇◇

久しぶりに雨に打たれて、私は雨の匂いを感じた。

子供時代にも感じた、あの懐かしい夏の匂い。

「雨の中に飛び出す」という体験は一瞬の出来事だったけど、私はあのとき自分が下した選択は良かったのだと思った。ベストだったと感じた。

自分が決めたことを認めて受け入れる。これも自分への責任だ。

その後、ほどなくして雨は止んだ。何事もなかったかのように、また蝉が鳴き始めた。

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