「古書奇譚」(チャーリー・ラヴェット著 最所篤子氏 訳)

傷心の古書商ピーターは、偶然手にした1枚の肖像画に導かれ「パンドスト」を発見する。シェイクスピアに影響を与えたと伝わってはいるが、完全な初版本が見つかっていない幻の一冊だ。
一方16世紀のロンドンでは野心的な書籍商が、当代きっての人気劇作家に脚本のネタ本を渡していた。
過去と現代の、稀覯書に魅せられた人々の物語が一つに束ねられてゆく喪失と再生の物語。設定はビブリオミステリーの定石で、小道具の使い方は山村美紗風ながら、古書をめぐる様々なエピソードに胸がときめき、コレクターの業の深さに恐ろしさを感じました。

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